表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミモザを君に  作者: 水槽の中の脳(腐り気味)
2/6

一日目

カツン…カツン…

硬い石の階段を誰かが降りてくる音がする


今日が何月何日なのかヴェリアはもうわからない。そのくらいここの景色は変わらない。

どれだけの傷を負わされただろうか。

無抵抗でいるしかないヴェリアはそれでも一向に仲間の事を口にはしなかった。


また今日も苦痛の時間が始まるのか…

そう思うと心が暗くなるがそれを表には出さずに音のなる方を睨みつけていた。


「『反逆の英雄ヴェリア』機嫌はどうだ。」


少し小太りな男が声をかけてくる。


「ご機嫌伺いとは珍しい趣向だな。捕虜への配慮が行き届いているじゃないか」


嘲笑を含んだ彼女の低い声が地下牢の壁を打ち、幾重にも響いた。

彼の手中でクルクルと回る鍵束がカチャリ、と鈍い音を立てた瞬間

彼女の指が無意識に鎖を握りしめた。

壁際に置かれた松明がぱちりと爆ぜ火花が一瞬闇を染め上げる。

その閃光の中、彼女の眼差しが一瞬だけ鋭さを増したことに、果たして男は気づいていたのだろうか。


「前の男はどうした?アイツが相手だと私も殴られるだけでラク出来たのだがな。」


そう言って小太りの男を見る。

小太りの男は見た感じ新しめの軍服に身を包んでいるが、首元は緩めていて真面目に勤めているわけではなさそうだ。


「前任の者の事は良く知らん。

拷問…か。まだ若いな。」


それを聞いてヴェリアは更に警戒心を深める。


「尋問なら無駄だぞ。お前たちが知りたい情報は全て墓場まで持っていくつもりだからな。」


語尾に滲んだ覚悟は墨のように濃く、揺れない。

冷たい石畳に膝をついたままヴェリアは己の鼓動のみを感じ、数えるように瞼を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ