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13、早くも終わりを考え始めよう


 さて、書き出しも終えたあなたは、やれ、このキャラクターをどう動かそうかとか、あいつをどう成長させてやろうか、とニヤニヤしている頃だと思います。そうやってニヤニヤしながら書くのが小説の醍醐味なので、ぜひとも楽しんでいただければなあと思います。

 さて、でも、小説を書き出した頃に、作者はある作業をしておかねばなりません。

 それは、「落とし所を模索する」ことです。


 というか、オチを決める、ってことですね。

 たとえば、異世界に迷い込んだファンタジーなら、主人公は元の世界に戻れるのか、また異世界で着手していた仕事や任務は果たされるのか。恋愛小説なら、主人公たちの恋愛は成就するのか否か。とにかく、最後の光景をしっかりイメージしておきましょう。

 でも、ここで、「え?」と思った人がいませんか?

 プロットとか構想を練ったのに、また練るの? と。

 確かに構想を練りましたよね。でも、所詮、構想・プロットというのはただの設計図です。設計図っていうのはおうおうにして絵にかいたモチなので、実際の状況に合わせて変更されるなんていうのは当たり前に存在することです。

 ちょっと小説を書き出してみると、けっこう当初の構想から外れてしまうことなんてよくあります。

 たとえば、ちょっと書き始めてみると、ただのツンデレキャラでしかなかったあいつに他の属性も見えてきちゃったぞ、とか、アイツのあの設定が意外な影響を周囲に与えたぞ、みたいな。いわばこれ、脱線です。

 でも、不思議なもので、(もちろん度合いによりけりですが)脱線は小説を面白くする要素です。上手い人なんかは脱線に脱線を重ねて面白い小説を書いていたりします。

 ただ、脱線した小説を書き上げるのは、けっこうなスキルが必要です。

 脱線した話を元の流れに戻す技術や、とりとめもない出来事を上手く魅せる筆力、またその脱線の登場によって作品全体に与える影響を見てお話の筋自体を変える即応力。ぶっちゃけ、経験が物を言うんですね。

 ただ、このエッセイを読んでいる皆様は基本的に初心者のはずです。もちろん、生まれつき物語を作る才能に恵まれた人というのもいるにはいますが、ほとんどの小説家さんは数をこなすことによってそういうスキルを磨いています。

 というわけで、最初から脱線をオススメしてしまうと、きっと書いていて辛くなります。脱線したお話の筋を本筋に戻せずに詰んでしまうことになります。

 なので、書き出し~全体の四分の一くらいまでに、それまで書いてきた文章の「脱線」を加えた上で、構想をもう一度練り直してオチの形を決め直すと、一段と書くのが楽になると思います。

 

 そして、きっと、こういう人もいるんじゃないかなー、と思っています。

「世の中には、終わりのない小説がありますよね?」

 たとえば、ライトノベルの人気シリーズとかですかね。あとは、WEB小説で、大好評を得て読者が増え、その読者の要望のままに長期連載化して、いわゆる「エタる」(エターナル状態になる・終わりがなくなる)小説になっちゃう場合ですね。

 まあ、大抵「エタる」原因としては、人気作品に躍り出た場合なので、自作の人気が出てから考えた方がいいのですが、いちおう、一作者としてのわたしの見解も述べておきます。

 これ、1でも言ったことなんですが、作者によって小説を書く楽しさは無限にあります。その中で、他人から評価を得るのが楽しい、とか、交流が楽しい、という作者さんがいるよ、とお話しさせてもらいました。そういう方にとって、人気作品というのはその目的を満たすものなので、エタる小説になってしまっても何ら問題ないと思います。シュミなんですから、その辺は自分のやりたいように、というのが基本です。

 けれど、上手くなりたい、とか、プロになりたくて勉強中です、と思った人に対して、エタる小説を書くのはオススメいたしかねます。

 エタる小説を書いている間、実は作者の中では「0から物語を作る能力」が磨かれない状況になっています。

 要は、構想を練ったりプロットを作ったり、という作業。そして出来上がった構想を元に小説を書き始めて模索すること、そして、最後まで書ききって、末尾に(完)と書き入れること。

 もちろん、シリーズものやエタる小説が楽とは言いません。むしろ、新たなものを作るのとはまた別の大変さがあります。でも、「0から物語を作る能力」は、エタる小説を書いている間には磨かれない能力です。というわけで、もしもあなたが小説家を志したりしているのならば、あまりエタる小説には手を出さないようにしましょう。

 もちろん、これも最初の話に戻ってしまうのですが、あなたが感銘を受けた小説がエタる小説だった場合はその限りではありません。

 色々と理屈をこまねいていますが、「書きたいものを楽しく書こうぜ!」というのがこのエッセイの基本スタンスでございます。


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