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高校生極道  作者: 華琳
2章 虎城高校vs劉星会
26/63

組長vs若頭!? 中編

「がっ!?」


 親父のラリアット……! 久しぶりに貰ったけど、こんなに重いのか! 一瞬、意識が飛びかけたぞ!?


「ほう……! 今のを耐えるか。まぁあの時はダメージもあったから、当然といえば当然かのぅ?」


 親父はあの喧嘩と重ねての発言をしていた。確かにあの時は、多人数相手に道具使われて、サンドバック状態だったしな。今思えばそんな状態で去年、この人と喧嘩してたんだよなぁ……俺。


「来いや、蓮二。喧嘩は始まったばかりやろ?」

「っ!!」


 なんて凄まじい気迫だよ……! ははっ、俺は選択を間違えたかもしれん。下手すりゃ死ぬかもしれねーぞ? 今日。最初から全力でいかねぇと!

 俺はファイティングポーズを取り、親父を睨みつけた――――!!






「何処に行ったんでしょうか?」


 家の渡り廊下を歩きながら私、橘神奈はそう呟く。というのも、先程までいた蓮二さんがいないからです。

 ん? あれは……!


「あ、レイさん! 蓮二さんを見てませんか?」

「いえ、見ておりませんが……お嬢様も、蓮二様を探していたのですか?」 


 大部屋から出てきたレイさんこと、津島麗華さんに話を伺ったのですが、『お嬢様も』? も、という事は――――


「レイさんも蓮二さんを?」

「はい……。外に出たケースも考えたのですが、部下から蓮二様が外に出たという報告は受けていません。なので、蓮二様はこの家の何処かにいるかと思いますが、何処にいるのやら……」


 レイさんはそう言って、顎に手を置き考え始めた。外に行ってないとするなら、いったい何処に? そんな疑問が私の中で膨らむ。


「あっ、麗花さん! それにお嬢も、こんな所にいたんですか」

「雅人さん?」

「八坂の兄貴、どうしたんですか?」


 あ、そうでした。二人は同じ若頭補佐とはいえ、雅人さんの方が先に橘組にいました。だから、立場的には一応兄貴分になるんでしたね、確か。


「いえ、頭からの緘口令(かんこうれい)を伝え忘れていたので報告を」

「! 蓮二様から?」

「ええ。トレーニングルーム付近には誰も通さないようにとの事です。その為、組の者を入口付近の通りに配置しています」

「そうでしたか……」


 トレーニングルーム……彼処にいたんですか。それにしても緘口令という言い方、しかも蓮二さん自ら? だけど、雅人さんはこんな下らない嘘を吐く人ではないので、本当の事なのでしょう。


「因みに、トレーニングルームには蓮二さん以外に誰かいますか?」

「親父がいますよ」


 父さんと、蓮二さんが二人きり……。だとすると、組の事での話し合いでしょうか? それなら邪魔するわけにはいきませんね。


「分かりました。教えてくれてありがとうございました、雅人さん」

「いえいえ」


 私は雅人さんに頭を下げてから自室へと向かうべく、踵を返して歩き出す。居場所が分かれば、心配する必要はありませんから……。

 





 俺たちは互いに一回ずつ攻撃を受けてからというものの、膠着状態にあった。


「ふー……」


 一息吐いて呼吸を整え、俺は再度親父を睨み付ける。だがしかし、親父には俺のメンチは効いていないように感じる。

 何せ、堂々と仁王立ちして待ち構えているからな……!!


「何や蓮二、ビビってるんか? 来ないんやったら、こっちから行くで!」

「っ!!」


 親父がしびれを切らしたのか、俺に向かって駆け出した。ありがてぇぜ、親父! 親父の突進に備え、両の拳を強く握りしめ待ち構える。


「おおっ!!」

「シッ!!」


 俺は親父の左の張り手をギリギリのところで躱し、カウンターで顎を狙う右アッパーを繰り出した。

 これは俺のカウンターによる先手パターンで、ほぼこれで普通の奴なら意識が飛ぶ攻撃だ。


 ゴッ!!


 完璧に決まった! この時俺はそう確信を持っていた。というのも、アッパーによる手応えがいつも喧嘩した時に相手がぶっ倒れる時に感じた感覚と同じだったからだ。

 だがしかし、今回の相手はあの親父である。簡単に倒れるとは思ってないが、せめてダメージを与える程度の攻撃にはなった筈! 俺はそう思っていたが、その考えはすぐに打ち砕かれた。

 何故なら――――


「相変わらず、恐ろしい攻撃をしよるのぅ? 蓮二」

「っ!?」


 親父……笑ってやがる。しかも、顎に拳が入った筈だ。なのにぐらつきもしないなんて、化物かよっ!?


「っしゃあ!」

「あがっ!?」


 クソッタレ……! 余計な事考えてたから、避けれなかった! 親父の張り手、めっちゃ痛てぇ!! 

 パァン! と、快音を鳴らす親父からお返しの一発を貰った俺は、体勢を崩してしまう。親父がそれを見逃すことなく、すかさず次の張り手をぶちかましてきた!


「オラオラオラァ!!」

「ぐっ……! この野郎っ!!」


 何発かは受けてしまったものの、そこからは拳のラッシュで親父の張り手を相殺する。こんな威力のある張り手をノーガードで受け続けたら、身体が持たねぇからな……!


「やるやないか、蓮二! よう耐えた!!」

「ここで結構鍛えられましたからね!」


 正直、去年までの俺なら最初の張り手一発で沈んでいたかもしれない。この家でのトレーニングは生きている、そう思うと嬉しかった。

 俺の右拳と、親父の左の張り手がぶつかりあったその瞬間、俺は次の左拳ではなく左のミドルキックを繰り出した。


「むっ!?」


 親父は同じく右の張り手を繰り出してきた事によって、右腹がガラ空きになった。俺はこの時、張り手を喰らう覚悟は出来ていた。

 威力も最初にもらった時に知っているから、来ると分かっていれば耐えれる!


 ドッ!!


「がっ……!」

「ぐうっ……!」


 やっぱり、効くなぁ……! だけど予想通り、いやそれ以上だ!! 俺は笑みを浮かべ、親父の顔面に右ストレートを打ち込む。


「ぶっ……」

「おらぁぁぁ!!」


 一瞬でも攻撃を止めたら駄目だ! 自分でそう言い聞かせ、雄叫びを上げながら我武者羅(がむしゃら)に親父を攻め立てる。

 力を込めて勢いよく拳と脚を振るう。それができれば、素人であってもそこそこの威力が出せる。例え攻撃が防がれたとしても、それはダメージの蓄積に繋がるので決して無駄ではない。仮に避けられたとしても、相手にプレッシャーをかけることも出来るから、意味の無い攻撃なんてものは無い。

 これは普段からの喧嘩は勿論だが、橘組に入ってからも学べた事だ。


「っるぁ!!」


 乱打の時の決め技の一つ、右ハイキックを親父の左顳顬(こめかみ)に打ち付けた。これは流石の親父でも耐えられなかったのか、片膝をついた。

  この時俺は、親父相手に勝てると思った。親父が喧嘩で膝をついた所を見たことがなかったからだ。

 しかし、この甘い考えはすぐにぶち壊されてしまう事になった――――


「ぐっ……舐めんな、蓮二ぃ!!」

「っ!?」


 嘘だろこの人……! 俺が足を戻そうとしたタイミングに合わせて、右足首を掴みやがった!! つーか、あれだけ攻撃したのに全然効いてねぇのかよっ!?

 

「離せ、このっ!!」


 俺の右足を拘束している親父を、ハンマーで叩きつけるように両拳を振るう。だが、親父は全く動じていない。寧ろ、そのままゆっくりと立ち上がってる!?


「うおおっ!?」


 人間一人を片手で持ち上げやがった……! まぁ、100キロのバーベルを片手でバーベルカームするような人だ。俺の体重くらい、余裕なのだろう。

 だがしかし、俺にとっては最悪だ。何とかすべく足を必死に動かして攻撃しようとしたが、もう片方の左足も掴まれてしまい、振り回される。


「うおおおっ!?」

「今度は……こっちの番や!!」


 ドゴォ!!


「あがっ……!?」


 な、なんて強引なパワーボムだよっ……! 回転による遠心力を利用して叩きつけてくるから、普通のより威力が数段増してやがる!!

 一発受けたから分かる。この攻撃は張り手なんかの比じゃねぇ! 何とかしねぇと、このままじゃ――――


「まだまだ行くで、蓮二ぃ!!」

「チッ……!」


 確実に、やられるっ……!!

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