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変なボーイフレンド

作者: euReka

 わたしのボーイフレンドは変なやつだし、変な匂いがする。


 中学二年生になった最初のホームルームのとき、やつは隣の席に座っていたわたしの手をいきなり握ってきた。

 それに、やつからは変な匂いがする。

「君の右手が何かを探しているように見えたから、思わず」

 わたしは、小さい頃にピアノを習っていたせいで無意識に指を動かす癖がある。

「放っておいたら、きみがこの世界から飛んで行ってしまうと思って……」

 とんでもなく変なやつが隣の席になったなと、私は憂鬱な気持ちで家に帰った。


 次の日、学校へ行くとやっぱりやつはわたしの隣の席に座っている。

 休み時間になると、クラスの女子がやつの周りに集まってきてなぜか人気者みたいだ。

「彼ってイケメンで、学校中の人気だよね」

 友人のクミが休み時間に別のクラスからやってきて、わたしにそう話す。

「彼の隣の席に座ってるだけでラッキーだよ。王子様の隣なんて嫉妬するよ」


 わたしは、しばらくするとクラスの女子から無視されるといういじめを受けた。

 そんな様子を見かねて、やつが深刻な顔でみんな仲良くしようよ、いじめはいけないよと言うと、さらにいじめは酷くなって学校のわたしの上履きに画鋲を入れらたりするようになった。

 やつは、わたしの置かれた状況が全く分かっていないただの馬鹿だ。

「クラスの女子はあなたに夢中なの。だから隣の席のわたしは嫉妬の対象でいじめにあってるの。わかる?」

「ぼくはなぜか女の子にモテてね」

「そんなの知らないけど、あなたっていつも変な匂いがするよね。最近は慣れてきたけど、隣の席に座ってるといつも気になる」

「えっ、そんなこと言われたの初めてだ……」


 そういうやり取りがあってわたしたちは一瞬だけ恋人気分になったのだけど、いじめがエスカレートして精神が壊れたので、わたしは転校した。


 山奥にある古いお寺のような学校で、ここならわたしを攻撃してくる人間はいないだろうと思った。

 でも登校すると、わたしの隣の席にはやつの姿が。

「ぼくは別にストーカーじゃなくて、この学校がぼくの実家なんだ」

 わたしは頭が混乱したけど、やつからはもう変な匂いがしないことに突然気づいた。

「広い世界を知るためにあの学校へ入学したけど、みんな自分の信じる世界を見ているだけで、つまらなくなってさ」

 なにそれ、人間なんてみんなそうでしょ?

「まあそうなんだけど、君もそれが嫌でここへ来たんじゃなの?」

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