8、構想について③(世界観・設定の練り方)
これも、練るのが好きな人と嫌いな人がいますね。
色んな人の話を聞いてみると、世界観とか設定を練るだけでご飯三杯イケちゃうよ! という作者さんも多いみたいです。かく言うわたしは、あんまり設定を練るのは好きではなく、けっこう行き当たりばったりに決めるところがあります。
まあ、そんなことはさておきまして。
今回は、世界観・設定の練り方です。
そもそも、「世界観」「設定」とはなんでしょう?
多分これも色んな方が自分の考えをお持ちでしょうけど、このエッセイではざっくりと言葉の意味をきめてしまいます。
「世界観」とは、作者が持つ小説世界への印象のことで、「設定」とは、その小説世界の中で適用されるルールのことです。
どういうことか。
たとえばですが、わたし、(前回お話ししたような事情により)あんまり中学校時代は面白くありませんでした。これは、「わたし(リベンジャーK)が自分の中学校時代について抱いている世界観」なんですね。
世の中の小説には、現代社会を材に取った小説はたくさんあります。でも、その一つ一つを見てみると、小説によって(同じものであるはずの)現代社会の雰囲気が違うことに気づきます。人によっては、「現代社会なんてクソみたいなもんだ!」とでも言いたげな暗い雰囲気だったり、他の人の手にかかれば「案外捨てたもんじゃないなあ」とほっこりするような雰囲気だったりします。そう、世界観っていうのは、あなたがこれから作ろうとしている小説世界の印象のことなんです。
たとえば、荒川弘さんの漫画「鋼の錬金術師」と、衛藤ヒロユキさんの漫画「魔法陣グルグル」は同じファンタジーですが、全く受ける印象が違いますよね。「鋼~」は暗くてじめじめとした感じですし、「魔法陣~」は明るくてのほほんとしています。世に言う「世界観」というのは、そういうことを指します。要は、「明るい話を作りたいのか、暗い話を作りたいのか」を考えて、明るい世界を作るのか暗い世界を作るのか。初心者の方なら、世界観の練り上げについてはそれくらいでいいと思います。
お次に、設定です。
普通、設定というと「人物設定」などを指す場合もあるんですけど、このエッセイでは「小説世界で通用するルール」という風に意味を限定させて頂きます。
特にファンタジーやSFなどで多いんですが、現実世界にはないルールがある場合があります。たとえば、「宇宙人が地球に来ている」とか、「魔法が使える」とか、「生徒会が学校を牛耳って先生たちすら圧倒している」とか。
なんだ、簡単じゃん。そう思いませんか?
でも、実は設定を練るのって、大変です。
なんでかというと、実際の世界に存在しない設定を考える際、その設定がその世界にどう影響を与えているのかを考えなくてはならないからです。
なんだか難しい話になってますね。
というわけで、ちょっと考えてみましょうか。「もしも、現実社会でドラゴンクエストの魔法が使えたら!」
わたしが思いつくままに書いちゃいますね。
ルーラ(一瞬で移動できる魔法)が使えるので電車やバス、自転車が要らなくなる。
メラ(炎の魔法)があるので、ライターとかマッチが売れなくなる。
魔法による殺人や傷害事件が横行するも、ザオリク(蘇生呪文)のおかげで実際の被害は小さい。
レミラーマ(地面に落ちている宝物を見つける魔法)を身につけたホームレスが億万長者になった、というニュースが流れる。
モシャス(変身魔法)により完璧なオレオレ詐欺が完成する。
イオナズン(敵全体に大ダメージ呪文)によって商店街で通り魔事件発生。それを受け、商店街では魔法を封じる結界を張ることが決まる。また、マホカンタ(魔法をはねかえす魔法)を教えるある魔法使いがカリスマ扱いされることになる。
などなど……。
「魔法が使える」という設定がわたしたちの世界に放り込まれることで、色々と様々な部分で影響が出てしまうんです。
とにかく、ここで言いたいのは、「その設定を投入することによってどういうことが起こるのか?」を色々考えてみましょう、ということです。