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「我は魔女なり」 〜引きこもるためのスキル【マイルーム】をもらったがあまりに世界が酷いので暗躍することにした〜  作者: いかや☆きいろ
不思議の国のアリーチェ

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再び、ムルベイ

 いつも読んでくださりありがとう御座います。

 ショウは結局シャロンを気絶させるまで投げ倒した。なんかエロいな。まあ水野と立石が出てきてお茶飲みながら三人で見てたんだけど、シャロンの戦闘スタイルが拳なので相性がひどく悪い。身体能力でも負けてる。そりゃ勝てない。


「ショウ、人の止め方はわかったろ。これでもう戦えるんじゃないかい?」


「うーん、正直カーラのギフトにお世話になってたいけど、それは甘えだよな」


「別に甘えてもいいがね。立石とか水野はずっと転がってるし……なんで転がるのお前ら」


「われわれはじゆうだからさ〜」


「ぐうたらしとってすまんの〜」


「師匠、カーラ様にわざと嫌がらせしないでください」


「マリーはええ子やね〜」


「マリーちゃんは遊んでいい。なにやってんのお前ら。いいけど部屋で漫画読んでなさい」


「楽しい」


「そやね」


「別の楽しみ方を見つけなさい。まあそういうわけでショウは旅立ちたいんだね?」


「おう、グリードさんにザマァしないとな!」


「可哀想だからやめたげて! 悪いことしてないし!」


 この状況に慣れたのかスルーだし。ザマァはね、本当に敵側が悪辣なザマァ系はあるけど普通に主人公が能無しだったらそのままパーティーとかに置いといたらそれは主人公側が寄生なのではって思うよな。たまにザマァしてるやつとかチートしてるやつとかのほうがやり過ぎなのあるし。え、お前冒険の知識とか自分の努力で得たとか思ってんの? 守ってもらってたのに? とか。その環境だからいろいろ得られて死なずにも済んでるのに、とか。まあなんというか、悪いヤツってのが書くの難しいんだよね。結局悪かどうかなんて究極的には自由には責任が伴うもんだし責任の内で好き勝手してザマァ食らったとしてもまあ予定通りなんじゃないかね。活動的な怠け者って無能な働き者並にたちが悪いよな。それを悪としたら主人公はだいたい悪だし。私は魔女を名乗ってるけど?


 なのでグリードはいい子だからほんとザマァとかやめたげて。やらないだろうけど。


「恩返しするぜヒャハッハー!」


「まあこれからムルベイ公爵と会うからそこでどうするか決めたらいいさ。王女様もお別れだよ。いろいろ勉強になったよ」


「カーラが? なんで?」


「やる気があっても迷子になってる子がいるなら、道を指し示すために転がす杖を貸してあげるのも悪くないってね」


「いろいろ考えているのね」


「なんに対しても論理的な具体的な考え方、建設的なだけの前を向く考え方、それは確かに個としては完成しているだろう。でもね、私たちは神のように個であれるほど強くない。だから群れのことも考えないと駄目なのさ。そうするととたんに難しくなる。人はそれぞれの個を持っているからね」


「私も合理的であることだけが賢さだと思っていたわ。でも実際には自分の足元も見えていなかった。自分で働いてみれば価値とはなにか、どう生まれるか、そういうのがわかってくるのね」


「価値は相互作用の中に生まれる。単体ではいくら自由でも無の空間をさまようのと等しいからね」


「存在の基本か……私たちはひとりではいられないから神に作られたんだろうか」


「そう思うね。あいつは寂しがりなのさ」


「神が知り合いみたいに言うじゃないの」


「そこで転がってるが?」


「立石、ぶつかってこないで!」


「うっせえこちとらルシファーだ! あいた、石頭!」


「ふたりで遊ばんの〜。ウチも混ぜまいな〜」


「転がるのはやってんの? 楽しいの?」


「あれが神なのね」


「自由で孤独なのさ」


「矛盾してるけど自由がある中で自由じゃなくてもいられることが幸せなのかもしれないわ」


「そういうこと。さあ、ではこの世界でどう生きるかね?」


「これから学んでいくわ。世界は学べば学ぶほど広くなると知ってしまったからね」


「お姫さんだけどアリーチェは自由で賢くて強いねえ」


 転がってるのたちとショウ、アリーチェをマイルームに放り込んだら、ムルベイに飛ぶ。なんか忘れてるような気はしたが。


 あ、シャロンか。あれはまあいいや。自分が足りなすぎるのを理解しただろ。力じゃなく技じゃなく、自分の足で立ってやろうという気持ちさ。それがないヤツに存在意義なんかないね。そこらへんで並んでたらボーリングのピンくらいにはなるかもね。自分で動かないならロボットでいいんだから。さて、ポインタはムルベイ公爵領の都に置いてある。何度かムルベイ公爵とは作戦を練っているからね。直接転移してもいいがブロッサムのムルベイ本店を置いてるのでそこに移ってからいろいろ指示出しして、その後はムルベイ公爵の執務室にダイレクトに行く。


「よっと、リベルト=ムルベイ公爵お疲れさん」


「お、カーラか。ヘーイ! 元気ぃ〜? アリーチェ様もご無事で」


「急に真面目か! カーラがいるのになにも問題ないわ!」


 アリーチェとムルベイ公爵は一応親戚筋になるのかな。まあ王家からムルベイに来た人がいないと公爵と名乗れないし。


「無礼者ー! ぐはー!」


「なんだいこいつ。変なの飼うようになったねリベルトさん」


 なんか変な少年が襲い掛かってきたので気圧で潰しておいた。なんだこれ?


「ほんとに問題ない?」


「カーラが問題なのはいつものことだから問題ないわ!」


「それもそう? そいつは第三王子に付いてる騎士団長の息子のジャコブだな」


 なるほど。あの猪突猛進系騎士団長の息子ね。面影がある。ポッ○ー食べる?


「お初にお目にかかります、魔女様。私は宰相の息子、ルーベン=パーリングと申します!」


「そっちはあのセクハラオヤジの息子ね。将来ハゲそうだね」


「禿げませんが?! 今回は第三王子アルスと共にアリーチェ姫をお迎えに上がりました。早々に魔女様にお目通りが叶い光栄至極」


「邪魔くさい喋り方するんじゃないよ若いのに。そっちのオヤジ見習え」


「うえ〜い!」


「見習わなくていいや!」


「軽く、ですか。難しいですね。いろいろご教示願います……じゃなくて教えてくれるかい?」


「そういう方向? まあ経済とかそういうのでも困ってたら相談に乗るけど?」


 パーリング宰相の息子は流石に情報通で政治にもしっかりと精通してる。父親の仕事も手伝ってるのでそこら辺の識字率五十%の国の文官と違い賢い。しっかりと合理的だ。アリーチェより賢いのはまあこっちが年上だからだろうね、あの子は優秀だ。アリーチェには今の世界情勢というかこの大陸の情勢についてしっかりと聞いてるが、さすがになにもしないというのは気持ち悪いくらいの事態になっている。あちこち戦争だらけ流通が滞るゆえの貧困だらけだ。


 そもそも敗戦者の村が多すぎることには気づいたか? あちこちに敗戦者の村があり種族ごとに数百人以上のグループができてる。この周辺だけでだ。元より開拓が進んでいない世界なので土地は分捕った者の所有地として交渉権ができるというこの大陸の共通とも言える価値観に基づいてグループができれば村ができるのだが、それでも多い。


 前線では毎日のように数万人規模の兵がにらみ合っている。関が原級の戦争が長期間続いていると思っていい。そもそも日本だって戦争の破壊力が上がったことで小さい国が無くなったように進歩していけば国の括りは意味を失うものだ。銀河とか開発してる時にどこそこの国の命令で〜とか言ってたらさすがに人類馬鹿かと思う。合理性ゼロか。太陽の光って地球に何%注いでいると思う? 一%? そんな沢山なはずがないだろ。その太陽の光を全部使ったら一日で現代の地球の消費換算で数億年分エネルギーが蓄えられるとかそんな規模だ。争ってるのバカみたいだろ?


 で、この世界はマジで合理性ゼロだ。そこまで行かないのはトップを見たらわかるが政治だけでどうこうできるものではないとはいえ、末端でも学校に通える仕組みは作っている。それに通えない、通っても識字まで行けないレベルなのは結局は戦争が長引いてるせいではある。


 貧しくなるのだ。働かない兵士共が飯を食えばそのぶん働いてる人が締めつけられる。シンプルにいかないことなんてわかってるがシンプルに見れないのは意味が違う。現実から目をそらすってそっちだと思うぞ。自分たちが馬鹿なのを認めるのは怖いもんな。


 将来AIが全部やるようになったら馬鹿もまた個性だって気づくんだろうが。それは今はいい。理想は形にするものだ。ただそれだけ。


 戦場は広く、敗戦した傭兵たちはホウボウへ散り、また傭兵団を起こし戦う。この世界の制度は緩い。それでも力を持つものが台頭しないのは力には別の力で応える世界だからだ。要するに暗殺だな。


 個の力が強いこの世界では力なき個人が持てる力が自然と弱くなるんだ。そうなると革命とか起こらない。貴族の高い能力に打ち勝つすべがないからな。傭兵や戦いを好む本当に強い奴らは金で操作されるしな。頭が悪かったら使えないから身内に消されるしな。


 魔法のある世界の常識はやはり元の魔法なき世界の常識とは違ってくるな。個の強さが進めば国は必要なくなる。いずれそうなるだろう。


 ひとりでは生きられない、それはそう。でも今だけかもわからん。ひとりでも惑星開発したりできる時代になったらどうだ? 他者が必要かは怪しいな。孤独を紛らわせるくらいか。それもAIが個を持つ時代になれば解決する。


 人間の価値は文明が進めば薄れていくからな。お互いに価値を持っていると思っていなければ、つまり信用がなければ成立しない。


 その点、この世界は美しい。価値とは力。シンプルである。


 だが、だからこそ戦争は無くならないし、なくす動きを作らなければならない。悲惨な構図を理解できなければ何度も繰り返すだけだ。それは許せない。


 なので私は杖で指し示す。この世界から戦争を無くせ、と。それが私のやることだね。


 面倒くさいけど世界と関わっていくしかねーな。戦争嫌いなのは事実だもの。平民が一番苦しむんだ。そんなもん多数派勝利の時代にあっちゃならない。戦争は悪だ。そいつにだけは私も正義を通させてもらおう。


 正義も愛も敵だが、戦争を消すためには手を結んでやろう。


 立石をスクルドが回収してるんだがあいつらはまたなにをやってるの? え、私が考え事してるとつまんないの? それもそう。でも若い衆いじめるのやめたげて。せんべいやるからあっち行ってなさい。おとなしくマイルームに帰る立石。素直。


 サルバトーレ=セクハラ=パーリング宰相の息子のルーベン「セクハラじゃありませんが?!」をまじえてリベルトと、それからワルテルとかも呼んで今のムルベイの近況とかを話し合う。


「西の南の方な、こっちはムルベイと直接シトロン共和国がつながってるんだがこの北向きの砦あたり、モッセレン辺境伯領南部なんだが、神もどきが傭兵を集めてる。シトロンの議員をひとり殺して財産をかっぱいでそれで基盤を作ろうって話で三方に睨まれてるわけだがなぜか普通に勢力を拡大してる。どうも虫使いがいてそいつがいい仕事するらしい。開墾とかな」


「虫使い。心当たりあるねえ」


 異大陸の虫使いだ。そろそろ泣かせないとダメかね。前にスタンピードを軽くいなしてやったから白の魔女は敵認定のはず。そろそろ私がムルベイに付いて動いてるのも把握されるはずだ。わざと大きく動いてるからね。そして反ムルベイ派もあぶり出せている。難しい説明を許せばムルベイ公爵の思惑は伝わるものだと思うが敵対派閥がそんな丁寧な説明を聞くはずがない。言葉尻を捉えて大声で文句を言うだろう。そうしたら馬鹿な民衆は反体制に酔う。は〜、いやだいやだ。今の日本だってそうだろ。反対意見が極端に少ない場合はコントロールを疑わないほうがおかしい。


 見たまんまがすべてであろうはずがないのにな。よって、そのタイミングで力を示す。アリが群がってもエベレストは崩れない。あの山構造的にはずっと盛り上がってくるしな。魔女はもっと崩せない。神がバックにいるもんで。


 神はお菓子散らかして極楽極楽とか言ってるけど? ぬいぐるみ個人で持ち込みすぎぃ! 幸せそうでなによりだね!


 まあ神が転がってるのは無視してムルベイ公爵と対応について相談しあってるがそろそろ本国にせっつかれ始めたので神もどきを潰してもいいかということになった。ショウとアリーチェの卒業試験にしようかね。さあて。






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