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First Contact 「メア・フリードブルク」

舞台設定⑤「世界樹」

北欧神話における世界を体現している架空の木。この作品では世界樹を模しているだけでユグドラシルが出たりオーディンとかニーズヘッグとかは出てきません。ただし、タイトルに描いてある位なので非常に重要なワードであります。伏線と思ってください。

ちょうど恭弥がヒメル・フリードブルクに跨られていたころ・・・・・・


「まったく、未成年に酒飲ませるなんて犯罪よ、犯罪」

「ま~それについてはごめんやけど、・・・・・・いい夢は見れたんちゃうか」

「な!?」

「お、そのリアクションやと酔っぱらってた時の記憶は残っとるみたいやな。いや~姫さん、随分と、だ・い・た・んやったの~」

「ち、ちちちち違うわ!!!それは、酔ってたからであって、ほ、ほほ本当ほっぺにするつもりはなくて!!」

「そうかそうか~ほんとは口にしたかったと」

「ちっが~~~~~~う!!!!!!!」

「って、殴りかからんといてや!!さっきボコボコにされた時の傷が癒えてへんときに、生傷増やすのは勘弁してや!!」

「じゃあ、ちょっかい出すな!!!」

「わーったわーった、もうちょっかい出さへんから。な、落ち着いて、家にかえろうや」

「うー・・・ほんとに?」

「約束や。もう絶対せえへんから」

「・・・・・・真面目な口調のクセに目が笑ってるんだけど」

「な、なんのことかの~」

「・・・・・・口元がにやけてるし」

「~~♪」

「はいはい、もっと口笛練習しようね・・・・・・・・・・・・って、あ」

「なんや、忘れもんか?」

「うん、恭弥ん家に手帳と、携帯置いてきたの忘れてた。はぁ、また明日いかなきゃ」

「嫌々な口調やけど、随分嬉しそうな顔やな。なんか通い妻みた――」

「ふんっ!!」

「へ、返事代わりにリアクションができへんくらい凶悪な正拳突きいれるんは勘弁してや・・・・・・ぐふっ」

「・・・・・・ふんだ」

「げほっ、っと、ふ~ちょっと落ち着いたー。とはいえ、恭弥は家に着いたばっかやろうし、裏道つこうたらここから10分や、いまからでも間に合うで」

「え・・・・・・そ、そういうことなら。い、行こうかな~」

「・・・・・・ふっ」

「な、なによその、成長した娘を見る母のような反応は。気持ち悪い」

「いや?なーんも・・・・・・・・・・・ただ、美夏も随分丸くなったの~と、思ってただけや」

「な、なによそれ。私は前からこんな感じじゃない」

「ああ、そうなんやけどな。恭弥とあってから随分と素直になったと思っての」

「それは・・・・・・・・・・・・」

「これも、愛が成せる技、ってとこかの。いや~ほんと、美夏と恭弥を知り合わせといて正解やったわ」

「・・・・・・ほんと、あんたってよくわからないわ」

「胡散臭いことに定評のある仁さんやからの。――――――まあ、ぼちぼちと恭弥ん家に行きますか」

「・・・・・・・・・・・・そうね」





「ふぅ・・・・・・」

 さて、状況を確認しよう。

 現在21:45、西通りの男子学生寮近く。なぜか研究区画から逃げてきた少女と、その少女を追ってきた美少女と、その美少女に心ときめかせた俺の3人が向き合っている。

 ・・・・これって俗に言う三角関係ってやつなのでは――っていかんいかん集中しなきゃ

 頭を振って切り替える。


①周りの状況・・・・・・街灯が少なく人通りも無い西通り。美少女との差は10mくらいか

②自分の状況・・・・・・学校で作った使い捨ての身体強化D・PRGを起動中。防御に比重を置いたD・PRGで、効果は攻性D・PRGを20回防御するのみ。

③相手の状況・・・・・・わからない。ただし『怪物』と呼ばれているため、警戒が必要。

④フリードブルクの状況・・・・・・未知数。でも、戦えるとは思えない。

⑤結論・・・・・・もしかしたら、こちらが優勢なのではないか。仕掛けてみる価値ある


「よし、じゃあ―――」

「逃げるよ!!」

「えっ」


 俺が時間を稼ぐから、と言おうと思ったらフリードブルクが遮って今度は俺の腕を掴んで走り出す。しかもなかなか速いスピードで。


「な、なんでだ?たかが女の子一人だろ?そんな逃げる必要なんて無いんじゃ」

「とんでもない!!あんな可愛いなりしてるけど、メアは世界で一番の投影使いなんだよ!?こんなとこにいたら瞬殺されちゃうよ!!」


 へ~あの子の名前ってメアって言うのか。・・・・・・よし、覚えた。なんか投影使いって言ってるけど・・・・・・まあ、いいか。たいした問題じゃない。重要なのは名前だ。

 一目惚れ相手の名前を脳髄に刻みつつ、フリードブルクに落ち着いた口調で訊く。


「あの子って投影使いなのか。・・・・・・でも、投影するものは剣の類なんだろ。そんなに距離をとる必要はないんじゃ・・・・・・」

「ちっが―――う!!」

「うわっ!?い、いきなり大声出すなよ」

「メアが作るのは、学生が作る、おもちゃの剣じゃなくて―――」


 一拍、間をおいて


「本物の『銃』なんだよ!!!!」

「・・・・・・なんだって?」


 銃って言ったか?ピストルのことだよな。こう、弾こめてバーンって撃つあれだよな

 ・・・・・・ぷっ、馬鹿馬鹿しい

 なんだか逃げるのもおかしくなってきた。俺は足を止めた。突然止まったから後ろに引っ張られたフリードブルクが「何やってんの」というが、諭すように答える。


「いいか、投影って言うのは単純に形を真似ればいいってワケじゃないんだ。重要なのはその仕組みだ」

「そんなのは知ってるよ!だから早く逃げなきゃ」

「まあ、落ち着け。いいか、刀剣みたいに1つ、もしくは複数の金属を組み合わせた玉鋼を変形させるような武器は構造としては単純なんだ」

「それに対して、銃はトリガー、マガジン、セーフティレバー、グリップ、リボルバー、それだけじゃないね。銃弾も作るから弾頭、薬莢、リム、雷管と火薬の代わりに専用のD・PRGも作らなきゃいけない。そして、作った部品を正確に組み立てるためのD・PRGも必要なんだよね」

「ああ、そうだ。そしてお前が脱走したのは今日だよな」

「うん、ちょうど今から2時間くらい前かなぁ。メアもすぐに追ってきたよ」

「なら、考えてもみろ。いつ、どこで武器を作る時間があった?」

「―――あ!」

「複雑な構造の銃を1つ作るには最低でも2週間かかる。それも4人以上で分担して、だ」

「じゃあ、今のメアは怖くないってこと?」

「そゆこと、だから逃げる必要も無いし戦う必要も無い。なんせ―――」


 相手は丸腰なんだから、そう言おうとした、その時、






―――――突然、暗闇を引き裂くように乾いた銃声が響いた。






「――――――えっ?」


時間が止まったように感じる。ゆっくりといままで走ってきた道を振り返ると、そこには蒼髪の少女が青いオーラを身に纏い、拳銃を構えて佇んでいた。構えた拳銃から硝煙が立っている。その銃で撃ったのだろう。


「突然止まるなんて、・・・・・・鬼ごっこは終わりですか?」

「あ、ああ、ああああ」


 ヒメルは恐怖からか、顔は青ざめ、見て分かるくらいに膝は震え、今にも崩れ落ちそうだ。

 それでも銃を構えた怪物――メアは淡々と話す。


「それにしても・・・・・・あなたは痛がらないのですね」

「えっ?」

「だから、あなたですよ・・・・・・あぁ~名前聞いてませんでしたね」

「痛いってなに―――」


と、突然、腹部が燃えるような熱を発する。


「ぐあああぁぁぁぁぁあああああああ!!」

「おや、今、痛みが来たのですか。相当のにぶちんですね」


 なにやらメアがぼそぼそ言っているが、あまりの痛さに気にする余裕が無い。

 ・・・・・・う、うそだろ。防御のD・PRGを起動しているはずだ。なのになんで

 痛みにこらえきれず、思わずしゃがみ込む。そんな俺を見下ろしながら


「『何で痛いのか?』って顔をしてますね」

「・・・・・・ま、まさか・・・・・・本物、なのか・・・・・・っぐっ」

「もしそうだったら、今頃あなたは三途の川の船頭とエンカウントしていますよ」

「メア、例えがよく分からないんだけど・・・・・・」

「ヒメル、世の中には別に知らなくてもいいことなんていっぱいあるのですよ」


 メアの冗談にもいちいちツッコめない。腹部からの焼けるような強烈な痛みがから発せられ、体中から一気に汗が噴き出す。

 ちらり、と恐る恐る撃たれた箇所を確認すると・・・・・・血は出ていなかった。

 間違いない。D・PRGの特徴、セーフティプログラムが発動している。


「よかったですね。この学園にはセーフティープログラムが強制的に発動する仕組みだから、どんなに撃たれても死にませんよ」

「・・・・・・」

「・・・・・・話をするのも辛い、ってとこですね」


 なんてこった。このメア、って言う女の子、この短期間でまさに本物の銃を組み上げやがった。こりゃ本当に『怪物』だな。

 自分のD・PRGを確認する。残り回数は19回になっていた。つまりさっきの攻撃は防御したということだ


「あなたのD・PRGは起動していましたよ。だけど、弱すぎです。あんなのじゃヤンキーのパンチを防げる程度で、とても銃弾なんて防げませんよ」

「お、お前は一体・・・・・・」

「何者か?ですか。・・・・・・話す理由がありません」


 カチャリ。

 リボルバーを廻して、銃口を俺に向ける。


「ヒメル、逃げろ。ここは俺がどうにかする」

「そ、そんな無茶だよ!!」

「痛いだけだ。ちょっと油断したけど、次は当たらないさ」

「それも無茶だよ!!物にもよるけど、拳銃の弾速は250m/s~350m/s。人間が避けられる速さじゃないよ!!それに――」

「いいから逃げろ!!!」

「っ!?」


 いきなり大声を出したからか、それとも必死の形相だからか、ヒメルはビクッと震え、そして、俯きながら訊く。


「何でなの?何で私なんかを助けるの」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・ごめん」


背を向けて走り出した。

 逃がすまい、とメアがヒメルに向けて銃を放つが、すかさず俺が割って入る。

蒼い弾が俺の左肩に直撃する。抉られるような激痛に倒れそうになるが、どうにか踏みとどまる。


「ぐっ・・・・・・!!やっぱ痛えな」

「どうして・・・・・・どうしてあなたは無関係なあの子を逃がすのですか?」

「む、無関係じゃない。いま、さっき知り合ったんだ。話だってしたし、自己紹介もした。少なくとも赤の他人ってわけじゃない」

「それでも、今日、今さっき知り合った子の為にここまでする必要も無いでしょう」

「は・・・・・・!!あんな可愛い女の子を助けるために理由なんているかよ。―――女の子だから。それ以外に理由なんてないさ」

「・・・・・・・・・・・・」


 猜疑心に満ちた視線をじっとりと向ける。そんな視線も気にせず、俺は平静を保ったように見せ、ゆっくりと立ち上がる。

 ・・・・・・まあ、普通こんな話信じないだろうな。実際嘘だし。

 ヒメルを助けたいって気持ちも確かにある。だけど、逃げずに立ち向かえたのは、単純にこいつに勝てると思ったからだ。

 ・・・・・・時間が稼げればいい。そうすれば―――


「まあ、どうでもいいです。私がやる事はあなたを撃つのみです」

「そう簡単に撃たれてたまるかよ!!」


 幸いにも足は撃たれてない、どうにかして人のたくさん居る場所に逃げ込めれば異常事態に気づいた警備隊が出張るはずだ。

 ・・・・・・そうすれば、俺の勝ちだ―――

 次の瞬間、近くの路地まで全力で走り、そのまま入っていく。メアも入って来るが、気にしない。なんせここは俺の庭だ。いくら真っ暗闇だろうと道は体が覚えてる。

 痛みに耐えながら、鉛のように重く感じる足を強引に動かす。



申し訳在りません・・・・・・遅刻しました

いや、言い訳するつもりは無いのですが今日は結構ドタバタしたのですいませんでした・・・・・・

次回は遅れないように頑張ります。次回は8月12日です。

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