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1st Contact② 「鹿島梢」

【お知らせ】毎週月曜日の更新ですが、難しくなってきたので次回からは日曜更新に変更します。かしこ。

未だにビクビクしているヒメルを軽く無視して話した。


「ええか、今からワイが一瞬だけ美夏の動きを止める。そしたら、ヒメルは恭弥を回収しろ」

「う、うん。でもどうやってとめるの?」

「まあ、そこは安心せい。ちゃんと、確実に止める方法はあるからそんな心配した顔をすな」

「いや、そんな顔はしてないけど」

「・・・・・・そか、まあいい」


 美夏たちに巻き込まれないようにゆっくりと物陰に移動。息を潜めて様子を伺う。まずは恭弥をさがさないかんが・・・・・・そういや、


「ヒメル、恭弥の位置って大体わかるか」

「ううん。さっきも言ったとおりセンサーに反応しなくて―――」

「いんや、視力を強化して見渡してくれへんか?・・・・・・なんか、いやな気がすんねん」

「わ、わかった・・・・・・」

「すまんな。ワイは投影使いやさかいそういうのは苦手でな」

「・・・・・・・・・・・・」


反応はない。ヒメルは集中しているようだ。ただ、その間にも状況は変わっていた。


「これで終わりよ!!」

「決めさせません。蒼壁×10前方集中展開!!」


 美夏の震脚。周りのレンガ敷きの道が大きく凹み放射状にヒビが走る、紅光が強くなる。

 メアの投影。美夏との直線上に並べられた鉄壁が蒼く、強く光る。そしてXM2010を構える


「ヒメル、どうや?」

「ちょっとまって~・・・・・・っあ、いた!!」

「ほんまか!!どこや?」

「―――神林君はメアの後ろにいるよ」

「・・・・・・は?」


 硬直。今の様子を再確認する。

 構えている美夏。メアをみる。透視しているのか、スコープを除き壁越しから美夏に向かって銃を構えている。そしてその後ろに黒い人影がちらりと見えて・・・・・・

 ワイは全力で叫ぶ。


「み、美夏!!やめ―――――」

『鳳華流、「雷声」!!』


 しかし、無情にも声は届かず美夏は飛び出した。

 強烈な左の突き。そして鉄の壁と衝突――――雷が落ちたかと思うくらいの強烈な重低音を轟かせ1枚、左拳を引き手に右の突き、また1枚。勢いはそのままに次々と壁を破壊していく。


「・・・・・・」


 メアはそれでもスコープを覗き続け、トリガーに指を掛ける。

 ・・・・・・あ、アカン!!あと2枚で破られる!!

 あと1枚。もうダメや・・・・・・と、あきらめかけたそのとき、


 ―――――ドンッ!!!


 機関銃、拳銃とは明らかに重たい音が発せられる。突然の音に一瞬ひるむ、が顔を上げた瞬間直ぐさま状況を把握する。

 XM2010の銃口から蒼色の残滓がこぼれ、美夏の体はくの字に折れ曲がっていた。恐らく―――いや、間違いない。メアが美夏を撃ったんだ。

 撃たれた美夏は纏っていた紅い光が解け、勢いのまま地面を転げ回りメアの前で止まる。そんな美夏を見下ろすメアはとどめをさそうと銃を―――向けずに手にしたスナイパーライフルの投影を終わらせる。一瞬のうちにXM2010は蒼色の粒子となって空中に解けるように消えた。

 

「えっ?ど、どうなったの、これ」

「・・・・・・美夏の負けや」

「・・・・・・・・・・・・」


 メアは動かずに、じっとワイらを見据える。それがどういう意味なのか分からんが、銃を消したっちゅーことは少なくとも戦意があるとは思えない。

 ・・・・・・美夏が負けたことでワイらが戦意喪失したかと思っとるのか?

 いや、それよりかは―――


「アンタがメアか?」

「・・・・・・・・・・・・あなたは誰ですか」

「ワイは仁。普通の高校2年生になる予定の高1や」

「そうですか・・・・・・それで。次はあなたですか」

「い、いやいやいや。ワイはただの一般ぴーぽーや。あんなバトル出来るかっ・・・・・・せやから出来るとしたら警備隊に連絡を入れて、この場所を知らせることくらいや。ふ、どうや驚いたか!」

「そう・・・・・・」


 あ、あれ?なんかリアクションが薄いきが・・・・・・まあ、余興はこれくらいにして


「メア。お前の目的はなんや。そこのちんちくりんの誘拐か?せやったらそこの女と、お前さんの後ろに倒れてる奴を渡してくれへんか」

「・・・・・・私は研究区画から来たものです。一度姿を見られたら、その人の記憶を消さなければいけないのです」

「・・・・・・・・・・・・」

「あなた方が私と、そのヒメルを見てしまったからには記憶を消さなければいけません。なので私としては、あなた方全員研究区画に来て欲しいのですが―――」

「断る」

「でしょうね。とはいえ、力ずくで引っ張っていこうにももう時間がないようです」


 ちらっと明後日の方向を向く。ワイもつられるように見る。・・・・・・目の前の事に集中してたから気づかなへんかったが、サイレンが鳴り止み、そのかわりにたくさんの靴の音や、『いたか!?』『こっちにはいません』などの声も聞こえた。もうここに辿りつくのはすぐやろうな。

 再び向き直ると、メアは後ろを向いていた。


「今回は引きますが・・・・・・次に会ったときは問答無用で撃ち倒します。覚悟しておいてください」

「・・・・・・・・・・・・」

「では、私はこれで―――」

「ちょい待ち」

「・・・・・・なんですか」

「恭弥を助けてくれて、ありがとうな」

「はい?何を言ってんですか。私があの人を倒したのですが」

「そっちやのうて、美夏とのバトルのときや。お前、恭弥を庇いながら戦ってたやろ」

「・・・・・・・・・・・・」

「無言ってことは肯定と受け取ってええんか」

「好きにしてください。では」


 そう言って、つま先で軽く地面をつつき、ぽうっとくるぶしから蒼色の光が出て、羽の形を作り出す。そしてほとんど力を入れる様子もなく、その体は空に舞い上がった。

 ・・・・・・フライヤーフィン。噂によれば某魔法少女アニメを参考に作られたっていわれるプログラムやったな。

 実習で試しにやってみたら加減に失敗して天井に頭が突き刺さったバカがいたっけな~、なんて考えてるうちに、白衣をはためかせ、少女は夜空に消えていった。


「さあて、ワイらもさっさとずらかるで」

「ずらかる?」

「逃げるッちゅうことや。ヒメルがあいつらに見つかったらまた面倒なことになりかねんからな」

「で、でも。神林君と美夏が怪我してるから早くお医者さんに見てもらわなくっちゃ」

「あ~そこんとこは大丈夫や。知り合いに医者がおるからの、そいつに頼むわ。それに・・・・・・美夏、いつまで死んだふりしてんや」

「えぇ!?」


 もぞっと美夏の体が動いた。そのまま無言で立ち上がる。そしてふらつきながらゆっくりと歩き出した。


「どこいくんや」

「・・・・・・ほっといてよ。もうあんた達に会わせる顔がない」

「なんでや?」

「だって・・・・・・だって恭弥を助けようって思ってたのに、恭弥が血まみれで倒れてるの見て、頭が真っ白になって、目の前の女の子を殺してやるって思ったのに無様にやられて。しかも知らず知らずのうちに倒れてる恭弥にも危険な目に会わせてたんでしょ・・・・・・最低よ。ほんと、最低」

「美夏・・・・・・」


 夜の暗がりのせいで、俯いた美夏の表情は分からない。が、


「愚痴は終わったか?とりあえずワイの家に行きたいから、ヒメルを先に案内してくれ」

「だ、だからわたしは―――」

「んなこと知るか。危険な目に会わせたけど結果的に恭弥は無傷やった。それが事実やろ」


 なんか美夏がえろうショック受け取るみたいやけど、今は急いでるんや。美夏の愚痴なんかに時間を割いとる余裕は無い。

 さっと恭弥のそばにしゃがみ込み、プログラムを展開する。。


「ちょ、ちょっと仁!!」

「話はあとや。ヒメル、美夏に肩を貸してやってくれ。案内は美夏にやらせて先に家に行ってくれや。ワイは少々足止め用トラップを設置してから行くわ」

「い、色々突っ込みたいところはあるけど・・・・・・わかった。先に行くね。行こう、美夏」

「やっ、ヒメル、大丈夫だから。だから、じ、仁!!」

「じゃあ、またの~」

「仁~~~~!!!!」


 美夏の声が徐々に離れていく。そしてワイはD・PRGを起動。人の背丈はゆうに超えるくらいの巨大なレンガ造りの壁を規則的に投影する。さながらレンガ造りの迷路っちゅうとこかの。これでちょっとは時間を稼げるやろ。

 どっこいしょっと恭弥をおぶさり、歩き出す。


「さて、面倒なことになりそうやの。なあ恭弥」


 背中にいる親友は答えない。だから独り言のようにつぶやく


「次会ったときは問答無用で撃ち倒す、か・・・・・・上等や、逆にこっちがぶっ倒したるわ」



「へ~面白そうな事になってるじゃないか」

「!!!!!」


 恭弥が返事をするはずは無い。このタイミングで話しかけるとしたら・・・・・・

 一瞬のうちに臨戦態勢に頭を切り替える。不意をうたれないように背面側に投影の準備を、いつでも走り出せるように足に身体強化をせな―――

 と、月明かりに照らされて声の主の姿が現れた。


「やあ、私だよ」

「あ、あんたは・・・」

「久しぶりだね。いや、2日前に会ったっけ?・・・・・・まあいいや。今日はどういう用事で私を呼び出したのかな?」

「はは。なんや早いやないか。あんたなら明日の朝あたりに来るかと思っとったんやけどな――――鹿島先生」

「嫌だな~。君と私の仲じゃないか。いつも通り梢ちゃんでいいよ」


 白衣を纏った薄紫色のセミロングの女性は無邪気な笑顔で言った。すらっと伸びた背に白衣の裾から伸びる黒いストッキング、白衣を押し上げるほどに巨乳。そして重症の怪我人がいても一切取り乱さず世間話をおっぱじめようとする図太い神経の持ち主。それが鹿島梢という人間やった。

 過去の色々な事件で鹿島先生―――って言うか梢ちゃんとはそれなりに関係が深く、ワイや恭弥も何度もお世話になって、頭が上がらないっていう人や。


「それで~。今日は何してこんなになったの?お姉さんに分かるように25文字以内で説明して」

「うっわ。いきなりそれかい」

「じゃあ、よ~い、スタート」

「うわっ、えっと~・・・・・・あれや。いつも通りバカしました!」

「アハハッ!24文字。ギリギリOKね」


 そしてこの女。ワイらが頭が上がらないことを知っているからか、こうしてからかってきよるからの~。はっきりいってめんどくさい性格やったりする


「じゃあ、どんな無茶したか説明してもらおうかな」

「ん~まあ、それは今やのうてもええやろ。まずは恭弥をウチに持ってって治療するさかい、それからでええか?」

「んんんん~・・・・・・まあ、いいわよ」


 家路に向けて歩みを進め始めた。これから起こるであろう戦いに胸躍らせながら・・・・・・


美夏の技ですが、基本的にケン〇チというマンガを参考にしています。夏君と李雷〇ちゃんが大好きですたい。

あと、お知らせの通り次回から日曜更新に変更します。というか、最近更新が不定期になってしまってますし、気を付けなきゃ・・・・・・

ということで、次回をお楽しみにして下さいな

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