Student Meeting 「学生会次期会長、須藤愛」
はい、久々の須藤さんです。忘れた方はNightTalk②を見るといいと思います。ついでに美夏の萌えシーンで悶えちゃって、それから読み始めると幸せになれると思います。
前回の続き。なんやかんやあって仁の家に色々と来るらしい。
「おじゃましますわ」
「あ、愛ちゃんだ」
「こんにちはですわ。美夏」
仁に連れられて客間に入ってきたのは須藤愛だった。長めのサイドポニーに深い色合いの緑髪、昨日と同様に学生会を表すエンブレムの付いた特注の制服を着ていた。凛とした態度なのだが昨日の乱れっぷりがすっかり脳に焼きついてしまったのか、どうにも変な人という印象しかない
・・・・・・そしてできれば体を壊している時には会いたくない人なんだけどな。だって―――――
「どうしたの?なんで愛ちゃんがこんな場末のスナックよりひどい場所に来たの」
「おい!!」
「そうね・・・・・・まあ理由は聞いていると思うのですが今日は学生会の会長として来ましたの―――――洗いざらい話していただきますわよ。恭弥さん」
ほら、また面倒なことになった。
☆
ここからは最重要人である俺とヒメルとだけ話したいという事で、仁と美夏は別室待機という事になった。須藤さんは律儀にも枕元で正座し、真剣な面持ちで見つめてきている。
・・・・・・昨日の事なんてまるで知らないって顔だな。
おそらく須藤さんは仕事とプライベートを分別つけられる奴なんだろう。さすがは学生会会長ってとこか。
では、と須藤さんがおもむろに口を開く。
「我々学生会の意向としては、今回の事件を内々で済ませたいのですわ」
「ほう、生徒には知らせず自分らだけで犯人を捕まえると。そりゃなんで?」
「銃という革新的なプログラムによる犯行。興味本位でちょっかいをかける生徒がいるかもしれませんでしょう」
「だけど一般生徒に注意喚起はしないのか?メアが無関係な人を巻き込むとは思えないけど可能性としては捨てきれないだろう」
「そんなことしたら昔の貴方たちみたいに首を突っ込む輩が出てくるに決まってますわ。そう、あ・な・た・た・ちみたいなのがね」
「おうおう、耳が痛いのう」
「いいですか?―――理由としてはこんな具合ですが、なにかあります?」
「・・・・・・」
ちょっかいをかける生徒がいることに関しては否定はできないな。昔は俺と仁も当事者だったわけだし。
ただ、心配しているのは、D・PRGなんていう魔法みたいな技術を教わっているのにも関わらず、実習以外では使用を禁止しているってことにフラストレーションを溜める生徒も少なくないという現実だ。そんな奴らがつるんで、自警団の名の下に暴力事件をおこして警備隊や学生会と衝突するって事件もあるくらいだし。
そんな奴らの手にメアが銃の技術が伝わったとなると―――いや、今の俺には関係ない。頭を切り替えよう。
「須藤さんの―――というか、学生会の気持ちもわからなくはないな。ただ、本当にあんたらの力だけで捕まえられるのか?」
「ですから貴方の持っている情報が欲しいんじゃないですか。さて、そろそろ本題に入りますわよ」
「・・・・・・・・・・・・(カクン・・・・・・カクン・・・・・・)」
須藤さんは姿勢を整えた・・・・・・視界の端でヒメルが舟を漕いでいるように見えるけど、無視する事にする。
「それでは恭弥さん。あなたは昨晩西通りにて銃撃を受けて全治5ヶ月の怪我を負ったとのことですが、そのとき犯人の顔は見ていましたの?」
「ああ」
「具体的な特徴など教えてくれませんこと?」
昨日の夜を思い出す。
暗い夜道。金髪の美少女ヒメル。銃声。そして――――
「メア・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・どうしましたの?いきなりニヤニヤしだして。気持ち悪いんですけど」
「蒼いロングヘアー・・・・・・白衣・・・・貧乳・・・・・・うへへぇ」
「・・・・・・は?」
「んjgんbjkすじlzkdfj」
「ちょっとヒメルさん!あそこの病人がいきなり壊れたのですが一体―――――って!あなた何寝てますの!?」
「――――ふえ!?ね、寝てないれふよ。ヒメル、全然寝てませんですわよ」
「それ、私の口調ですわ!勝手に使わないでくださいまし!!ってそんな事よりもあの方がいきなり壊れたのですがどうすればいいんですの?」
「えっとー・・・・・・確か斜め45度上方からチョップすれば直ったんだっけですわ・・・・・・?」
「それテレビを直す際用いる手段の中で最も原始的な方法ですわよね!?」
「ゴメンなさい。こういうのは美夏が詳しいと思いますですわ」
「だから口調を真似しないでくださいまし!!
「sたbんbっふぃきいwのtbkyl;あwんg」
「――――ああ!もうっ。美夏――――!!ヘルプ・ミーですわ―――!!!」
☆
「大体5分ってとこかの。まあ、がんばったんちゃうの」
「なんですの、その上から目線。しかも私がギブアップするのを予測していたんですの!?」
「そもそも何でギブアップしたの?」
「・・・・・・むしろ、なんであんなに壊れているか訊きたいのですが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「先ほどは顔を真っ赤にして何だかよく分からない言葉を発して悶えていたのですが、今は無言ですし・・・・・・一体どういうことですの?」
「・・・・・・なあ、『メア』の話題とかしたか」
「え、ええ。容疑者のメア・フリードブルクの身体的特徴を訊きましたが―――」
「「はぁ~・・・・・・それだ」」
「そういえば、神林君ってメアのこと好きなんだっけ」
「?それと一体どういう関係があるのですの?」
「恭弥は今、病気での。メア関係の話題を振るとぶっ壊れるんや」
「はぁ・・・・・・?もしかして、恋煩いってやつですの?」
「おお!察しがよくて助かるわ」
「しかし、ああも豪快にぶっ壊れるものなんですの?」
「それぐらい、メアが好きってことなんじゃない」
「はぁ・・・・・・美夏。怒ってます?」
「べっつにー。じゃあ、すぐ直すからね・・・・・・ちょわっ!!」
☆
「はっ!!こ、ここは・・・・・・」
「気が付きました?それでは話の続きですが―――――」
「ちょちょちょ、ちょっと待て!今この瞬間何が起きたんだ?」
「うるさいですわ。まだ壊れているんですの?もっかい叩かれたいのですか」
「なんでだよ!!」
訳の解らない。メアの脳内画像で癒されていたらいきなり頭を殴られて、気がついた時には須藤さんがめっちゃ不機嫌になっているし。ヒメルはなぜか苦笑してるし。全く意味が分からない。
でも大体こういう時って俺が悪役ってパターンだから、何も抵抗しないほうがいいってことが分かってるから声に出しては言わないけど。
「さて質問の続きですが―――――聞くことがありませんわ」
「は?」
「貴方にメア・フリーブルクの話題を振ると話しになりませんもの」
「そ、そんなこと・・・・・・無くも無い」
「神林君・・・・・・自覚してたんだね」
「・・・・・・だってしょうがないじゃん。好きなんだもん」
「じゃあメアのこと以外で訊きたい事はないのかよ?」
「ありませんわ。では―――」
「じゃあ、このメアからの果たし状も知りたくないってことだな」
「!!!!」
須藤さんが襖に手を掛けた状態で、目を見開いて俺を睨みつけてきた。そしてズンズンと大股で俺の布団まで近寄ってきて顔を覗き込んできて、
「そういう大事な事は早く言いなさいですの!!!!」
怒鳴り声を上げた。しかもかなりの大声で。いきなりの事に耳がキーンとしたがそれ以上に俺は思う。
――――――やっべ、須藤さん弄るの超面白いんだけど!
心の奥底に眠るSな自分が目覚めそうになったがどうにか落ち着かせる。須藤さんも深呼吸で心を落ち着かせて先ほどの場所に座りなおす。
「それで、果たし状とは一体なんなのですの?」
「論より証拠。ほれ」
先ほど仁がおいてった白色紙をヒメルに渡してもらう。しばし沈黙。
舐めるように何度も読み返し、ぶつぶつ何か言いながらも意を決したように顔を上げる。
「それで・・・・・・貴方がたはどうするおつもりですの」
「無論、果し合いを受ける」
「却下ですわ」
「なんでだ?そもそもの話、果たし状を受けたのは俺たちだ。須藤さんにとやかく言われる筋合いなんてないんだけど」
「学生会会長として危険な行為をする生徒を黙って見過ごすことは出来ませんの。ヒメルさんは私たちが責任を持って保護しますので貴方達は大人しくしていなさい」
「むっ・・・・・・」
「大体、貴方達に勝算はあるのですか?美夏以外使い物にならない上に、無策のまま向かったところで、どうせ今の貴方のようになるのが関の山ですわ。それならば私たちに全てを任せるのが得策ではなくて?」
・・・・・・悔しいが言っている事は正論だ。このまま何もないまま行けば負けるってことはなんとなく分かる。仁だってそこは分かっている。だけど―――
「じゃあ、あんたらが行ったら確実に、何の被害もなく、メアに傷をつけることなく捕らえる事ができるのか?」
「そ、それは・・・・・・やってみないことには」
「そもそもの話、あんたらはメアについてどれくらい知ってる?戦闘スタイル、機動力、投影の質と量、それ以外にも勝つ為の情報は必要なはず。それを踏まえてあんたらはメアに勝てるのか?」
「・・・・・・何が言いたいのですの?」
予想通り、こちらの挑発に乗ってくれたようだ。声だけ聞けばいつもの調子だがこめかみには青筋が浮かんでいるし、頬もピクピクと軽く痙攣している。間違いなく怒ってるな。
今までの事から須藤さんが直情的でプライドが高そうなのはおおよそ予想がついていたけど、それにしても顔に出やすいタイプだよな。
そんな須藤さんの殺気も気にすることなく、俺は平静な声で口を開いた。
「協力してくれないか」
「・・・・・・はい?何だかよく聞こえなかったのでもう一度行ってくれません?」
「だから、俺たちと学生会が協力してメアを捕まえようってことだ。俺たちってメアに関しては色々知ってるけど如何せん、戦力が足りなくてな。そっちから何人か仲間になってくれないか?」
「あなたたちがよくても私たちのメリットはありませんわ。それよりも貴方がすべき事は――――」
「俺たちが掴んでいる情報を渡す代わりに、あんたらは俺たちに協力して決闘当日に何人か人を寄越す。そうすりゃお互いのメリットは満たせるはずだが?」
「それはそうですが・・・・・・って、あなた。まさか!」
ようやく気が付いたのか、須藤さんはハッとして歯軋りをしながら俺を睨み付け吐き捨てるように言った。
「取引ってことですの?」
ということでStudentMeeting(学生会)の前編です。何だか恭弥が別人のように感じられたかもしれませんが、それはスイッチが入っているかいないかの差だと考えてください。スイッチが入ると、あいつも肝が据わる性格です。
さて、次回はトークバトルWith須藤の続きです。来週まで乞うご期待。




