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10、実際に書く前にもう一度


 はい、構想は練れましたか?

 え? 「結局小難しい話が続いてるじゃないか」ですって? ああ、前回までの話は基本的に、理屈っぽい人向けの話になっております。世の中には、「理屈をこねたって駄目なんだよ!」という職人さん気質の人もたくさんいます。自身をそういう人間だと思っている方は、ここ数話の話題はシカトぶっこいていただいても結構です。それに、世の中には、最初の一文を書いてから構想を練るという天才じみた人もいるそうですよ。とにかく一作目・二作目を書こうとしているあなたは、何より「面白さ」を優先して下さい。要は、構想を練るのに飽きてきたら、どんなに作業が途中であっても実際に書き始めちゃいましょう。

 というか、そのうち何作も書くようになると分かりますが、構想やプロットっていうのは、書いているうちにけっこうコロコロと変わってしまうものです。なので、執筆前からガッチガチに作ってしまうより、あとでどうとでもなるようにフレキシブルに作っておいた方が案外上手く行ったりします。まあそれはさておきまして。


 でも、わたしとしては、実際に書く前に、一つお勧めしておきたいことがあります。

 今日は、そのお話です。


 このエッセイの「2」において、「書こうと思ったきっかけになった作品みたいな小説を描けばいい」という話をしました。

 あなたが気に入った作品というのは、あなたにとって目標にする作品の一つです。なので、気に入った作品みたいな作品を書くといい、というのが「2」でのわたしの主張です。

で、それをもう少し進めまして。

 是非とも、書く前に、気に入った作品をもう一度読み返してみてください。


 これ、いくつかの意味があります。

 もちろん、その作品の作風とかやり方といった技術面に触れることで「こういうときにはああするといいんだー」とか、「ああやればいいんだー」などが分かる、という側面もあります。

でもですね、何で私がこういうことを言うのかというと、一番の理由は「読者としての自分」を意識して欲しいからです。

 きっと、これから何作も小説を書かれるであろうあなたならそのうち痛いほど分かってくるかと思いますが、小説を描けば書くほど、純粋に小説を読むことが出来なくなっていきます。もちろん、面白い作品を読めば楽しい読書の時間を過ごすことになるんですが、でも、読みながら「わたしならこうするけどなあ……」と思わず呟いてしまうのが書き手という生き物の本能です。

 そうすると、どんどん、純粋な読者の気持ちが分からなくなっていくんですよ。

 ああ、でも、それってそんなに怖いことじゃありません。むしろ、中には書き手としての読み方の方が楽しい、という人すらいます。

 でも、本を開いて読んで、「うわーすごい」とただただ純粋に目を輝かせていた今の感覚は、今だけのものです。是非ともそれを心に留めておいてほしいのです。

 きっとこれって、これから長く小説を書いていくにあたっても大きな財産になるでしょうから。


 あと、もう一つ、実際的な理由があります。

 あなたが書こうとしている小説の、「呼吸」を感じ取ってほしいのです。

 たとえば、ケータイ小説にはケータイ小説の呼吸があります。ラノベにはラノベの呼吸があります。一般文芸も然り。

 多分、呼吸ってなあに? ってお思いの方もいらっしゃるでしょう。でも、こればっかりは文章にしにくい感覚です。

 もし無理矢理言葉にしようとすれば、「その文芸ジャンルや形式が持っているお約束や時空、ルールなどの複合体」という曖昧かつ中二病臭い説明に終始してしまいます。こればっかりは、あなたが本を読んで、肌で感じ取っていただきたいことなんですね。これを捉えるのが上手い人というのが、「器用な作者さん」と呼ばれる作者さんだったりします。

 すごくざっくばらんなことを言えば、「ケータイ小説っぽさ」とか、「ラノベっぽさ」、「一般文芸っぽさ」、「ジャンプ漫画っぽさ」、「少女マンガっぽさ」みたいなものを感じ取って、そのエキスを自分の心に吸い上げておいてほしいのです。

 それが、文章を実際に書く時に、生きてくることになります。


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