第十四章35 【覇王杯/オーバーロード・カップ/彩綾 絢チーム】8/バーチャル・エネミー4
【文】対【チョーカ】の戦いが始まった。
それから距離をとって見ていた【絢】と他のメンバー達。
本来なら【絢】が戦いたかったが、それを【文】にとられてしまった。
そうなった場合、また、彼女は【チョーカ】から【絢】になってしまったため、まる1日待たないと次の【存在】になれない。
その存在にまた丸一日なって、その後で戻る事になるから実質まるまる2日待たなければ相手を作る事が出来ないのだ。
仕方なく、【文】と【チョーカ】の戦いを見学する事にした。
すると、その集団に声を掛ける存在が居た。
『暇そうね。
時間は有効に使うべきだわ。
私はそう思う。
だから、私が相手してあげましょうか?』
と言った。
【絢】は、
『貴女は?』
と聞いた。
その少女は、
『私の名前は【ニィナニナ】。
貴女が明日、私になる予定よ』
と言った。
貴女(【絢】)が私(【ニィナニナ】)になる予定?
どういう意味だろうか?
明日なるのであれば、まだ現時点ではなっていないはずである。
それが、もう、存在している。
意味がわからない。
だが、【ニィナニナ】が【謎歪虚】の要素を持っているのであれば合点がいく。
そのわからない部分は【時】を超えると言う事。
つまり、未来から過去にやってきたと考えれば納得が行くのだ。
だが、その場合、【絢】が【ニィナニナ】に明日なる事を止めてしまえば矛盾が生じる。
そう言う【不思議】な存在である。
【ニィナニナ】は、
『さぁ、どうするの?
私と遊ぶの?遊ばないの?
それとも私が怖いのかな?』
と言った。
確かに怖い。
人と言う生き物はよくわからない事が一番、怖いのだ。
怖いから解ろうとする。
解らなかったら怖いから解きたくなるのだ。
だが、【ニィナニナ】は解らないと言う事を当たり前とする存在。
それが怖くないハズがない。
だが、それで良いのだ。
相手にとって不足はない。
【絢】は、
『良いわ。
ちょうど、スパーリングの相手が居なくなって退屈していた所よ。
貴女が私の相手をしてくれるって事で良いのよね?』
と言った。
『えぇ。
ただし、明日には私になって貰わないと、明日になった時点で私の存在は消滅しちゃうから気をつけてよね』
『そうね。
なるべく、今日一日で決着が付くように心がけるわ』
と言う話になったのだった。
こうして、【文】対【チョーカ】と同時進行で、【絢】対【ニィナニナ】戦いも始められる事になったのだった。




