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1st Contact① 「美夏vsメア」

設定もあらかた書いたと思うので、次回以降、前書きを書くことはなくなると思います。ただ、なんかしら書きたいときには書きます。では、本編へどうぞ

 スマートフォンに表示されている時計を見ると22:15だった。

 さきほどの機関銃らしき銃声から約5分。ワイらは相変わらずヒメルのセンサーを頼りに路地裏を走っている。


「・・・・・・銃声か」

「仁、恭弥大丈夫よね」

「すまん、わからん。せやけど―――」

「美夏、神林君はちょっと危ないかも」

「えっ!?」

「ヒメル、わかるんか」


 遮るように掛けられた突然の言葉に美夏だけでなくワイも驚く。


「うん。私のセンサーは対象の人のC原子反応で区別して、C原子の体内における活動範囲、及び動態状況で大まかな身体情報を―――」

「ちょ、ちょっとまって!!」

「どしたの?」

「・・・・・・もう少しわかりやすく、言ってほしいのだけど」

「え!?う、う~ん・・・・・・」

「美夏、要はC原子が動いてるうちは安全ってことなの」

「まあ、それならわかる、かな?」


 それでね、と続けて

 

「あのおっきい銃声から神林君の位置が変わってないの。しかもだんだんとC原子の動きが鈍くなってきている。これって、すごい危ない状態なの。なんでかはわからないけどそういうものなんだって」

「そんなら、止まったり反応が消えるんは、どないなときなんや」

「対象者が死んだか、気絶したとき。かな」

「そっか・・・・・・」


 沈黙。美夏はさっきからずっとこんな状態や。

 ・・・・・・無理もない。思い人が危険なんや。美夏も気が気でないやろうな。せやけど――――――

 唐突に、ワイは足を止めた。背中から美夏の苛立ち混じりの文句が聞こえるが気にせず、振り返らないで先ほどから言おうと思っていた話題を切り出す。


「ヒメル、恭弥って今動いてないんよな?」

「え、そうだけど・・・・・・この先直線距離で150m、路地を通っていくとだいたい200mくらいのところ、だけどそれよりどうしたの?いきなり止まったりして」

「そうよ。早くしないと恭弥――――――」

「いいか、よく聞け」


 美夏の言葉を遮って、ゆっくりと2人に向き直る。雰囲気が変わったのに気づいたのか、美夏が怪訝そうな顔をする。ヒメルも何か感じ取ったのか、緊張した表情になる。

 そして、ワイは―――いや、オレはいつものおちゃらけた関西弁とは違い、仕事のとき用の1オクターブ低いバスヴォイスの標準語で続ける


「美夏とヒメルは今来た道を戻って、学生街に行け。そこで警備隊詰め所に行って事情を話すこと。その後は詰め所から動かずに待っていろ。わかったか?」

「なっ―――なんでいきなりそういうことになるのよ!!」


 戸惑いの表情、しかし直ぐに一変、食い掛かってきたが極めて冷静に切り返す


「危険過ぎるからや。まだ不確定とはいえ銃を持った相手や。そんな奴相手に素人同然の美夏は連れてけない。それにな、思い出せ。相手の狙いはなんだ?ヒメルだろ。その相手の獲物をわざわざ持っていくなんて、どうかしているんじゃないか?」

「で、でも、今までは連れて来てくれたよね?」

「相手の程度によるが、普通の拳銃相手だったら、オレ一人でも2人とも守れる自身があったんだけどな・・・・・・さっきの音で拳銃以上の銃火器を持ち出していることは確信できた、だから2人を守れないと判断したからだ。それにこんなに近づいているのに、オレたち以外に人の気配がしない、っていう事は相手は単独でヒメルを追っている可能性が高いともいえないか?」


 ちょっと待って、とヒメルが目を閉じて手を耳に当て耳を澄ます。


「うん、・・・・・・確かに、反応はないね」

「だから、さっさと引き返す方が安全なんだよ。それに―――」



―――――――ダンッ!!



 声に銃声が重なる。あわてて頭を低くする。

 とりあえず2人の安否を確認すると、美夏は問題なし。同じように頭を低くしていた。だが、ヒメルをみると顔面蒼白にしたまま、立ちつくしていた。


「―――――っ!!」

「ど、どうした!?」

「きょ、神林君の、神林君の反応が・・・・・・」

「ヒメル、落ち着いて!!ほら、深呼吸するよ。す~・・・・・・はぁ~」


 す~は~、と美夏に合わせて深呼吸して、とりあえず呼吸だけは整ってくる。

 

「神林君の反応が消えちゃった」

「「!?」」


 反応が消える。さきほどのヒメルの言葉が思い出される。

 ―――――――――死

 全身に電流が流れる感覚が襲う。考えることも、冷徹なキャラクターも投げ捨てて、放たれた矢のごとく全力疾走で駆け抜ける。横を見ると美夏も必死の形相で走っている。

 恭弥・・・・・・!!

 裏路地を抜ける。街灯のオレンジ色の光が視界いっぱいに入る。そして―――


 蒼い髪。夜の暗さでもはっきりわかる位に輝くサファイアのような瞳の白衣の女の子と、仰向けに倒れる影。左顔面が真っ赤に染まり煤けたシャツを着ている、どこか見慣れたあの男の顔。



 最悪の光景がここにあった。



 ・・・・・・くそ!!遅かったか

 次の瞬間。視界の端にいた美夏の全身が紅く、強烈に発光。そして、姿が消え、紅い光が地面に迸る。


「あああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」


 美夏の中国拳法の突撃技―――――鷹抓把ようそうは。頭突き、肩、膝蹴りの同時に当てる突撃技。

 しかし、蒼い少女はちらっと後ろにいる恭弥を一瞥し、落ち着いた様子で紅い光に向かい手をかざす。


「蒼壁、投影」


 蒼髪の少女への美夏の突撃技は突如あらわれた壁に阻まれる。

トラックが衝突したような轟音。と共に蒼い光を纏った壁と、紅く発光した美夏との間に紅と蒼の雷電が奔る。

 一瞬の拮抗。

 しかし破れないと悟ったのか、美夏のほうが飛びのく。すこし距離を置き、そして両腕を振り上げ深い呼吸をする。


「こぉぉぉぉおおおお・・・・・・」

「んっ!!・・・・・・・・・・・・」


 蒼髪の少女は歯噛みして空中にホログラムを展開。何かを打ち込み始める。ってことはさっきの壁はあの女の子が投影したものやな。それに、

 ・・・・・・ありゃ、ワイらのとは大分ちごうとるがD・PRG!! まさか、戦闘中にプログラムを組むんか!?


「な、なんちゅうやっちゃ・・・・・・」

「FN・FNC×7!!」

「・・・・・・・・・・・・はぁ?」


 黒色のアサルトライフルが、蒼い少女を取り囲む形で空中に投影される。しかも、1つ1つが蒼色の光を発していることから、全て投影したことは明らかや。せやけど・・・・・・あ、ありえへん。

 この短時間で銃を、しかも7丁も投影するなぞ人間じゃないで・・・・・・なるほど、怪物と呼ばれるわけや

 目の前のとんでも少女に絶句していると後ろから「ちょ、ちょっとまって~」と緊張感のない声が聞こえ、後ろを向く。ヒメルや。


「ヒメル・・・・・・まさかあれが」

「ふぇ? あれって・・・・・・ってメア!し、しかも本気モードになってる!?」


 予想通り、蒼髪の女の子は件の女、メアやった。

 ちゅうことは恭弥をボコボコにしたのもあいつで間違えないみたいやな。なら今ワイらがすることは、決まった。

 ヒメルを連れ作戦を言おう、と思ったとき再び美夏が動いた。


靠撃こうげき!!!」

「!!!!」


 体の背面と側面を使った豪快な突撃技。爆発したかのような轟音が大気を震わす。と、ついに鉄の壁が破壊される。そして勢いのまま突っ込む・・・・・・が立っているであろうメアの姿はない。

 どこにっ!?っと見渡し、気づく。空中に浮かぶ7丁の銃が、今自分に向けられていた。


「しまっ!!」

「FIRE!!」


 メアの合図に7つのFNCが、文字通り火を噴いた。先ほど聞こえた機関銃音、ただし今度は全身を押し付けるくらいの衝撃と鼓膜が破れそうなくらいの音波付きだ。自己防衛本能から思わず目を塞る。

 ・・・・・・な、なんなんや、これ。なんやんやこの女の子!?くそっ


「美夏!!」


 友の安否に叫ぶ、がその心配はすぐに解消される。


「っ――――あっぶないわね!!」

「超近距離からのアサルトライフルの銃撃をかわしますか、しかも無傷とは・・・・・・なら!!」

「はっ!!」

「け、拳銃もかわした!?」

「半歩崩拳!!」


 美夏の右拳撃。メアはアサルトライフルを引き寄せ、それを盾にして防ぐ。7丁全てが壊れるが、右手の拳銃を撃つ。

 それを美夏がしゃがみながら離れるように避け、全身のばねを使って突き上げるようなアッパーカット。それを右手の拳銃で防ぐ。空中に飛ばされるが、勢いのままに宙を蹴って飛びのき美夏と距離をとる。そしてアサルトライフルを投影して、発砲。

 美夏は弾を避けて直接銃を破壊しに空中に跳び上がって――――――そのまま空中での戦闘になった。


「何これ!?」

「拳法やな、美夏は身体強化を使って自分の技の威力を高めるスタイルなんや」

「は、はい?今のって中国拳法だったの!?それにあの銃ってFNCだし!?も、もう~~~何がどうなってるの!」

「簡単にいうと、美夏がブチ切れたってことや」

「う、うぇえええええ!!!」


 ヒメルと話をしつつも2人をじっと見続ける。こんな戦闘なんや、いつ巻き込まれるか分からんし、巻き込まれたらシャレにならん。っと、ほら言ったそばから動き出したで

 

「あぁ、うざったい!!・・・・・・・・・・・・はあぁぁぁぁぁぁあああああ」

「・・・・・・こちらも終わらせます」


 地上に降りた美夏はメアから10m位の距離をとって、左足を前に、腰を落とし半身にして右腕を腰におき構える。

 対するメアは―――ってなんや!?なんかメッチャ光っとるで!!

 ただ、光っているだけではない。相変わらずD・PRGを打ち続けているが、明らかにタイピング速度が早くなっている・・・・・・ゆ、指が残像残すくらい速いって人間か、あいつ?・・・・・・あ、怪物やったっけ、あいつ。

 そして、黒色の筒状の物体を投影し地面に降りる・・・・・・てありゃ、


「まさか、XM2010か!?なんちゅーもんをつくっとるんや!!」

 

 2011年にアメリカ陸軍に採用されたボルトアクション式のスナイパーライフル。詳しく語りたいとこやけど、とりあえず簡単に説明するとワイの中ではベストオブライフルに位置する銃ってことや・・・・・・いや~まさかそんなもんがお目にかかれるとはな・・・・・・ワイ生きててよかった!!


「――――っと、危ない危ない。一瞬夢の世界にトリップしてもうた」


 頭を振り雑念を排除。思考する。


「(今ワイらがやることはメアを倒すことやのうて、恭弥を助けることや。しかも最悪なことに美夏は暴走。ありゃワイの声は届かなくなっとるやろうし、はよせんとメアだけじゃなく美夏が恭弥を巻き込んでしまうかもしれへんし・・・・・・よし)」


 作戦を決め、ヒメルに振り返る。と、


「や、やばいよ!メアが本気になったらこの辺全部瓦礫になっちゃうよ!!」

「ヒメル」

「って、うわ!すでにあそこが瓦礫になってるし――!!」

「おい、ヒメ――」

「ああ―――も――だめだ―――!!」


 アカン、だいぶパニックになってるなぁ・・・・・・無理もない。一般人はこんな光景を見ることなんてないやろうし。なら・・・・・・

 D・PRG入力画面を開く。たしかここにあったはずなんやけど――――おっこれや。


「ヒメル、落ち着け」

「っ!?」

「今は騒ぐときやない。恭弥を助けなあかんのやろ。自分でいったろ」

「・・・・・・(パクパク)」

「返事は?」

「は、はい!!」


 ビシッと敬礼をする。うん、さすがワイの作った『その人の一番苦手とするものを見せる』プログラム、いやあ効果てきめんやな。もう落ち着いたみたいや。なんか怯えた目をしとるようにも見えるけど、気のせいやろ。むしろ少し震えてるように見えるけどたぶん目の前のバトルのせいやな、気にしない気にしない。

 


いよいよ美夏VSメアとの戦いに入りました。2人とも小柄ロリで慎ましい体型ペッタンコであり、なんとも可愛らしい容姿ですがやる事はだいぶ過激です。

次回で決着がつく予定ですが、その後はまたバカな会話を少しやろうと思っています。楽しみにされている心優しい方はどうぞお待ちください。

次回は8月26日です。けどバイトが夜まであるのでもしかしたら1日ずれるかも・・・・・・ぜ、善処します。

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