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高校生極道  作者: 華琳
3章 虎城高校 夏の陣
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コンテスト男子の部 紹介編

「お待たせしました……虎城高校ミスターコンテスト! 今回、出演するメンバーを紹介させてもらうぜー!」

『おおおおおおおお!!!』


 相変わらず凄い盛り上がりだ……壁越しで聞くよりも凄みが増してやがる。


「まずは一年生から三名選手を紹介します! 一年A組より『一年五本の指の噛ませ犬』の村田弘人だぁ!」

「うおい! 誰が噛ませ犬だコラ藤木ぃ!?」

『わはははははっ!!!』


 なんという酷い紹介だ……つーか、何で弘人が噛ませ犬なんだ?


「いやだってお前……転入来てきた初日、大将こと紅蓮二に喧嘩売って負けたじゃん? それのせいで『一年五本の指の噛ませ犬』という称号がついたんだよ」

「何だそれ!?」


 あ、原因俺だったのか……ゴメン、弘人。今度飯奢ってやろう。何か申し訳ねぇしな……。


「まぁ村田の事はほっといて……次! 村田と同じ一年五本の指が一人、櫻井誠ぉ! 三度の飯より『喧嘩好きな馬鹿野郎』である!!」

「間違ってねぇから何も言えねぇ……」


 藤木が俺に情報を教えてくれた通りだったか。それにしても幾ら紹介とはいえヤケに荒っぽいな……後でボコられても知らんぞ。


「そして一年最後の一人は、高校一年にしてあの橘組若頭! そして劉星会との喧嘩では頭であった范に圧勝し、存在感を更に魅せつけたこの男ぉ……大将こと、紅蓮二ぃぃぃぃ!!」

『うおおおおっ!!!』


 嘘の紹介じゃないから別にいいけど、俺の紹介だけやたらと持ち上げてねぇか? いい気分ではあるけど、何かむず(がゆ)いぜ。


「蓮二〜! 頑張ってねー!!」

「っ!?」


 あの……七海さん。何でお前だけそんな声がハキハキしてんの? いや、別に悪いとは言わねーがこの群衆の中で個人の声が聞こえるのって凄いから思わず驚いちまったぜ……。


「続きましては二年生から二名の紹介です。まずはこの人! 周りからデブと揶揄(からかわ)れても関係ない……だって自分『ぽっちゃり系男子』ですから! 安藤マサル先輩ぃ!!」

「どーもどーも、宜しく〜」


 この人は平気そうだな……って、藤木の奴先輩相手でも容赦ねぇな。まぁ怒ってなさそうだからいいけど。


「続きましては、前回虎城高校ミスターコンテスト優勝者! 見た目も中身もイケメン、この人に落とせない女はいないぜ! 久坂ぁ……タツキ先輩ぃぃぃぃ!!」

「そんな紹介されても困るんだけどなぁ……」

『きゃあああ〜!!!』


 黄色い歓声凄ぇな。まぁ最初に出会った時もイケメンだと思ったが、それに加えて流石コンテスト優勝者。ファン多いんだな、この人……!


「続きましては最上級生である御二方! その一人はこの学校における勉学の頂点(てっぺん)に位置する『ガリ勉マスター』こと、猪狩慎吾先輩ぃ!」

「ガリ勉マスターとは心外な……勉強は好きだけど」


 いや、それガリ勉なのではなかろうか?

 それにしても『勉学の頂点』か。前に喧嘩はからきしだと結城先輩が言ってたけど、ようやく合点がいった。それほどの頭のイイ奴なら参謀的なポジションで幹部格になったって事ね……。


「そして最後はこの人! 劉星会との喧嘩でも兵隊を一人で五十人以上潰し、更には前回ミスターコンテスト準優勝者にして虎城高校一の『戦闘狂』! 香川晴彦先輩ぃぃ!!」

「藤木だっけか……お前、後で潰す」

「え゛っ!?」


 あらら……よりによって厄介な野郎に目を付けられたな。ま、それは俺も同じだが庇ってやる余裕はないぞ藤木。多分割って入ったら余計に厄介な問題になるからなぁ?

 それにしても、劉星会との喧嘩でそれだけの数を倒していたとはな。流石、俺に喧嘩売ってくるだけの事はある……が、予想外なのはこの男まさかの準優勝者かよ? 人は見かけによらねぇな……。


「まぁまぁ香川、脅すのはそこまでにしておけ。進行を妨げるな」

「チッ……」

「猪狩先輩、ありがとうございます……! えーそれでは次に、今回のミスター&ミスコンテストにおける特別ゲストを紹介させて頂きます。それではご入場お願いします!」


 確か神奈さんからお母さんである茜さんが特別ゲストとして参加するのは聞いてる。それでも緊張はするが特に身構える必要ない――――って!?


「は!?」

「お、何や蓮二。お前これに参加しとったんかい」


 いやいや、冗談よせよ……! ただでさえ面倒になったこのコンテスト、更に悪化しやがった!


「何で親父までここにいるんですか!?」

『!』


 今の発言で会場全体がざわつき始めたが、そんな事はどうでもいい。俺にとって最悪な舞台になってしまった事のほうが重要だからよ……!


「お、おい蓮二。今『親父まで』って言ったよな……という事はまさかこの人たちって……?」

「ああ。この人が橘組組長、橘隼人……そして、その妻である橘茜さんだ」

「ええっ!?」


 あー、マジですか? 今すぐ帰りたいんですけど。茜さんだけならまだしも親父にも聞かれる事になるとか、今日は厄日だよ本当。

 それにしても親父、今日は外行き用のスーツなんすね? まぁカッコイイからいいけど、そして茜さんも前に帰ってきた時と同じ着物だ。相変わらず綺麗だなぁ……。


「御二方の登場で驚いたかね? 紅蓮二君」

「え……り、理事長!? 何故貴方までここに!?」


 気配を全く感じなかったんですけど……いや、もしかしたら最初からいたのかもしれないけど親父たちのせいで気付かなかっただけかもな。

 つーか、こんなイベントに姿を見せたからなのか、流石に正装だな。袴姿、似合ってますよ……。


「この二人を招いたのはワシじゃ。そして、ここにいる理由は特別ゲストの一人であるからだ」

「!」

「さぁ、今回の特別ゲスト三人が壇上に上がりました! 僭越(せんえつ)ながら、この藤木拓真が一人ずつ紹介させて頂きます!」


 藤木の奴、この面々がいる中でよくテンションを保ててるな。アイツだってきっと動揺はあるだろうに……。


「先ずはこの人から……我らが虎城高校の理事長兼校長でもある、来栖剛先生です!」

「先生はいらんよ、藤木君」


 しかしまぁこの学校も変わってんなぁ……こんなイベントに理事長が顔を出すなんてよ? ま、普通の高校じゃないってのは入ってから更に知れたから別にいいけどな。


「そして先程大将からも紹介がありましたが、この二人! ここ、四神市の街で知らない人間はいない極道組織『橘組』の組長である橘隼人さん! そして、その奥さんである橘茜さんです!」

『おおおおおお〜!!』

「っ……!」


 理事長や、俺たち選手の紹介以上に観客の声が鳴り響く。

 やっぱりこの二人は格が違う……! 流石だと言うべきだ。この街の不良で、二人の事を知らない奴はモグリなんて言う(やから)もいるぐらいだしな……。


「おおっ? なんや、皆元気ええのぉ」

「あらあら……歓迎されているようで何よりですわ」


 一方で慣れているのか、この程度じゃ全く動じていないけど二人共嬉しそうだった。

 そりゃそうだ。何せ全国の極道組織でも名のある組長とその奥さんである以上、当然畏怖(いふ)される側の人間だ……だから、このように歓迎されない方が(むし)ろ多い。

 俺もこの目で一年間も見てきたからか、より分かる……親父に対する周りの人間の対応をな?


「はい、紹介をありがとうございました。御三方、こちらのゲスト席へお座り下さい」

「っ!?」


 成瀬先輩、何時の間にいたんだよ? 全く気付かんかった……!


「さぁ、ゲストの皆様も到着した所で早速張り切って参りましょう! 今回のグランプリを勝ち取るのは……この七人の誰なのか!?」


 おっと、今はそんな事考えてる場合じゃねぇ。やるからには勝つ! そして優勝して絶対に加わってやらぁ……ミスコンテストの特別ゲスト枠によぉ!?


「虎城高校ミスターコンテスト、開幕です!」

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