第十四章9 【覇王杯/オーバーロード・カップ/河池 祈清チーム】7/訳あり美少女マッドサイエンティスト3
よくよく、聞いてみると、【祈清】が自分を助けるために巻き込んだ、【金髪の少女/シェリア】や【銀髪の少女/フェアリア】も【芳一】の事を知っていた。
最初は何だか解らない【サイト】を作っている奴が居るとしか認識していなかったが、【シェリア】と【フェアリア】の言葉で【芳一】の【ハンドルネーム】を認識する。
そして、【フェアリア】の言葉で、【芳一】が亡き母の初恋の相手だったと言う事にたどり着く事になる。
その頃の実験で、【祈清】と【シェリア】と【フェアリア】が前世で同じ【世界】にいたことが解り、運命的な事を感じていたが、更に、【芳一】を交えて、【宿命的】な事を感じざるを得なかった。
その後、【シェリア】と【フェアリア】に内緒で、【芳一】の事を調べたが、彼の人生は決して恵まれたものでは無かった。
だが、何度叩かれてもその度に起き上がり別の道を不屈の精神でまっすぐに立ち向かっていたのが解った。
その【芳一】の人生を知れば知るほど、自分がみすぼらしく、惨めな人生を歩んでいると思わずに居られなかった。
嫉妬した、彼女は組織の人間を使って、【芳一】に刺客を差し向けた事もある。
だが、彼女には理解出来ない、不思議な感覚を持った【芳一】は刺客からの強襲を上手く避けていた。
虫の知らせとでも言うのだろうか?
何だか解らないが、いつも通っていた道を刺客が居る時に限って急に道を変えたりして回避していた。
それを説明しろと言われても説明出来ないが、何だか解らない何かを彼は見ている。
そんな気がした。
現に、彼は人間の知覚情報の外側を見ている節が見られる行動を何度もやっていた。
それまでAというコースを進んでいたのに、邪魔が入る前にBというコースに進み、その後も、Bと言うコースを進み続け、邪魔をBに変えたらCというコースに進み、邪魔をCにしたらAに戻るなど、彼の行動に説明が付かないのだ。
【芳一】に聞いたら恐らく彼は、ただ何となくと言うかも知れない。
とにかく、危険に対する防御能力が人のレベルを超えているのだ。
何故、その様な力を得たか解らない。
だが、何度も卑怯な真似をする心ない人間達の嫌がらせに対して、真っ正面から立ち向かって行く内に、邪悪な気配を何となく察する力を得たのかも知れない。
人間に眠っている、危険から回避する能力。
その様な物があるのかも知れないと【祈清】は思うようになった。
そうでなければ、彼は何度も死んでいるはずである。
人間の持つ、隠されたセンス、力。
その何かを【芳一】は使う事を許された人間なのだと彼女は思ったのだった。