第十四章24 【覇王杯/オーバーロード・カップ/河池 祈清チーム】22/実験(唯絶違)
次に【祈清】が研究するのは、【唯絶違】である。
【出鱈目】と似ているが、【出鱈目】ではないと【祈清】の中では定義づけている。
【出鱈目】は滅茶苦茶である様だと一応、そのさまが確認出来る。
それに対して【唯絶違】は知覚の外側にあるものであり、確認が出来ない。
その点が、【出鱈目】と【唯絶違】が似ていても異なる部分である。
【出鱈目】であると言う事が認識出来るのは、人間の感覚からするとごく一部であると【祈清】は考えている。
それ以外の【唯絶違】に分類されるものとして、認識さえ出来ない【出鱈目】であるかどうかも解らないものはもっとたくさん存在していると思っている。
認識出来なければ【謎】のそれと変わらないと思えるが、それも違う。
なぜならば、【謎】は、答えが見えないだけであり、もし見えるのであれば、人の身でも理解出来るものだと仮定しているからである。
【祈清】が言いたい、【唯絶違】とは、見えないだけでなく、例え見えたとしても人の認識では全く理解出来ない何かが存在?し、それは【謎】や【出鱈目】とも違う何かでは無いかと言うことである。
確認する事が出来ないので、それはあくまでも仮説に過ぎないが、人の思考レベルというのはある程度までで限界をむかえると彼女は思っている。
その先にも何かがあるとは思っていても直接的にはそれを理解する事が出来ない。
例えば、太陽を人間が直視する事が出来ないが、間接的になら見れる様に、何らかの女権を付け加えれば確認する事が出来る何かがあるかも知れない。
ただし、その確認出来た何かは人間が理解出来るものだとは限らない。
全く理解出来ない、理解に苦しむ、意味不明のものがあるはすである。
それを【謎】や【出鱈目】とは別の定義でくくりたいために創り出した【単語】である。
それは【芳一】の言葉を借りれば【フィクション・レジェンド】と言う作品を通して【知覚】出来ない【ダメージ】と言う表現を使っているがそれに近いものがあると言えるだろう。
【知覚】出来ない【ダメージ】を追えば、回復が出来ないため、それで回復する事なく【死】に至るなどで【芳一】は表現している。
また、【芳一】の話をしてしまったが、彼はやはり、自分には見えない何かが見えていると言わざるを得ない。
【芳一】と話さなかったら、彼女はこれの可能性すら知らないまま、人生を終えていただろう。
余談になったが、これもまた、文字を分解して考える必要があるだろう。
【唯類違】と似た考えだが、
【唯】とは唯一の唯である。
そのことだけをするさま。
それより他にないと限定するさま。
ひたすら、もっぱら。
数量、程度などがごく少ないさま。
わずかである。
【絶】とは絶つ事。
打ち切る。
止める。
絶える。
途切れる。
滅びる。
隔たる。
遠く離れる。
断る。
拒む。
【違】とは違うと言う事。
異なる。
たがう。
そむく。
従わない。
去る。
離れる。
よこしま。
悪いこと。
などが考えられる。
これも他の定義同様、頭を悩ませる難問となるだろう。




