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「我は魔女なり」 〜引きこもるためのスキル【マイルーム】をもらったがあまりに世界が酷いので暗躍することにした〜  作者: いかや☆きいろ
 老いたワルテルの悩み

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ブロッサム拡張

 ブクマ百件超えてました。有り難うございます。これからも応援よろしくお願いします。

 この町にも暗殺者ギルドはあるらしい。スラムをうろついてたら囲まれたが馬鹿のようだ。ターゲットの調査くらいしろよ。しててこれならウケる。


 まあ真実は私が潰す目的で仕向けたんだけどな。自分で自分殺しの依頼出しに行ったら変な顔されたわ。全力で来いや。


「実際は触るまでもなく殺せるんだけどな、お前ら出来が悪いから教育しておこうと思って」


「……依頼だから殺るし本気で行くぞ? いいんだろうな?」


「なんで暗殺なのに説明して正面からくるの? 馬鹿なの?」


「……別働隊で毒を仕込んだり吹き矢使ったけどまったく効かなかったからな」


「魔女に毒が聞いたらギャグだろが。まあ私らの存在がギャグだけど」


「いけ」


「おっと。だからなんで正面からくる! 後ろから奇襲も遅い! 遠くから吹き矢も相手の前に立つ必要ないだろ! 三流ばっかりか!」


「まあ下級暗殺者はこんなもんだからな」


 日本人はプロの殺し屋ならプロだから仕事ができるはずって思い込んでるけど実際には教育レベル低ければ全体的にこんなもんなんだよな。道理がわからんから悪に落ちるというのもあるし、要するに悪い方の上澄みなんだ。実はこいつらの上司が一番苦労してそう。失敗したら覚えるだって? 失敗したらコイツらは死ぬだけだ。


「……暗殺者ギルドも潰れる見込みで依頼受けたのか?」


「ブロッサム計画」


「お?」


 なるほど、スラムに構成員、そりゃいるわな。コイツらは最初からブロッサム計画に一枚噛むつもりがあった、この依頼が来た、渡りに船、ってところか。私も情報管理が甘い、ってわけじゃないぞ。そもそも全員口封じなんてマイルーム使えば簡単だしな。むしろ広まるように話したのが私だ。つまり計画通り。


 ブロッサム計画はよーするにスラムから経済に侵略する計画だ。本質的に経済戦争で叩き潰すなんて遊びは難しくない。だが潰す意味がない。私の目的を考えればむしろ助け合いだな。全員支配下に置くけど自由主義だ。ただ杖で支える。調子に乗ってたら杖を引っこ抜く。楽しそうだろ。


「アンタの遊びにもつきあわせてもらえるしオレたちも雑魚どもの練度を上げられる。こんな美味しい話はない」


「お前さんはなかなか話がわかるヤツだな。だから雑魚をまとめてこっちに来たわけだ。……胃薬いる?」


「いる。アンタ相手に隠れるのは意味あるのか?」


「ないけどそこは頑張れよ」


 というか私の能力も把握してやがる。上は優秀じゃねーか。領主は馬鹿なほうが回る、悪党は馬鹿じゃ回らない、って状態なんだな。まあ改革するけど。末端から頭までグルッと入れ替えだ。教育してやるよ。ヤクザは馬鹿じゃなれないし賢くてもなれないし中途半端じゃなおなれないってなんか聞いたことあるな。賢いとこは賢くて馬鹿なとこは馬鹿なんだろう。普通だな。


「戦力の逐次投入は基本的に愚策なんだけど威力偵察ってのもあるじゃん?」


「戦力がそれほどない。しょせんは子爵領内で完結しているレベルだ」


「なるほどねえ。さて、あんたらをどう使おうか。ダンジョンの斥候もいいし警備もできるだろうし、スキルを取ったら実戦にも使えそうだ」


「正直に言ってあんたなら一人で国軍でも蹴散らせると思うんだが」


「身は一つってことさ。まあ足は速いけどね」


 移動はだいたい音速か速いと光速。でも一人で全部やったとこでその人間、この場合は私がいなくなったらダメになっちまう。必要なのは魚を与えることじゃない。獲り方を教えること、これは鉄則だな。教えるってことが本当の愛なのかもしれん。


「よし、じゃあ全員一回地獄に送ってからソリド島開発に協力してもらおうか。しかし練度低い」


「田舎のレベルだからな!」


 話しながらも突進をさばいたりしているがまあ遅いし動きが見え見え、なによりせっかく大人数なのに連携ができてない。素人か。半分は素人だわ。識字率五十%の社会で上澄みでも馬鹿なんだから下はもう言うまでもない。悲しいね。なんなら暗殺者なのに名乗りを上げてかかってきたりしそう。チグハグだって? だって馬鹿なんだもん。これほんと練度低いな!


「なんで命がけで一斉攻撃とかしないの?」


「……死ぬのが嫌だから?」


「暗殺者ぁ!」


 物語みたいに忍者は練度が高い、みたいなことはない。そもそもそんなに賢かったりいろいろ知識あるなら普通に仕事しろ。なのであれもやっぱりチグハグ。商人に忍者がなるみたいなのあるしそれなら商売してたらいいだろって。まあ実際そうなって行ったから忍者も廃れたんだろう。商人になれるのに下働きの安月給で命かけるとか意味わからんものな。この国で賢いヤツは寄宿学校でより分けられて商人ギルドに入れられてさらに教育されるから商人は賢いんだろうな。ただそこに上澄みが集まってるので他は下の五十%が集まるわけだ。識字できないレベルのやつじゃなきゃ犯罪者になんかならないと。損だもの、普通に。信念があって犯罪者になったヤツって前に配下にしたスラムのボスみたいに普段は隠れてるだろうし。それでその一部が教育に回るほど手が空いてないわけだ。それに教育するなら商人になるだろ。スパイとか優秀なのは国のための精鋭だからだしこいつらはただの犯罪者だ。まともじゃないしだから立ち直るのが厳しい。


 でも支援してやればわりとマシになるんだよなぁ。


 力自慢で力押しで周りに言うこと聞かせるタイプは普通に通報されるって日本みたいな世界じゃないんだよな。だから力のあるバカは集まって犯罪をする。そして脳筋に拍車が掛かる。健全な組織でも悪循環は起こるけどこいつらは基本的に教育を受けていない。知恵の持つその価値や強さがわからない。例えば殴りかかってきても法的に捕まえるのが容易ならそう軽々に暴力なんて振るえない。仕組みと知識が力となるわけだ。腕力ではありえない力だな。金や力は必要だがそれだけじゃ役に立たん。


 やっぱり基本は教育だろうな。力を振る舞うだけじゃなにも変えられない。知識チートでもただ儲けるだけでは世の中は良くならないよ。自分のことだけ考えてるヤツは自分のために社会を変えようとするんだよ。私みたいにな。だが自分の儲けだけを見て社会を見ないのはただのバカだろ。刹那主義とか気取ってもただ考えるのが面倒なだけだろ。子供が苦労してても笑うんだろ。どうでもいいや。人は変えられないからな。敵対するなら地獄でわからせるけど、そんな手間いちいちかけられん。神様とおんなじでどんな大悪党でもノミがはねてるなとかそれ以下のレベルなんだもの。人間の問題だし人間でやれってなる。私一人ではもともと無理だし意味がないしな。


 だから環境を変える。私に向かってくるだけこいつらはできがいい。やる気があるんだからな。無気力なヤツに存在意義はない。当たり前のことだ。ゼロにベクトルをつけてもゼロだ。力がゼロなら矢印をどっちに向けてやっても点にすらならん。それが存在しないってことだ。


 やる気を出す方法なんて私が知りたいわ。でも一回一回なにかを成し遂げるたびに自分をほめたり成功を喜んだりするのは少しずつ気力を高めて前向きにするのに効果はあるな。自分次第ではあるけど効果なさそうと思っても人間は言葉である程度は内心をコントロールできるから。宿題して偉い、ではなくて、問題を一問解いた、やった、やりとげた、と大げさに思うかもしれないが内心だからな。口に出したほうが効くけど、まあ大切なのは自分が成功したと意識することだ。社会や他人に文句言ってるとやる気はどんどん無くなるからな。文句を言う必要はない。他人は変えられないし自分はどこまで言っても不完全だ。ならできることをできてると認めてやるんだ、自分に。


 そうすると少しずつ生きるのが上手くなっていく。


 だからな、星のん、そういうのははじめに教えてくれ。まあ神様に祈ってなにもしないバカに奇跡を起こす神様はいない。宝くじに当たっても不幸になるやつはなる。結局自分の面倒を見るのは自分なんだ。その自分が無能より有能のほうがいいだろ。だからコツコツやる。よし、一歩進んだ、私は偉い!


 全員がクタクタになるまで遊んでやってから全員をゆっくり地獄へ送っていく。まあこの前の子供を殺そうとしたバカみたいに骨をグシャグシャにしたりはしないぞ。あれはついカッとなってやった。反省はまったくしていない。


「よし、終了。ブロッサム拡張だな。あ、コイツらの本部も潰してこないとな」


 ちなみに風の精霊竜ベルダンディーがいるので捜査とか私には必要がなかったりする。噂や隠し事はいながらにして聞けるし人の臭いは残ってる限り辿れるしどこにどんな人間が集まってるか、とかもわかるからな。


 マイルーム、地獄は死後の世界のように自分のやったことが良いも悪いも相手の立場でわかる。地獄になるか極楽になるかは自分しだい。死後の世界は三次元の上にはないので超高次元だと思うといい。説明するには規格が違いすぎる。記憶とかの役割がそもそも違うんで説明しようがない。死んでみたらわかる。


 生きてることに意味はあるんだけどどう生きるかは自由だ。投げやりに生きても地獄行きだけどな。まあそれはいいや。そもそもあの死後の世界自体星のんが作ったものだからな。私らはパソコンの中にいて星のんは外にいる感じ。神が人生に一個一個介入したりはしない。そう考えたら当たり前だよな。一人一人の運命とか決めてたら神様忙しすぎるもん。それに決まりきった物事を眺めるより新しいことを知りたいのは知識の性質として当たり前だ。神様はだから自由を与えてながめている。


 不幸も幸福もだいたい人のせいだ。そして自分のせい。誰かを恨んで楽になろうとか怠惰な私でも思わんわ。よけい苦しくなるだけだ。しんどいことを再確認する行為だよ。バカだろ? よっぽど幸福でふわふわした生活からトラウマを与えられたとかなのかな。


 考えてもみろ、神に逆らえないのに神が自分の人生を不遇に導いているとか考えたらめちゃくちゃ苦しいだけだろ。つまり神に嫌われてるってことだしな。神様に祈るだけでなにもしない失敗したらなにもしてないのに恨んでくるヤツとか自分が神様なら普通に嫌だろ。神様なんて関係ないぜ幸せになってやるぜ〜、ってやってるヤツのほうがまだ好ましい。理解できない神がいると思うよりただの一個人が神なんだと思ったらその人に願ったりしないだろ。祈ってやるのはいいけどな。


 私? うーん、たまに遊んでるしいいんじゃね? 気楽だろ。神様も楽しいのが好きさ。当たり前だろ。


 さて、暗殺者ギルドのアジトに来たわけだけど。ベルが話し声とか運んでくれるんでなんか慌ててないのがわかる。最初に来たヤツに比較的ブロッサム計画反対派が来てたんだろう、どうやって白の魔女を迎えるかと話し合っているようだ。いや、茶菓子はいらん。致死毒を入れてもおちゃめですませてくれるかも、じゃねーよ。効かないしわかっててやってるならそれですますけど。


 なんかのんびりしてる。討ち入りだー、とかやれよ。無意味だけど。なんかテンプレ壊れるなぁ。仕方ないか、チート隠してないし正面から権力打ち破るし法も気にしないし。私ってガチやべーヤツだな。さすが私。そこに痺れないし憧れない。私だしな。


「こんちわー」


「いらっしゃいませー」


「いらっしゃいませはおかしい」


「けけけ、ここを暗殺者ギルドとわかっていて来たんだろうなあ?」


「急に三文芝居に切り替えるなコーラ吹くわ」


 コーラ飲んどこ。吹かないけど。せっかくのチートなんだし使わないとな。


「もう、わがままなやつだなあ」


「知らんわ適当なこと言うな普通にしろ普通に」


「普通がわからない」


「大丈夫かお前もっと人とつきあえよ私は引きこもるけど」


 他人って怖いもんな。私じゃないから喧嘩売ってきたりこっそり食べ物に変なもの入れたりするし。他者の善意を疑ったら引きこもりになるしかないだろ。外で人に勧められたものは食べない。まあそれはいいや。ニートこじらせるだけだし。よく考えたらぜんぜんニートしてない。


「暗殺者ギルドもこれからは探索者ギルドとでも名乗るといい」


「潰しにきたんじゃねーのか?」


「メリットがねえ。悪人絶対殺すマンって不経済だろ」


 結局金で世の中が回ってる、って言いたいんじゃない。世界は信用で価値を得るんだ。私は世界を信用してないからそこから価値を得られないけどな。物の値段とか生活できたらどうでもいい。生活できたらな。


「じゃあ、お前らには私の杖になってもらおうか」






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