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はち話

はち


先代勇者の手記


異世界に来てから***日


今日はヴァニタス族の不思議な直感について記述したいと思う。


まず、ヴァニタス族の直感は鋭いなどといった次元ではなく、もはや凄まじいの一言に尽きる。


気づいた発端は、彼女に以前料理を作ったことがあるのだが、彼女はそれを何も考えることなく再現して見せたことだ。いや、あの時の調理風景からなぜ再現できたのか、本当に不可解だ。


『これ、あかいのとりあえずいれる』


『ほそながいの、とうにゅう』


『むらさきとあお、ぴんく。....むらさきのやつ、かな?えい』


『あっ』どぼどぼどぼどぼどぼ


『まぁ、だいじょぶ』


『ここのつち、いいきがする。かくしあじ』


『このむしさん、おいしいとおもう。とうにゅう』


『おにわにはえてたきのこ....とりあえず、とうにゅう』


『がっ、とつかんでどーん。たぶんこれくらい?』


『できた』


できたのは紫色の何かだった。彼女は錬金術の才能があるのではないかと思ったが、死を覚悟して食べてみると美味しかった。美味しかった。



美味しかった。



衝撃。まさしく衝撃。それは以前私が作った料理と味だけは同じだった。一体なにがあったのか非常に混乱したが、これは彼女らの種族が持つ直感がよほど優れている証なのだろう。


しかし、ここで私は一つ疑問を抱いた。


ある日のことだが、彼女と普通に辺りを散歩していると、彼女は木の根に足を引っ掛けて物凄い勢いで転倒した。すぐさま回復魔法で治療を施したのだが、彼女は無表情で涙目になっていた。とても可愛らしかったが、ここが私は不思議なのだ。彼女たちの種族が本当に直感に非常に優れるなら、こういった些細なことも回避できるはずなのだ。だが、現実彼女はこういったことで運が悪いことがしばしばある。つまり、彼女の直感は時に作用しない例もあるのである。


私はこの謎を解くため、検証を始めた。


まず、彼女以外のヴァニタス族の人もこういったことがあるのか確認した。結果はある、だった。


いや、思い出したくもない惨状だった.....。保育園児による大量の天然ボケ。可愛らしくもあったが、時には笑えない災難にもあった。よってここに記載するのは避けよう。


前提が確立したため、私はどのような条件で彼女の直感が発動するのか調べた。調べた内容はコインが左右のどちらの手にあるか、当てるゲームだ。


視力による特定を防ぐため、彼女には目を瞑ってもらっている間にコインを飛ばし、キャッチしてコインがどちらの手にあるかを聞いた。普通にやった結果、彼女は30回やり30回全て当ててみせた。(30回なのは途中で彼女が飽きたからである)。


驚くべき結果であるが、私はここで次にフェイントを入れた。コインを飛ばしキャッチした後、私はそのまま彼女が目を開く前にコインを服の袖の中に落としたのだ。


そして結果。彼女は外した。コインは両手のどちらかにあると思い込んでいたため、右手を選んだ彼女は予想を外したのだ。これには彼女は目を開いて驚いた。


『.....ずる、だめ。もういっかい...』


彼女は意外と負けず嫌いなようだった。可愛い。ひとまずそれはおいといて、この後私は数々のイカサマを駆使して彼女とゲームを続けた。しかし、両手以外にもコインがあるという選択肢を知った彼女は、私のどんなイカサマも種を知らずにコインの在り処だけを見抜いた。


例えコインが土の中から出てこようと、隣の家の床下から出てこようと、彼女の服の中から出てこようと、彼女はコインの在り処だけを正確に見抜いたのだ。


だがしかし、ここで特筆すべきなのはこのイカサマを連発する中で唯一、両手にコインがあった時だけは彼女はそれを見抜けなかったことが重要である。その時、やはり彼女は驚いたような顔をしていたのだ。


結果から考察するに、彼女の直感、いやヴァニタス族の直感とは、予想の範疇でのみ優れた直感を発揮するのであって、自分の予想外のことにはその神がかった直感は発揮しないことが推測できた。つまり、選択肢の中で一番優れた解を思索なしに見抜くことが、彼女たちの持つ直感の正体なのだろう。


以前彼女たちの知性は乏しいことを記述したが、そういった点を踏まえると、ヴァニタス族はもし戦うなら強敵ではあれど絶対無敵ではないということが分かる。彼女たちの敵に回る気はないが、彼女たちを味方として戦いの采配を振るう時は、この点をしっかり考慮したい。









先代勇者

ロリコン


謎の彼女

抜けてる一面があり、いつも無表情なのでしっかりしてるという印象を与えるが、かなりの頻度で天然ボケを発揮する。これはヴァニタス族の特徴の一つであるが、彼女はまだマシな方である。そしてコミュニケーションは得意ではない。ヴァニタス族は固有の直感があるため、適当な言葉を選んでもお互い察することができるが、それ以外の種族との対話は非常に難しくなる。先代勇者ことロリコンと対話ができるのはロリコンの洞察力等が非常に優れているためである。












































『いもうとは、大きくなったら何になりたい?』


『わたし?わたしはねー、せいじょさまになりたい!』


『聖女?』


『うん、みんなをこう、まほうでぴかーってたすけてね、わるいひとをばーんってやっつけて、みんなにあいされるの』


『....いもうとは、みんなに愛されたいの?』


『うん!みんなをあいして、あいされるの!おかあさまがいってたの、あいはとてもすばらしいものだって。だから、わたしはすばらしいひとになりたい!』


『そっか.....うん、そのお願い、オルトが叶えるよ。今は無理だけど、十年.....いや、十数年くらいかな。必ず、叶えるよ』


『ほんと!?ありがとうおにいさま!』


『うん、約束だよ』

約束。大事なフラグですね、分かります

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