第十四章39 【覇王杯/オーバーロード・カップ/彩綾 絢チーム】12/バーチャル・エネミー8
【ニィナニナ】の軽いジャブ、自己紹介代わりの【声魂】と言う力は恐るべき力だった。
だが、本番はこれからである。
【ニィナニナ】は、
『次はこんな遊びはどうかしら?』
と言って、左手でパーを出しその手のひらに右手の人差し指を1本添える。
そして、
『名づけるなら、【シチュエーション・バグ】かしらね?
10分で切り替わる様に設定したわ。
つまり1時間で6回、【シチュエーション】が突然変わる。
私を倒しに来ると言う設定は変わらないけど、状況などがまるで変わると言う事。
倒し方なんかもそれぞれのシチュエーションで異なるわ』
と言った。
【絢】は、
『何を馬鹿な・・・』
と言うが、【ニィナニナ】がパチンと柏手を一本入れて、
『はい、スタート』
と言う言葉と共に、状況がガラッと変わった。
そこは【宇宙空間】。
【絢】は、【パイロットスーツ】を着ている。
この光景が【宇宙戦争】をしていて、【絢】は何らかの【巨大ロボット】に乗り、敵と交戦している。
【絢】は、
『・・・こういう事か・・・』
とつぶやいた。
脳の方で、敵機には【ニィナニナ】が乗っていて、それを打ち落とす事を目的としている事を直感する。
『何処・・・何処に隠れているの?
・・・そこかっ』
と言って、【巨大ロボット】の装備である【ハイパーカノン砲】を放つ。
これは、巨大隕石を一発で粉砕する程の火力がある。
だが、敵機は超高機動で動いている。
あっさりとかわされてしまった。
やはり、何の戦略も無しに火力にものを言わせて攻撃しても当たらない。
【敵機】はジグザグに動き、【絢】の操縦する【巨大ロボット】と一定の距離を取っている。
待っていても攻撃して来ない。
からかっているのが解った。
【絢】は、
『バカにして・・・』
と言って、【レーザースピア】を使って接近戦を試みる。
が、全て交わされてしまう。
【ニィナニナ】は、
『あはははは・・・
どうしたの?当たらないよ。
こっちこっち』
と笑っているのが聞こえた。
【絢】は、
『この・・・』
と怒りをあらわにした。
が、そこで10分経った。




