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死にたくないので本気でゲームクリア目指します  作者: のんびり+
チャプター1 ゲームスタート
3/4

セーブ03 猫耳メイド

「疲れた……」


 中々に険しい山を登り、やっとの思いで目的地に着いた。

 いくら吸血鬼と言えどもうヘトヘトだ。


 そして、俺は目の前にある我が家を見つめる。

 魔王城と言うからには、ゲームとかで良く見かける黒くてでっかい城をイメージしていたのだが、目の前にあるのは赤いレンガで出来た屋敷だった。恐らく二階建てであろう、黒い屋根からは赤レンガの煙突が突き出ている。

 まるでどこかのペンションだな。


 俺は玄関に向かい、ドアノブを捻り扉を押す。ギィと音を立てて扉が開く。

 見渡すと、床一面にはレッドカーペットが敷かれていて、天井には小さいシャンデリアが吊るされている事が確認出来る。

 俺がキョロキョロと辺りを見回していると不意に――――


「お帰りなさいませ、ご主人様」


 そんな甘い声がすぐ近くから聞こえた。


「え?」


 俺が隣を見ると、そこに少女は居た。

 腰まで伸びた黒髪をなびかせ、頭に生えた猫耳をピンと立て、黒と白のメイド服に身を包み、黒い尻尾をゆらゆらと揺らす少女が目に入る。


「……何だ、天使か」


「ご主人様?」


 気付けば、少女の黒い瞳が目と鼻の先にあった。


「おわぁ!?」


 思わず飛び退いてしまう。

 ビックリした……それにしても、この美少女は一体誰だ?


 俺は改めて少女を見てみる。

 背は俺より少し低いくらいか……身体の発育はよろしいようで、出る所はしっかり出ている。更に、その少女の格好は、男のロマン猫耳メイドだ!

 猫耳とメイドさんの奇跡のコラボレーション!そして、猫耳メイドとあの美少女のシンクロ率よ!俺が見る限り、シンクロ率九〇パーセント以上は確定。鬼に金棒とはこの事よ。


「……ご主人様、どうなさいましたか?」


 少女が心配そうに尋ねてきた。


「い、いや、何でもない」


 少し緊張しているからか、歯切れが悪い。

 俺が答えると、少女はほっと胸を撫で下ろした。

 そんなに心配するような事があっただろうか?


 何か話を振ろうと、俺はゴホンと咳払いをして少女に質問してみた。


「あのさ、君の名前を教えて欲しいんだけど」


 俺が言った瞬間、少女の動きが固まる。心なしか顔からは血の気が引いていくようにも見える。

 あれ?まさか失言だったか?

 何がまずかったのか考えていると、少女が口を震わせながら言った。


「ご主人様は、私の事が分からないのですね?」


「あぁ、まあ……」


 俺が答えると、少女はぎゅっと握り拳を作る。


「……あの腐れハンターが」


「え?」


 少女が何か呟いたが、声が小さくて聞こえなかった。

 しばらくすると、少女が俺の目を見て言う。


「ご主人様、食事の用意が出来ております。詳しい話は後程」


「わ、分かった」


「こちらです」


 俺は少女に案内されるがままに屋敷の奥へと歩を進めた。












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