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「我は魔女なり」 〜引きこもるためのスキル【マイルーム】をもらったがあまりに世界が酷いので暗躍することにした〜  作者: いかや☆きいろ
 老いたワルテルの悩み

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教会の魔女

 このお話チートキャラとよく戦いますけど全力の殺し合いにはなりづらいです。死なないので。



 ミネルバと教会の魔女だった立石と三人で漫画読んだりしながらゴロゴロする。マイルーム内のクロックは上げているのでたっぷり遊べるぞ。私より立石のほうが遊びたがってるしな。コミックをそのあたりに転がしておけば信者を増やせるんだからやっぱりデジタルより紙の本だぜ。


「それじゃしっかりゴロゴロしたし釣りに行くか」


「おお、いいなぁ。そのあとバーベキューだな!」


「うーん、キャンプ好きなやつとキャンプするのって楽しいよな〜。やっぱり楽しんでるやつがいたほうが楽しめる」


「そーだぜ。他人はいいもんだぜ。外にでろや」


「しょーがねえなー、そろそろ考えてたところだし」


 いつまでもひきこもってるわけにはいかないよな。まずは田舎から行こう。


 今は遊ぶけどな!


 ミネルバから買った釣り道具セットを持って磯へ。なんか釣らないと飯抜きな。餌は人工餌を使う。ゴカイにしか見えないやつ。よく釣れるんだこれが。異世界で釣れるかわからんけど。


「のんびり釣りっていいよな〜。バイクかっ飛ばして山中の釣り場でバス狙うのとか好き」


「それは楽しそうだな。私は海でも湖でも天ぷらにしながら釣るのが好きだけど」


「海ってキャンプ禁止じゃねーの?」


「直火禁止とか地域で禁止されてることはあるけどできるとこはできる」


 そもそも海でキャンプしたらダメなんて法律できたら私がキレる。昔砂浜で家族でキャンプしたことが一回だけあるんだよな。そういえば立石と初めてあったのはその小学校低学年の夏休みだ。そっから高校まで会わなかった。まあ再会したらすぐ意気投合して殴り合ったけど。強敵と書いてともだからな。今でも顔を合わせたら殴り合うか一緒に漫画読むかしてる。つか今もしたけど。なんでか一回目は殴り合うんだよな。わからん。


「このあたりの根はどうなってんの?」


「海藻は多いな。引きずるよりしばらく待ったほうがいい」


 根というのは海底のことを指す釣り用語だ。岩場とか海藻地帯とかなにか引っかかるストラクチャーがないか、と言うことだな。餌のついた針を引きずって魚を誘うか集魚剤なんかで魚が集まるまで動かさないか、と言ってる。二人で釣り糸を垂らす。タックルはメバル用のスピニングロッドの装備一式だ。これで二キロくらいの魚でも揚がるしこの世界ならもっと重くてもマナで固めたら揚がるだろう。


「おっしゃ、きた。この、世界の、魚は、いちいち、でけえ!」


「お、いいな。タモ出すぞ」


 早速立石が大物を引っかけたようだ。タモという魚を持ち上げるための網を取り出して魚を待つ。しばらくバトルしてようやく岸近くに姿を現したのは五十センチはある魚だった。このあたりではこれくらいのサイズが普通なんだよな。古代の生物の大型化の理由は色々あるが一説では二酸化炭素が多くて植物の生育が速くなったから食べるものが多くて大きくなったとか。この世界も二酸化炭素多いんだよな。そのうち酸素過多になるんだろうか。まあダンジョンでテラフォーミングするのかもしれないけど。


「おっし、でかいなー、バスくらいあるカサゴもどきだな」


「千年も生きてたなら釣りもやったのか」


「二百年くらいやってたけどなんか色々忙しくてやめてたんだよな」


「バイクとか作らないの?」


「私専用のは作ったに決まってるだろ。上手くいかなくて投げた! なのでボロいのはある」


「おお、あとで見せて!」


「乗る方は興味ねえくせに見るのは好きなんだよな〜。まあいいけどな」


「一回事故ったから乗るのは嫌だ」


 自転車も乗るのためらうくらいだぜ。でかい魚が揚がったのでシメてストレージに放り込んでおく。あとで塩焼きかな? バラしてオリーブオイルとかで揚げ焼きにしてもいいな。捌くのは解体スキルがあるから楽勝。自分で包丁買って捌いてもいいけどデカいから大変そう。


「おっと、私もきた」


「さすがにスレてないから入れ食いだな!」


 魚は釣り人が多いとスレて食わなくなるがこの島は人なんか私しかいないからな。私も仙人だったわ。


 二人で十匹くらい釣りあげてから処理に困るので引き上げた。楽しかったな! まだまだキャンプだぜ。


「おっしゃ、テント立てるか。ミネルバテント売って〜」


「お前金持ってんの?」


「二十兆くらいかな?」


「大金持ちってレベルじゃねーぞ」


「五百年くらいは働いてるんだからこれくらい稼ぐわ」


「投資とかしまくってそう」


「してるけど工業とかは無いからな、冒険者に投資するシステム作ってパトロンやりまくったり」


「変な改変してそうだな」


「税金のシステムは神たち作ってるかな」


 一部の商人とか丸儲け状態だったのを所得に税金を当てることで抑えたらしい。中世頃の税金ってどうだったか知らないけどこの世界はインフラをモンスターが絶えず掘り返すから税金無いと騎士や領主たちもやっとれんだろうな。その税金もどうせ商人に吸われるし。一番悪いのはあくどい中小企業の商人だな。大企業はむしろ社会貢献してるしそんなにブラックでもない。働かないで会社に金払えとか無茶いうヤツもいない。小学生レベルの知識もないこの世界のヤツらも働かないと食えないのは理解してる。つか仕事しないとガチで飢える。スラムとか落ちるとなかなか浮上できないしな。そうなると農奴とかのほうがマシだったりする。現代人の倫理からは考えられないけど古代の奴隷は割のいいアルバイトくらいだったんだよな。それが一方的な搾取になったのはアホな地方領主がいたからだろう。下が肥えたほうが自分も儲かるのは当たり前の構図だ。まあ冷害とか普通に多かった時代だから仕方ないというのはある。寒冷な飢饉の時期に政治が悪いとか言ってもな。どうしょうもないだろ、天候を政治で変えれるものか。たかだか数度の温暖化で現代社会でもきりきり舞いになってるのに。魔法社会なら解決できるはずとか世界の広さを理解してないとしか思えん。夢の中の世界じゃないんだから一人でこのとてつもなく大きい世界を支配したりできんわ。なのでやっぱり政治は苦労してる。


「テントと寝袋はそろえた。炭とかも買ったぞ」


「金持ちはこれだから。キャンプで贅沢しようとするなよ」


「いいだろ、いろいろ買い集めるの楽しいぜ」


「それはわかる」


 物欲って大切だ。私もなんかランタンとか買おうかな。椅子とか。こういうのを持ち運べる量に抑えるのもキャンプの面白さだよな。不自由は自分で入れた縛りなら楽しめる。つまりはその洞穴のような世界でも自由であればいいんだろう。それは自分で探すものだ。


「とりあえず近くの町とか村とか出ていくかな〜」


「そのあたりの村なら今は敗戦者が散り散りに村を作ってるからそこを訪れて見るといい。この近くに子爵の領地もあるしそこのギルドならいろいろ手続きもできるぞ」


「やべーなギルドっていったらチビがなにしにきたってヤクザな冒険者に絡まれるな倒すけど」


「いちいち倒すのかよ。息継ぎしろよ。さすがにそこまで……いや馬鹿しかいないからな、ありえる」


 田舎から出てきた貧弱な小汚い子供とかなら追い返すだろうけどさすがに綺麗な服着てたら貴族か強者を疑うよな。バカだとそのあたりなにをするかわからん。逆に言えばなにをするかわからんのがわかる。ルールに従うやつのほうがあしらいやすくはあるけどそう考えると平和主義や事なかれ主義も賢いと言えるのかもしれない。無気力はいらないが。そもそも無気力なやつとつきあったり無気力なやつ雇うメリットがない。なんで石像より役に立たないデメリットばかりのやつに金を払ってそばに置きたがるか。まあ私は無気力は嫌いだからかかわらないしいいけど。遊ぶのは好きだけどだらけるのはダルい。


 それはいいや。どうせ社会の半分くらいはなに考えてるか示さないヤツだし腹を見せないヤツ信用する理由がない。せいぜいハメてやるってくらいしか考えてない。……社会って自分の行動に鏡みたいに振る舞うとこあるんだよ。相手が殴ってくるなら殴り返すか通報するか、要するに力には力で返すか押したら逃げるか。どれも物質的な作用に反作用だよな。人間の存在も物理なんだよ。なにも返さなかったらいないのと同じなんだから気にしないだろうし搾取するだけだろう。果物といっしょだ。自分がいるのを示さないと損するよな。人間やったことしか返ってこない。やらなくてなにか得るなんてその場の力に流されるだけなんだよな。ある日無くなってから文句言ってもなにも起こらない。真綿で首を絞められてるのを気づかないと。


 でもまあ町中は怖いからな。この世界だと仕事も不誠実なんて普通にあるから。盗みごまかしちょろまかし。日本の商人は神だよな。ボラないで商品売ってくれるしお釣りごまかさないし笑顔でペコペコするし。しなかったら買わないんだけど選べるのは豊かだからだぞ。


 日本は人口密度高いからな、ストレスは仕方ない。事なかれ主義になるのも自然。でもそれだと特別になにかは得られない。他人は意外と自分を見てるからな。忘れてくれていいのにな〜。


 まあ私はいつでも逃げれるし変にハメてくるヤツはうさぎにする。ふふふ、楽しくなってきたな。


「炭火コンロいいよな〜。やっぱりキャンプ道具はいい」


「火が落ち着いたら網をのせて油を塗ってしばらく焼いてそれから食材はこちらです」


「焼肉セットかよ。ビールとかチューハイ売ってくれミネルバ」


「私の前で飲むなよな〜、いいけど」


「不死身なのに禁酒まだ続けてんの?」


「禁酒じゃなくて断酒な。断ち切るの」


「まあ病気なんだからしかたないか」


 アルコール依存症は立派な病気なんだがなぜか根性でやめられる論者が一定数いるよな。そんな楽なもんじゃない。毎日腹パン食らってるヤツに根性で耐えろってひどすぎるだろ。酒の毒性やヤバさを一通り勉強して常に酒を避けたり飲みには近づかないとか社会的に酒から遠ざからないとダメで今の日本社会ではすごく難しいんだ。酒は麻薬で毒であることはまず理解するべきだな。酒を飲まない若いヤツは賢い。飲んでる側からするとつまらないヤツと思うだろうがそれは毒なので無理矢理飲ませたら傷害罪。体を押さえつけて飲ませるとかしなければいいけど強要はダメだ。ほんとやめるの辛いからな。最初から飲まないのが正解。


 酒の代わりに楽しみやリラックスする方法を見つけるといい。疲れが取れるときが一番気持ちいいよな。寝るだけってのは楽しくはないけど。私は寝すぎると気持ち悪くなる。やりたいこと多いからほっとくと徹夜するし。不健康だな。


 網がいい感じになってきたのでここで取り出しましたドラゴンハム。真竜の肉の塊を殺菌してから強めに塩コショウ、お好みでオールスパイスとかも使ってる。そのまま袋に詰めて冷蔵庫に保管。一週間くらい熟成してあとは火にかけるとよい。焼いても煮てもいいが豚肉や鶏肉は中まで火を通さないと中るぞ。ドラゴンには寄生虫も特殊なのしかいないし菌類も寄りつかない。アレルギーもほとんどないらしい。半分はマナ物質だからな。


 分厚く切ったハムをじんわり焼いていく。焦げないように弱火とか遠火でじっくりと焼く。炭火だと落ちた脂が焦げていい匂いが上がってくる。


「うひょおー、いいなあいいなあ。まだかよ。あー、これはたまらん!」


「じっくり焼いてるからな。普通の肉は焼けてるからこっちから食え。野菜もあるぞ。かぼちゃとか根菜もネギやキャベツもある」


「自然の中で、んぐ、食うのもぐ、んん、いいよな、はぐ」


「食いながらしゃべるな! 法律は守るのにモラルはゼロってなんだよ!」


「いいじゃんべつに。ビールうめえ! やっぱこれだよな!」


「……コイツは……!」


 はあ、飲みてえ。まあ飲まないんだけどな。飲んだらたぶん吐く。ずっと飲んでないと最初に飲んだ時くらい効くだろうな。嫌な思い出しかないわ。逆に言えば嫌な思いを経験したからこそやめられるんだが。


「そういや教会の魔女って普段なにしてるのよ」


「ん? このあいだ枢機卿のオッサンの後ろ頭張り倒したかな」


「なにやってんだお前」


「なんか横領したり教徒の女に手を出したりしてたから引っぱたいたら私の方が地方に飛ばされた」


「教会もなにやってんだよこんな危ない猛獣を野に放つとか」


「そこかよ! まあ教皇が裏取ってハメて破門にしたけどなソイツ」


「まあ千年生きてる魔女がルール破ったんだから調べるよなあ」


 教会の魔女を手放すのは教皇にとっても損失が大きいはずだしな。立石は昔からルールは破るべき時があるとか言ってたがそれは自己犠牲かもしれん。法律やそれを守る社会システムのほうが未熟ならしかたない。まあ日本なら力で変わることなんて意見を出せばだいたい変わるんだけどな。この世界のレベルなら無理だろうが。


 時代ごとの正しさってものはある。だから普遍の正義なんてないんだよな。あったら困るんだ。人と場合と角度とタイミングで正義は変わる。それに対応するために法は厳密すぎたら応用が利かなくなる。すべてのケースを予見するのが不可能だからだ。予算とか決まってるのに他に緊急に回すというのは約束を破綻させることで責任のある行政ではできない。柔軟な対応はゆえに不可能になる。わかってないヤツは文句を言えば、正しければ動くと思ってる。正義を許さないのは逆の正義だ。


「まあそれはいいか。焼けたぞ〜」


「おお、いただきます!」


「いいなあビール……。まあいいや、食うか」


 ん、熟成しっかりやったから旨味が強いな。うまい。じゅわーっとジュースがあふれてくるし表面はカリッと焼けている。よくわからない充足感が湧いてくる。塩加減も上手くいった。はぐっ。ん〜!


「肉だ。これこそ肉。肉食ってる」


「わかる。ちなみに百個くらい残ってるぞ」


 食う用に一トンくらい残してるのでまだまだ作れるぞ。ドラゴン肉はレアリティは高いけど一匹が大きいから自分で狩ればたくさん食える。上位冒険者のほうが貴族より強くなるわけだ。本当にいいものは自分で確保しないとダメなんだ。


 うーん、うめー! 野菜もかじろ。糖尿になってから穀物は少なめにして野菜や果物にしてる。数値は安定するし体調も良くなったぞ。おすすめ。


「ふー、食った食った」


「じゃあ明日から大陸のほう見にいくわ。お前さんはどうする?」


「私か。ここに住むー! マイルームに住むー!」


「だだっ子か! まあいいけどさあ、仕事どうすんだよ」


「もともと魔女なんて言いたいときに意見いうだけだぜ。自主性が大事だからな」


 部分的に正しても常識が変わらないと反発が起こる。いきなりこの世界で民主主義にしても識字率低いしな。全体で学びゆっくりと変わっていくことこそが安定や平和や幸福を作る。急変には耐え難い人もいるんだよな。


 私もゆっくりこの世界の人たちを見ていくか。本格的に国とか関わるのはもっと先として、どっかに拠点を置くくらいはするかね。






 そういうわけで街へ出かけます。すごく大事になりますけどね。



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