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第十四章26 【覇王杯/オーバーロード・カップ/河池 祈清チーム】24/恋愛相談1

 【祈清】は、様々な研究をこの【覇王杯/オーバーロード・カップ】で行っていた。

 だが、それらの研究とは全く関係ないものも、1つだけ行っていた。

 それは何か?


 トンドントントントントン・・・

 何かを叩く音がする。

 何だろう?

 海外の人にはあまりなじみがないが日本人の古い記憶には存在する懐かしい音だ。

 それは、包丁でまな板に敷いた何かを切る音だった。

 それは母親が、朝早く起きて、お味噌汁を作っている様な音でもある。

 子供は眠たい目をこすりながら、母親のその姿に深い愛情を感じるのである。

 誰もがとは言わないが、多くの人に残っている優しい光景。

 心が温かくなるこの雰囲気。

 だが、これが何故、【覇王杯/オーバーロード・カップ】と関係があるのか?

 答えは関係ない事はないが関係なくても全く問題のない事である。

 それは【祈清】が夢見た光景だからである。

 幼い頃から闇の組織で生きてきた彼女はこういった当たり前の光景を知らない。

 それは幼い頃、母親が残した映像の中で、日本人の朝はこういう事があって、それで愛情を育むんだと亡き母が語っていた事だからだ。

 だから、それはあくまでも【祈清】の想像の中での原風景に過ぎない。

 合っているのか?間違っているのか?

 正しいのか?不正解なのか?

 それを確かめる術は現時点においてはない。

 それに、今更、こっ恥ずかしくて、人には聞けない。

 昔の日本ではこういう光景がありましたか?なんて、人付き合いが苦手な彼女の口からはとても聞けやしない。

 だが、それを実感したかった。

 体験したかった。

 味わいたかった。

 お袋の味というやつを。

 知ってみたかった。

 ただ、それだけである。

 後、出来れば、相談したいことがある。

 誰に?

 もちろん、亡き母にである。

 何を?

 それは、恋の相談だ。

 誰との恋?

 待って待って、その前に・・・

 ・・・好きな人が出来ました。

 その事を報告したい。

 母に恋愛相談をしてみたい。

 ただ、それだけだった。

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