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2-1 事後

 カーテンの隙間から陽光が射し込む。どうやら夜が明けたようだ。

 昨晩の俺はどうかしていたと思う。でなければ、出会ったばかりの稚い少女のような見た目の女性に欲情し、息を荒げ股間の怒張を隠せず興奮するなんて事はあり得ない。

 大人二人分程度のサイズのベッドの上。そこに膝立ちで窓の外を眺め逡巡する俺は生まれたままの姿であり、全身が汗とそれ以外の液体とでベトベトになっている。

 俺の前にはうつ伏せに倒れる淡い桃色の長い髪の尖耳族の小さく細い女性。肩で息をしている彼女もまた一糸纏わぬ姿で、同じように体中が濡れそぼっている。


 端的に言おう。

 致してしまった。


 あの後、彼女に手を引かれるままこの部屋へと招かれた。やや古めかしい木造二階建ての集合住宅の一室。扉の先は手狭な台所。そこから三つの扉で仕切られている。ひとつは厠、ひとつは浴場、ひとつがこの中央にベッドだけが置かれただけの小部屋。

 彼女は俺をベッドに座らせると手を握ったまま隣に腰を落として何かを喋りかけていた。内容は具体的に思い出せないが、貴方の名前は?とか、何処から来たの?みたいな内容だったと思う。熱病に魘されてしまったかのようにぐらつく視界と思考を無理やり奮い立たせ、ただ首を横に振ると彼女は自身をエルミラだと名乗り、その後すぐに行為へと発展した。

 まるで狂った獣のように俺はエルミラを貪った。一戦、二戦、衰えず三戦と続き、僅かに疲労を感じると、今度はあろう事か彼女の方から俺を求めてきた。エルミラの声が、表情が、色素の薄くまるで大人には見えない体躯が、毛の一本までもが愛くるしく、俺の情緒を揺さぶり、掻き混ぜ、惑わせる。

 気が付けば朝日が昇るこの時刻まで欲望を吐き出し続けていた。

 敢えて言うが、俺は少女性愛者ではない……と信じたい。

 エルミラを見やると突っ伏したまま小刻みに痙攣している。その光景と愛し合った名残と噎せ返るような臭いがまた懲りずに俺の男性自身を隆起させる。流石に精豪すぎやせんか。

 「どうしたの、さっきまであんなに元気で旺盛だったのに暗い顔よ?」

 いつの間にかエルミラは上体を起こし、こちらに視線を向けていた。まだほんのりと頬が赤っぽい。

 「気にしないでくれ。少し自己嫌悪というか、これまでを反省している最中だ」

 自身の顔を手で覆いながら答えるとエルミラはくすくすと笑い声を漏らす。

 「非道い人。こんなになるまで汚しておいて後悔だなんて。肉欲を満たす為なら幼児体形の私でもよかった、という事かしら?」

 「そんな事はない!君は美しい!まるで運命の人に巡り合えたようにも感じた!」

 エルミラは目を丸くして驚いた素振りを見せる。しまった、と思った時には既に本音が出てしまっていた。

 そうさ、異常性愛症と誹るといい。俺は彼女を一人の女性として見てしまっている。自分自身を律することすら出来ない程に彼女に惚れ込み夢中になってしまった。出会って間もない行きずりの女性に対してだ。笑うがいい。フハハハハハ!!

 「情熱的ね。嬉しいわ」

 エルミラが笑ってくれる度に、俺の心は圧し潰されそうになる。顔面が火を噴きそうな程に火照っているのが触れずとも分かる。

 「冗談よ。少し揶揄ってみたくなっただけ。確かに私は幼く見られるけれど、年齢はきっと貴方より上よ」

 性犯罪にはならないから安心して、と付け加えるエルミラ。俺だって未成熟な身体を嗜好している訳ではなく、他ならない君だから理性を失ったのだと言いたかったが恥ずかしすぎて口籠ってしまった。

 「さあ、準備をして出掛けましょうか」

 しどろもどろとしている間にエルミラは裸のままベットから下り立ち上がる。

 「出掛けるって、何処に?」

 「冒険者組合。昨日はギルド証を作れなかったのでしょう?もう一度行って事情を説明しましょう。そうすれば今度はきっと大丈夫」

 そんな事まで俺は話していたのか。だが昨日の今日で、しかも何の用意もなく赴いて変化があるだろうか。でも何もしない訳にも、別の妙案がある訳でもない。説明が足らなかったことも事実だ。再挑戦してみて、駄目ならまた策を講じるのも悪くないだろう。

 「その前に、私も貴方も湯浴みが先ね。それに……」

 そう言い俺の股間を指差すエルミラ。それはまだ元気なままだった。

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