第十四章38 【覇王杯/オーバーロード・カップ/彩綾 絢チーム】11/バーチャル・エネミー7
【超態至】の【チョーカ】に対して苦戦をしている【文】を余所に、【謎歪虚】の【ニィナニナ】と退治している【絢】の方にも動きがあった。
【ニィナニナ】は、
『さぁ、私達も遊びましょうか』
と言った。
【絢】は、
『見た目は十四五歳の少女って雰囲気ね。
中味はどうなのかしらね?
【謎歪虚】なら、見た目で判断するのは危険よね、あなた・・・』
とつぶやいた。
『じゃあ、こういうので判断してもらうってのはどうかしら?
少し内容を解説してあげるわ。
名前を付けるなら、【声魂】と言う事になるかしら?
例えば・・・適当なもの・・・
そうね・・・その辺に立っている木でも良いかしらね?
台詞を言うわよ。
【私の名前は樹木。
【絢】に攻撃を1分間、仕掛ける】
と言う台詞を【魂】にしてそこの木に移す。
すると、貴女に1分間、攻撃をしてくるわ。
だから、1分間、避けてね』
と言うと、口から【エクトプラズム】の様なものを出し、それをたまたま、景観の一部として設置していた【樹木/櫻の木】の中に入れた。
すると、樹木がぶるぶると震えて、まるで【樹木の姿】をした架空の生物とされる【トレント】の様になり、
『私の名前は樹木。
【絢】に攻撃を1分間、仕掛ける』
と言って、攻撃を仕掛けてきた。
櫻の花を硬質化させて、飛ばしてきたり、枝を伸ばして鞭の様にして攻撃して来たりした。
大した戦闘力では無かったので、避けるだけで済んだが、きっちり宣言した通り、1分間攻撃した後、【櫻の木】に戻った。
【絢】は、【櫻の木】を軽く調べて見たが、元の設置した状態と同じ状態に戻って居た。
それを確認した【ニィナニナ】は、
『今のはどういう力か解るかしら?』
と聞いた。
【絢】は、
『・・・恐らく、貴女が言った言葉を再生するために【物】がそれを正当化させる様に動く様に操作と言うことかしらね?』
と答えた。
【ニィナニナ】は、
『ほぼ、正解。
よく出来ました。
補足すると、操作したじゃなく、私の言葉を正当化する様に、声の塊が入った【物】の方が動くのよ。
操作という意味では不正解という事になるわね。
これは別に意思の無い物だけには限らない。
意思のある生き物でも私の行動を正当化させるために、勝手に動いてくれる。
例えば、貴女の台詞を私が言ったとしても貴女は私の言葉を正当化させるために貴女の意思とは無関係に動かす事も出来る。
自己紹介としてはこんな感じで良いかしら?』
と言った。
【絢】は、
『自己紹介・・・ねぇ・・・
怖いアピールよね・・・』
とつぶやいたのだった。




