愛のままにわがままに。
「急がなきゃ…!」
ブツブツ言いながらマリアが両手を胸の前で組み、神に祈りを捧げている。
俺にとって神様はあんまり信用出来ないヤツなんだがマリアは本気でなんかやってる。
そんな時、祈りを終えたのかマリアの身体から半円の光が飛び出し、猛烈な速さで拡がっていく。
『まさか絶対守護防壁…でもえらく瑞々しいというか色が濃いというか。』
「ダメ元で防壁の重ねがけをやってみたの。一枚だとすぐ壊されちゃうから10枚重ねてみたの」
マリアは頑張っている。凄く頑張っている。
「でもさっきの話が本当だとしたらいつまでも耐えれないかもしれない、だからその内に…」
マリアは凄い。俺と同じ歳なのに。
「だからお願い…ソーマ。
子供達や町の人達をどこか遠くに…」
空からバリンと音がした。
見上げるとなんとすぐそこまでヨロヨロが来ていた。
ヨロヨロしているが眼光は赤く鋭く、よく見ると牙も爪も歴戦の鍛冶屋が仕上げた武具のようにシャランと鳴りそうなほど磨き上げてある。
そんな絶望がもう目の前だ。
それなのに俺は…
なんか手を広げてマリアの前に立ってる
「バ…バカっ!ソーマ皆んなを避難させて!」
ゾワリとした。
マリアは凄い。でもそれは天啓をもらったからなのかな?
『だってマリア死ぬ気じゃん!このヨロヨロすんごいガンタレてんだよ!どう見てもマリア狙い撃ちだよ!』
「そりゃ城吹き飛ばしちゃったしね!
それより貴方何考えてるの!」
ゾワリとした。
多分天啓を貰ってなくてもマリアは自分の最大限出来ることをしたんだろうな。
だから今も町の人の為に出来ることをしている。
バリン!!
ここまで鬼気迫る絶対絶命もないだろう。
もうヨロヨロは次のバリアを破ったらマリアを殺すだろう。
その前にマリアの前にいる俺がコンマ数秒先に死んじゃうだろう。
『マリア』
もはや時間も無いし心臓バクバクだし頭も回らないからとりあえず名前だけ呼んだみた。
「ソーマ…」
何だろうこんな時は妙に周りの事に気がつく。
さっきからやたらと気付きが良い。
(俺と)マリアがヨロヨロを足止めしてる間に町の人達が逃げていくのが見えた。
とんがり帽子の子供達も後ろ姿が見えたから神父さんが連れて行ってくれたんだろう。
そういえば誕生日でお祝いしてもらえるはずだったんだよなー
あ、ホントにもうすぐで日が変わるや。
出来る事なら18歳になってみたかったぜ。
「ソーマの…」
マリアは人の為に最大限出来ることをした。
俺はそんなマリアの為に最大限出来ることをしようと思っているし、する。
天啓をもらえなかったその日から、いやずーっと前からそんなことばっかり考えてる。
(バリンと最後の防壁も突破された。死に至る。)
(何がヨロヨロだ、ふざけるな。)
だからなのか死に直面したからなのか分からないが、素直な心の気持ちが口から勝手に出てきた。
『愛して
「ソーマのアホーーーッッッ!!」
ゾワリとした。




