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「我は魔女なり」 〜引きこもるためのスキル【マイルーム】をもらったがあまりに世界が酷いので暗躍することにした〜  作者: いかや☆きいろ
無人島拝金生活

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ハクスラ仙人

 バトルが一番好きです。



 魔法とか各種アビリティは欲しいんだがミネルバからの提案で依頼に沿う素材なら販売価格以上で買ってくれることになった。そのほとんどがモンスター素材なのでまずは片手剣で鍛え込みボス戦よろしくマイルームのポインタ移動テレポートで狩りに行くことにした。相当鍛えねばならないけれどレベルが上がれば木刀でなんとかなるので木刀の手作りも視野に入れて銅モドキの片手剣を九本まで消費してハクスラすることにした。一本は狩り用だ。リグナムバイタって木は鉄より硬くて水に沈むんだよな。たしか加工は難しいけど木刀も作られていた。この世界にも似たようなのはあるはずだ。


 ミネルバが出てくる敵を調整して強さはレベルに合わせて無限湧き、休憩有りにしてくれるらしい。ミネルバに勧められて二千グリンでキサラギ流片手剣術基本の書というのをインストールしてもらう。おお、映画であるやつだな。しばらく夢を見ている感じで情報が頭に入ってくる。こう動くと、こうなる、みたいな映像が頭の中をかけめぐる。


 相変わらず頭がゴチャゴチャする。まあ知識をむりやり記憶してるんだから仕方ないが。


 うーん、武器としては片手剣は普通はオマケ、サブ武器なんだね。なのでキサラギ流では盾は装備しないらしい。昔のバックラーにダガーのスタイルは弓にものすごく弱かったそうな。右手に剣を持ち左手は腰に回すかフェンシングのように後ろに伸ばす。左腕は弱点になるから晒さないのが大切らしい。主には決闘用の武器なんだよな。近接で一番有用なのは槍らしい。昔の騎士や武将も基本は槍持ちだったよね。まあ最強は飛び道具なんだけど。


 まあ私は魔法メインで行く予定なので片手剣はオマケ、最初に稼ぐためだけだ。そこそこは極めるけど。


 世界はシンプルだ。鍛えて考えてしてたらなんとかなる。さーて、トレーニングルーム行ってみますか!


 まさかいきなり外に出るわけにはいかんからね。海の眺めは十分に強くなるまでお預けにしよう。


「ナビゲーションするわ」


「ミネルバってよく考えたらこのスキルの解説役なんだっけ」


「たまにお菓子を取り寄せて食べます」


「なんの機能だよ。仕事だけしろよ」


「機械だとカクカク動くけどいい?」


「滑らかに動けよ。技術革新しろよ」


「その結果このようにお煎餅がかじれます。バリバリ」


「うるさいよ。いいから敵出せ」


 基本の動きは頭に入ってるんだが、このキサラギ流片手剣術って変な剣術だな。踏み込みにサッカーのスライディングみたいな動きを取り入れて下から攻めるスタイルらしい。これ、地球人がこっちに来て編み出した剣術なんだ。サッカーはわりとやったことあるんだよな。小学生に混ざって。最近の小学生上手いからビックリしたわ。私も子供の時は男子に混じってやってたんだけどな。おっと、ハクスラ開始だ。


 フッ、と小人の影が現れる。私の身長が百三十八しかないんだがコイツは一メートルくらいだな。緑色の肌に鷲鼻、小さな角が一本生えてる。いわゆるゴブリンの、子供らしい。群れて出てきたな。捌けってことか。


「ギャギャ!」


「ギュララッ!」


「グバア!」


「うっせえ!」


 襲ってくるゴブリンをインストールした知識をなぞるように身体を使い銅の剣で斬りつける。……斬れずに吹き飛んだな。私も下手くそだが軽いなコイツら。


「度胸ありすぎない?」


「チビは気合で生きてんだよ!」


 続けて二匹目は首を狙う。ヴォーパルラビットって呼ばれたい。いいな、二つ名欲しいな。今度は綺麗に斬れた。首が飛んでいく。


「やるわね」


「よし、さすがに力の差があるみたいだ」


 慣れないとキツいかと思ったけどそうでもないな。生きた魚を捌くのと変わらん。私が変なのかな? 三匹目!


 ハクスラらしく倒しては消え、消したあとからあとから湧いて出てくる!


「ぬわわー、こりゃ忙しい!」


「ぐぎゃー!」


「てめっ、この!」


 ハクスラはダメージを出さないように立ち回るか回復を付けるのが基本だろうけどこの身体にはライフポイント回復もついてるから多少撫でられても掠り傷ならすぐ塞がる。しかし運動して疲れるとライフポイントが減るらしい。一時間運動して三割くらい? まあライフポイント回復の中ランクなら自然回復するくらいだな。息を止めてしまうとライフポイントは減りやすくなるし深呼吸すると若干回復は速くなるようだ。不老不死の作用でマナもライフに作用して回復するらしいが、マナは減ってない……、どうやらこれくらいの運動ならほぼマナもライフも減らないらしい。ハクスラ仙人の完成だな。


 子ゴブリンの群れを狩っていくがレベルは上がらない。本来地球人の成人男性の能力がレベル十くらいらしい。鍛えた人でレベル十五。今の私はオリンピック選手並みだとか。でもこっちだと一般人レベル。レベルのある世界スゲえな。この世界の人たちってダンジョンで無限湧きするモンスターと戦ってるんだもんな。このレベルやらスキルやらはかつて神様が作ったとされているらしい。事実はこの星の管理を星のんに任された娘さんが作り上げたそうだ。星のんがスゲえ。この星の神様にされてるその娘さんはイルマタルを名乗っていたらしいけど、確かフィンランドの創造と空の神様だな。中二病患者か。親近感が湧くな!


 おっと、ハクスラハクスラ。子ゴブリンの次は木の棒を持った成体らしきゴブリンだ。さすがに武器を持たれるとプレッシャーあるな。それに次々湧いてくるから止まれない。身体の動かし方もわかるんだが知識としてわかってるだけで実際に身体の筋肉の感覚とかが馴染まないからタダでさえ斬れない銅の剣、刃筋が立たないからほとんどが撲殺になってる。知識は入ってるんだ。身体を動かすだけ。使ったことない筋肉が動いてるな。元の世界なら筋肉痛確定コース。この世界だとレベルが上がれば筋力は上がる。カロリーとか栄養とかどうなってるんだろう。そこをマナが補ってるわけか。仙人の身体は物理と魔法の狭間にある感じで図らずも魔法を体感している。腹は減るな。食わなくてもイライラはしない。食欲も障害になりやすいけど欲求って簡単にコントロールできるもんではないよな。でも丸一日吐いてたことがあるけどその時はまったく食欲が湧かなかったんだよな。まあ食欲ないのも辛い。


 身体を滑り込ませるように地面スレスレに動かして左手で身体を跳ね上げ座る姿勢になり、それに併せて下から円を描くようにゴブリンの腕を斬りつける。上手く刃が立ったようで切り落とせた! 後ろへ飛ぶ!


 よし、闘ってる! ……血も出るのか。時間経過で消えるけど内臓とかも撒き散らすらしい。現実の戦闘で躊躇するようになれば困るからトレーニングとしては当然かもね。こんなトレーニング騎士の家系でもまずしないだろう。知識だけ与えていきなり実戦なんて本来なら非効率だけれどこちらはやり直しがいくらでも利くからな。本当にこのハクスラトレーニングやべえ。効率が良すぎる。


 おっと、ゴブリンに殴られた。痛い。やっぱ痛いよな。そのうち刀でバッサリ殺られたりも体験しよう。この身体だと外でも再生するからな。油断しないトレーニングだ。うーん、やっぱり私の精神は死んでるのかハラワタをぶちまけたゴブリンを見てもなんにも感じない。昔イノシシ捌いてるの見てたことあるからな。爺さんが農家しながら猟師やってたから。私は素手で触ってたしな、内臓。グロいなーとか思いつつ。いや、ホルモンと変わらんよ。塊だとグロいだけだ。……やっぱり壊れてるかもな。


 トレーニングルームは人間ともやり合える。いずれやっとこう。イザという時は殺る。覚悟を決めれて有り難い。まあ相手の人生とか想像して一年はウツになるけどマイルームなら半日だ。自分は一年蹲ってても外では九時間くらいかな。夜の間なら誰にも迷惑にならないな。もし相棒ができたりしたら不老不死にしないと巻き込んで年寄りにしてしまいそうだが。自分以外がいる時は基本はクロックを一日経ったら一日経過するように設定しておいてもらうか。ミネルバさんお願いします!


「了解」


「ミネルバが意外と便利?」


「失礼な。フライパンくらい便利だぞ。お米も炊けるんだぞ」


「便利なのか不精なのかわからん」


「フライパンで炊くと美味しい」


「そうだな!」


 ばしゅっ、とゴブリンの腹をすれ違いざまに打つ。相手の後ろに回り込む描写ってよく見るけど普通は相手が半歩足を下げたら対応できるので何十歩もかけて後ろに回る意味はない。複数で取り囲む時なら別だがそれだって対応するヤツはする。複数の人間相手の乱取りもやっとくか。


「まずはゴブリン!」


 斬り倒したゴブリンは血を撒き散らして地に伏せ、ライフポイントゼロと共にデジタルな感じに四角いポリゴンを吐き散らして消える。次が出る。


「休憩は?」


「いらない!」


 ライフポイント回復スキル(中)のお陰でまるで疲れていない。精神も万全だ。これもステータスのせい? わからない。次はコボルトの群れとスライムも出てきたな。狼も。混成パーティーと来たか。


 跳びかかってきた狼のアゴを下からカチ割る。バカな狼だな。普通は不意を打つだろ。


「だから普通は怯む」


「怯んだら死ぬだろが」


「切り替え早すぎよねえ」


 それはあれだ、酒で脳が縮んでるからだ、きっと。怖いとか突然に起こることに驚くとかの反応をしなくなってる。いいんだか悪いんだか。


 スライムが静かに伸びてきたので突き刺してみる。ナマコみたい。刺してたら動けないらしい。小説のほとんど液体のスライムと違うな。最弱キャラらしく物理も通じるようだ。スライムは核を残して消えた。その核も消える。うーん、外で倒してみないとわからないが物質の体は残るっぽい。この世界ではスライムは回復速度の速いナマコみたいな生物のようだ。色は黄色っぽい。粘菌みたいな生物を予想してたけど群体じゃなくて単細胞生物だ。合体してボルボックスみたいなスライムになったり? 切っても切っても死ななそう。それは怖い。


 今やってるキサラギ流片手剣術はフェイントを多用する剣術で基本は前衛で相手の撹乱を主目的とする。大切なのは相手と適切な間合いを保ってダメージを受けないことなので実戦向きだが一対一向きかと言われると疑問だな。躱し続けて相手が疲れたら手足を切り刻む、みたいな戦い方はできるかもしれないが体力で勝る敵を相手にではそんな手間をかけれないだろう。だから回避と言っても敵に向かって足元をすり抜けてダメージを稼ぐような動きが多い。最初から回避に動くとバレてスイカよろしく叩き割られるからそこもフェイントが大切だ。この剣術を編み出したのはサッカー経験者だな。私は男子と喧嘩はやってたぞ、小学生の時だけだが。サッカーも混ざってたけどオフェンシブハーフで。小回りが利くからな。ほっとけ。


 次はコボルトの団体さん。飽きないように工夫してくれてるらしい。レベルはひとつも上がらん。まあ現実なんてそんなもんだよな。貴族はいい物食って良いトレーニングしてるからレベルは四十が平均らしい。一般人の倍だ。頻繁に狩りとかして肉を食ってるとかじゃなきゃ貧しいその日暮しの平民がよくトレーニングしてよく食べてる貴族より強い方がおかしいんだよな。


 食うだけでもある程度経験値は入るんだ。食って得られる経験値なんて満腹になったら稼げないんだからアテにはできないよな。例えばドラゴンばっかり食うとか絶対飽きるだろうし。


 ……ドラゴン倒して自分で解体して食ってみたいよな。作業部屋買おう。まずはトレーニング!


「うおおっ! りゃあ! たわっ、とおっ!」


「若いわねえ」


「言うな、声は出る!」


 棒術じみたコボルトの突きを躱しながら斬る。よし、斬れるな。と思ったら後ろからドツカれる。痛え。振り向いて斬る!


 達人が後ろからの攻撃を避けられないってなんかの番組でやってたな! 痛えよ! 数は五匹とかになってる。こっそりスライムとかいるのがイヤらしいが実戦ぽいな。


「ステージを森に変えてみる?」


「おう、面白そう!」


 森ステージに場面が変わる。ミネルバがウサギで折ってた木みたいに触れるらしい。ウサギで折るなよ。ウサギのレベルは二百五十に設定してるから平気らしい。つよっ。この世界の最強はレベル八百もあるそうだ。神の一柱だな。ひとはしら。数え方はややこしいな。ちなみにウサギを羽と数えるのは最近の風潮だと匹に改められてるらしい。お坊さんが始めた説好きだけど起源がわからないんだっけ。肉食いてえ。塩コショウ振って焼いただけの鶏もも肉にかぶりつきたい。皮はパリパリで。金を稼いだらコンロとかも買うか。電気もガスもマイルームなら必要ない。元の世界でこのマイルームに住みたかったな!


 木を盾にして敵の攻撃を塞ごうとして横の木に当たる。森の中で槍が弱いとか嘘だぞ。リーチを利用する武器なのに短くも持てるし立たせて運べるし、振り回す必要もないからな。突きが最強だ。ちなみに相手が複数人だったらとか意味の無い仮定すると、こっちも複数人にしたら槍衾だ。横に避けにくい森なら無敵だろうな。分身のスキルが有ったら取っとこう。スキルや魔法はこの星に関わるものだけにしか与えられていないらしい。モンスターにも人間にも与えられている。イルマタルがシステムを組み上げて少ない魔力で複雑な操作ができるようにしているようだ。魔術は元々世界にあるマナを使うものらしい。


 マナを変換するのにエネルギーに変換したらほぼ無尽蔵じゃないかと思ったがそもそも質量を伴わないとエネルギーを維持できないので質量とエネルギーの掛け算みたいなことになって炎の魔法も風の魔法も水の魔法も土の魔法も平等にマナを要求されるらしい。マナは物質を常温で再現するのが一番ロスが少ないようだ。炎には燃料が必要だし、単純に、情報に過ぎないからいくらでも高温にできる、とはならないということだ。超光速移動も物質やマナを超光速移動はできないので情報世界を経由して精霊素を集めてコピーして作り直すような感じらしい。マイルームの出入りはストレージと同じだがポイント移動は光速を超えられない。コピーした自分が自分であると認めるのは自分しかいない。哲学だな。まあ転生してんだから魂があるんだけど。


 森の中だと狼が厄介だな。低空から飛んでくるコウモリなんかも邪魔くさい。ファンタジー物だとデカい敵ばかり脅威に描かれるけどヒアリに集られた方がヤバいと思うのは私だけだろうか。デカいと大雑把になるしトロくなる。筋力は筋肉の断面に比例し、体重は体積、三乗に比例するので体格が二倍になると二乗の四倍と三乗の八倍の差が出るので大きくなればなるほど筋力が体重に見合わなくなる。なのでデカい恐竜は実はトロくてティラノサウルスなんかは死体ばっかり食べて狩りは苦手だったんじゃないかって言われてる。この世界の巨人とかはマナが無いと動けないらしい。マナの暴力みたいな巨人もいるそうだ。いつか倒すぞ。


 そもそも体格が十倍あると動きが倍も速くても到達時間は五倍かかるからトロく見えるしそんなスピードで動こうとしたらバカみたいなエネルギーを食うことになる。飯もたくさん食わないとすぐにガス欠になりそうだ。種族特性スキルのシステムが無いと動けないんじゃないの? 仙人も似たようなもんか。


 何度か木を間違って殴ってたら銅の剣が折れた。二本目。手も痛いし!


 なんか消耗していくだけだと泣きそうにならないか? つらい。


 次はオーク一頭とマンツーマンレッスンらしい。デカい豚頭の腰ミノを着けたオッサンである。身長は二メートルくらいだが腹が太いなー。豚の牙ってたしか子供の時に折るんだよな。本当は猪みたいに牙が生えるらしい。コイツは生えてる。そもそもオークってどっちだろ。コイツはイノシシ並みに毛深いが。どうでもいいか。外なら臭そうだな。その太い腹からハラワタをブチ撒いてやる!


 ハクスラのボス戦じゃー!


 まずはスライディングから脚を獲りにいく! 獲った!


 って飛んだ?! デケえのに身軽だな! 二メートル超えてるのにぴょんぴょん動けるはずがない。スタミナ尽きたらなぶり殺してやる! クッ殺言わせてやるぜ!


「ブヒィいいいいッ!!」


「おっと、当たるか! 大振りぃ! さあさあ大きく振りかぶってぇ! そこお!」


 オークが棍棒を振り下ろしたところを一回はバックステップで引いて回避、再び振り上げたところを逆サイドに突っ込みながら銅の剣を面積のデカい腹に突き入れる。前に転がる勢いで抜きつつ抉る! 刃筋を立てるのに慣れてきたな! やっぱ実戦だぜぇ! どこのバーバリアンだ私は!


 教室の角で目の下にクマを作って机に突っ伏した姿勢で周りを睨みながらゲヘゲヘ笑ってたのはもう二十年以上も前のこと。今の私はとっくに枯れてるけど、まだ熱い中二の魂が残ってた! 三つ子の魂が百までならば中二の魂はきっと五百年近く残るな! 正確には四百六十六年八ヶ月くらいまで!


 さあさあ、オークさん、後がないですよー? っても腹を抉ったのに元気に暴れてやがる。森の中じゃデカい棍棒は振り回せないようだな。当たり前だけど馬鹿だなコイツ。生木なんてそう簡単に折れるかよ。人やオークが暴れた程度で折れたら森が無くなっちまうわ。たまに一部の木が風で折れるけどダウンバーストは十トンくらいの荷重に耐える電柱も折れるからね。家も潰れる。そんなもんホイホイ起こらないからな。ましてや二百キロ前後の体重じゃ折るのは絶対に無理だ。アメリカだって毎日竜巻起こったりしないし生木が折れるのを見る機会は無さそうだね。竜巻も梅雨みたいにシーズンがあるらしい。四月から六月頃。まあアメリカこの星に無いけど、どこかの大陸なら竜巻だらけとかありそうだな。どうせ不老不死なんだから見て回ろう。テレポートできると旅が楽しくなるな。酔わないし。私は車とか船がキツイ。電車は平気。


 オークは小さい傷を付けまくって瀕死になってる。切れ味の悪い片手剣で仕留めるのは大変だな。腹の傷は致命傷だと思うからそろそろ動きを止めるはずだがアドレナリンやら危機感やらで眠れないらしい。サッサと星のんのとこに行け!


「いらないって」


「そうだろうよ!」


 動きの鈍ったオークの腕を切り落としにかかる。うーん、今の力じゃ難しいな。身体強化スキル欲しい。瞬間的な強化なら四倍くらいまで高められるらしい。速さにして二倍。目の前の敵が一瞬でも二倍速でいきなり動いてきたら間違いなく殺られるな。あ、倒れた。


 ズズン……と音を立てて埃を立てながら地に臥すオーク。いやあ、強いなあ。リアルに向き合ってたらチビってた自信ある。チビがチビるとか洒落にならん。


 おっと、ハクスラなので敵がまた出てくる。雑魚だな。魚人だ。マーマンって奴だな。マーメイドとマーマンって同じ種族だよな? なんでオスは魚面なんだ? メスは乙女なのに。ゲームとか小説で差別表現とかって言われないのかな? でも嫌だぞ魚顔の乙女。いや、それはそれでモンスターらしくていいんだけど。


「この世界では別の生物」


「心から安心した」


 ココロだけに、って言ったら殴るからな。よく言われた。ステージは砂浜とか磯になった。外に出たら磯巡りして磯の生物観察したいなあ。これって水中ステージもあるのかね。魔法を覚えてからにしてくれよ。今はハクスラだな。


 三叉の鉾を突いてくる全身ウロコのマーマンに斬りかかる。うーん、リーチ長え。慎重に突いてくるのが厄介だ。二匹とか三匹になったらマズいが、一匹なら!


「ギャギャ!」


「そこおっ!」


 突いてきた鉾に身体を巻きつけるように左手で後ろに引っ張り右手は突き入れる! オラあっ!


「グベッ!」


「よっしゃ、一匹ぃ! 次!」


「休憩ね」


「あん?」


 っと、さすがにやり過ぎか。ハマってしまった。インストールされた情報に身体が馴染んできたな。そう言えばミネルバもシステムだから飲食いらないよな。煎餅かじってるけど。バリバリ。私にも一枚よこせ。バリバリ。んまい。バリバリ絶好調だぜ。醤油味が至高。海苔巻きもいい。和菓子うまい。あんこは甘さ控えめのこしあんがいいな。いつか買おう。


 さって、そろそろ1レベルくらい上がるかな?








☆きいろメモ☆

 この世界のモンスターはゲームに合わせて神や天使、ダンジョンなどでダンジョンマスターによって創造されていますがその後はそれぞれの進化に任せられています。ダンジョンマスターがいい加減な生物を作ったらダンジョンから出た時点で死亡するか消滅します。





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