引きこもれ! 星のんと遊ぼう
神様が友達だとしたら貴方はどうしますか?
うーん、この漫画続刊出てなかったと思ったけどなぜか最終巻までそろってるぞ……。日本の物って買うのに制限かかってるはずなんだがなぜか海外の物も買えるし。日本で取引された実績があればオーケーで未来の物も時間経過で手に入るのか?
「星のんの設定はわからん! 本人に聞いてみるか。星の〜ん!」
「はいよ」
「うわ、出た?!」
なんとなく星のんを呼んだら突然星のんが床を転がってきた。漫画読みながら毛布に包まって。昔から唐突に現れるんだよこの女。銀髪にヘテロクロミアの派手な見た目の女神様スタイルである。服はゴスロリ。
「設定で少し未来の物も次第に買えるようにしてあるよん」
「そうか。なんで出てきたの? 神様お安いの?」
「私は高価だよ。高級だよ。マストアイテムだよ」
「よかった星のんだ。よくねえよプライベートルームに出てくるなよまあたまには遊びに来いよ寂しいからはしゃごうぜひゃはー!」
「息継ぎしろよ。私は自由さ!」
ちょうどいいので楽園の設計をどうすればいいのか聞いてみた。本物の神に質問できるなんてまずないからな。
「楽園? そもそもその対策って昔の映画でやってたじゃん。VRで不都合な現実を味わわせればいいよ。ゲームとして中世風な世界にダイブしたり、ようするに魂がやってることを現実でもやればいいのさ」
「なるほど、それなら不都合ないな。転生を生きたままやればいいのか」
「そうだな。クソゲーをやりまくればいい」
幸福になるためにクソゲーをやるってどうなんだろうな。生まれてから一度もいいことがない生活をバーチャルで味わうのを義務化するのか。まあ教育だと思えばそれでいいのかもな。痛みも死も実感できるバーチャルか。マイルームならできるな。そもそもこのマイルームひとつで無敵っつか神にもなれる気がするぞ。
「なれるけどつまらんぞ神は本当にやっててよかったことないぞ泣くぞわめきながら踊るぞほいさー!」
「なんの踊りだよ息継ぎしろよ。そういえば天道だと神や仏の世界で暮らしながら普通の世界の生活を覗き見るんだっけ。まさしく未来世界じゃねえかすげえな仏教」
「世界を知れば答えは見えるってもんだよ。それを悟りという」
「まあな」
つまり人を悟らせようとするなら自然を味わい尽くしたり人の社会を小さい空間でゲーム的に理解させたらいいってことなのかな。
「そういえば山野って元気にしてる?」
「山のんは結婚して数ヶ月後にお前さんの手紙やメールが来ないことに気づいたのでその時に私が槇のんの今の生活のことを教えてやったら安心してそれから百二十まで生きて大往生したよ」
「神による壮大なネタバレを聞いた気がする」
「犯人は実は」
「やめんかい」
推理小説とか最後のページから読んじゃうタイプだな。途中まで読んで展開がだらけたら最後読んじゃうよな。それで犯人が未登場だったりするとなんじゃこれってなる。逆に最初の登場人物で犯人らしくないヤツをコイツが犯人だろ、ほら当たった、みたいなことやるけどあれって闇雲でも当たる時は当たるからきっちり推理してるならまだしも闇雲だと当たっても意味ないからな。推理小説だと最後のシーンまでは犯人が確定する謎解きは出てこないわけだが。当たり前だけどな。途中でコイツが犯人でしかありえない、みたいなのがバレたらワクワクしないしな。
「ひさしぶりに遊ぼうぜ槇のん」
「いいけどゴロゴロして漫画読んでるだけだぜ」
「それもまた至福」
「わからんでもない」
友達とダラダラしてたら不思議と幸福感あるんだよな。まあ普通は部屋を支配されたら嫌なんだがこの部屋どっちかと言えば星のんの部屋だしな。土地だとしたら間違いなく星のんの土地だ。まあそれはいいから遊ぼうぜ。
「槇のんマ○カやろーぜマ○カ」
「いいぜ」
二人いるとゲームもできるしいいよな。
「ミネルバとうさぎも入れようぜ」
「うさぎの手はどうなってるんだ? 肉球で華麗なコントローラーさばきとかできんの?」
「まあすべては魔術さ」
「なんでもそれで済んじゃう世界だな。ご都合主義のなんでもありだな」
「そうでもないぞ。マナが無いとなんにもできないしわりと物理法則しっかりしてるからSF程度のなんでもありだぞ」
「まあそもそも現実の道具もそろそろなんでもありになってきてるしな。ロボットの接客は味気ねえ」
「人間がやるにはブラック労働だしな、サービス業」
「本物の奴隷だもんな、ロボットって」
「これから始まる失業ラッシュ。ベーシックインカム導入してロボットに税金かけてエネルギー開発してエネルギー輸出や創作を売るしかなくなるぜ」
「表現規制ガチNGだな」
楽園問題待ったなしだしすでに少子化始まって久しいし一部が社会の品質下げてるけど頑張ろうな。創作しか生き残る道はない。それもAIに勝てるかわからんけどな。
「考えてみれば今の異世界転生ブームって正しいのかもな〜。現実から問題がなくなったらそれはそれで人生に味がなくなる」
「幸せならそれでいいっていうのは考え方としてはとても貧しいんだよね〜」
実際になんも問題がない世界ってやることがない世界なんだよな。それが逆に本当の幸福から遠い。ユーストレスと言ってストレスには生きるために有益なストレスもある。完璧主義は味気ないって言われてたのは私がガキの頃だからわかってるけど。まあ私はもう一抜けただからどーでもいいけど。
この世界の問題に向き合うのが一番の暇つぶしなのかもしれないな。せっかく来たわけだし。
「ほれ、妨害」
「おのれ槇のん、神をも恐れぬヤツめ」
「神は死んだ」
「あいたっ、また妨害! 反撃じゃあ!」
「神気ないな!」
「かみげ?!」
「マ○カはかみげー」
「おりゃー。妨害じゃー!」
「星のんは毛がない! ハゲ!」
「はげてねーわ!」
「ぎょふのりー」
「「ミネルバに抜かれた!」」
「ぷいぷい」
「「うさぎにも抜かれた!!」」
ちきしよー、星のんと妨害合戦やりすぎたぜ。楽しめるストレスって大事だよな。勝ったり負けたりが一番面白いよな。最強無敵でも楽しめるような生き方をしないとな。これってある意味で試練なのかもしれん。
「ダジャレの気配を察知!」
「神探知!」
「神だしな!」
「周回遅れやーい」
「「ミネルバにまた抜かれた!!」」
「ぷい〜?」
「「うさぎにもまた抜かれた!!!」」
「ぷいぷい〜」
「「「うさぎがトップに立った!!!!」」」
マ○カはやめよう。走るのはやはりうさぎが一番だな。どうせ私はドンガメだよお! うさぎにもアキレスにも負けん!とか言いながらブッちぎられる亀だよ! どんな亀だ? 普通だ。
「昔、私は腐った蜜柑だけど腐ってない部分はまだイケる、とか言ってなかったか?」
「やめろそれ中学の時だろ。あれ、高校だっけ?」
ちなみに星のんとは高校も同じだ。科が違うけど。私は普通科で星のんは人文科学科。成績はめちゃくちゃ離れてるな。ちくしょう。まったく悔しくないけどな。人生は幸せに生きたもん勝ちだし。本当に金とかのために人生棒に振るのもったいないからな。足るを知るというか好きなことやれれば一番なんだ。貯金も家庭も持たなくてもいいし好きにしたらいい。夢やチャンスがないと人口減るのも仕方ないよな。
「そういえばこの世界に広まってる前世の遊びってなんかあるの?」
「ここはイルが管理してるからなぁ。トランプとかオセロとか将棋にチェスはある。あとドラグーンって将棋とチェス合体させたようなこの世界オリジナルのがあるな」
「賭け事とか流行ってそう」
「そのあたりはまだまだ無法社会だぞ」
「やっぱりおそとはこえーな」
「まだおそとって言ってんの? 可愛いだろが」
「うっせえわ」
なんか冗談で言ってたら口癖になったんじゃわい。ほっとけ。
「そういえば神だから嘘を吐かないとかあんの?」
「神に制約なんぞねーわ。あ、精霊は嘘吐き呼ばわりするとブチ切れるぞ。嘘吐くけど」
「理不尽だな」
「嘘を吐かないって難しいんだよ、言わないだけでも嘘にはなるからな。説明が足りてないとか。それは避けられないからな」
「逆に言えば精霊は嘘にならないように誠意は尽くすわけだな」
「頭が足りないからそれでも嘘になることはあるぞ」
それはそうか。小さい子がお父さんが亡くなっているのに「とおくにでかけてる」って言うのは嘘だが本人には嘘じゃない。そういうことがあるわけだな。それを一方的に嘘だとか言ったらガチ切れされるのも仕方ないし大人気ないよな。
「死んだ人が猫になって帰ってきたりもあんの?」
「普通にあるが記憶は残らんぞ。というか槙のんのお母さんがそれな」
「それはどうでもいいわ。転生で記憶が残るのは?」
「単にそういうサービスを受けれるだけのことをした、とか記憶が残ってることでマイナスが大きい、とかたまたまとか」
「魂の世界にもいろいろあるわけか」
「具体的なルールはないよ。そもそも魂になれば自分の行動は自分で客観的に見れるからな」
「あの空間には二度と行きたくねえ。親切にしたつもりが相手の地雷踏んでたりとかもわかるしキツい」
「そんなもんだろ。でも魂の記憶って普通は残らないんだがな。肉体と魂の規格が違いすぎるから」
「あ〜、なんかわかるわ。覚えてるというか感じてたくらいにしか覚えてない」
あの世でならすべての答えはわかるけど言葉にならないから覚えてもいられないんだよな。私は勘を言葉にしてるだけだし。
「ぽてち食おうぜバリバリ〜」
「神にはデリカシー無いのか」
「あるわ。デリカシーも神レベルだわ」
「絶対ねえな」
「たまに地球みたいな知的生命体のいる惑星同士ぶつけて遊ぶくらいだぞ」
「なにそれ邪神」
「一方は機械の惑星でもう一方は戦闘民族で殺戮しか考えてない惑星。自然にぶつかったのを観察してただけ。助けないけど」
「ひでえ。この場合破壊神か。再生のための破壊?」
「たまたま偶然ぶつかったのを眺めてただけだけどな。なんとかなる可能性もあったし。でも惑星が再生しても人間住めない。まだハビタブルゾーンにはあったけど恒星の寿命が尽きた」
「生物発生条件厳しすぎ問題」
「奇跡の地球」
「神でも奇跡?」
「宇宙に二、三千個ほどあると見てもまあまあ奇跡でしょ」
「すげえな人類マジ存在が奇跡だろ」
「しかし神には感謝しない模様」
「まあ地震とか災害ひでえからな」
「人間のための世界じゃねーし地球がクシャミしたりおならしたら神のせいかよ人間だけが生きてるんじゃねーぞ」
「設計の問題じゃねえの?」
「人間が生存できる世界のバランスで宇宙を組んだら災害も起こるし滅亡も普通に起こるけどそれ込みで与えられたもんなんだから活かせ。そもそも人のための世界じゃねーよ」
「まあ津波来るのわかってて海際住んでたりするもんな……。自業自得ではないけど逃げるため避けるためにやれることはやるべきではあるな。それも運命と思えるならいいけど」
来るのがわかってると言えば人類滅亡だって来るだろうし形ある物が滅びる摂理がないと新しい物が生まれてこれなくなる。それはそれで存在する意義がない。考える力があるから不都合にもブチ当たるし恐怖や悲しみがあるから逃亡できるし慈しむこともできる。片方だけでは存在が成り立たないことを悪い方だけ注意して見ていたらそれは不幸に感じるだろう。そして誰かの不幸がなければ人は満たされない。残念なことに生物は存在するだけでリソースを必要とする。
わかってるんだ。わかってるんだけども。
「困窮や苦難は根絶したい?」
「神のお力でなんとかなんない?」
「神がなんでもやるならそもそも世界なんかいらないだろ。世界は魂のためにある」
「そういうもんか」
例えば世界を神がおままごとスペースにしたらそれはそれで神に文句言うんだよな。イルマタルとかその段階なんだろう。人は結局自分の中でいろいろ整理をつけられるし整理がついてないから苦しいのが際立つ。必要と結果がわかってる仕事が楽しいようになんか理由がつくだけで人生は楽になるもんだ。理不尽は起こるけどそれをそのままにしておいたら損失が残り続けるだけだ。立て直さなきゃ。
「だが神にも慈悲はある」
「まーな、今の私が慈悲受けまくってるしな」
「楽しければそれで良し」
「思ったが神らしくないなそれ」
「神にルールなどないからな」
そりゃそうだ。総理大臣や王様にもルールはあるが神のルールなんて力こそパワーくらいじゃね? それすら神の創造かも。
「有意なものがあれば世界はそこに生まれる。私はその水槽を眺めているだけだよ」
「有意があればそこに無意もある。つまりなにもしない。ニートだな!」
「六日で世界を作ってあとはニートしてます!」
「最高だな神。神になりたい」
「世界中の生き物に呪いの言葉を吐かれるが?」
「それは嫌だな!」
人間は成功率五十%でも神に祈って成功しても神に感謝しないし失敗したら神を呪うんだよな。勘弁してやってくれ。イジメか。
「カーラえもん〜。人類くんがいじめるんだよ〜」
「てけてけん。地球破壊隕石〜」
ストレージから岩を出す。光速でぶつけたら地球も消滅するぞ。やらないけど。やれないか。まあ滅ぼされてもぜんぜん文句言えないよな、戦争ばっかしてるし。いないほうがいいって言っちゃうやつがいても仕方ないが、それはな〜。いないと寂しいじゃん。
「できることやりきって、萎びて死んでからだよな、人類に失望するのは」
「そもそも人類が人類否定とかおかしな話だからな。じゃあ働けっての」
「嫌だあ~、私はニートするんだ〜!」
「こんなところにいられるか! 私はゲームする!」
「帰らないのかよ! まあいいや続きやろうぜ。この複数チームで陣地にイカスミ塗るやつにしよう」
「イカ焼き作ろうぜ」
「私が勝つけどね」
「手加減しろやミネルバァ!」
「バァじゃねえわ」
「まあ千歳だから超若手だわ」
「神スケールやめろやおまえら」
神と天使でも年の話すんのかよ。もうほぼ意味無えだろうが。
「実質地球年齢で一兆歳はとーっくに超えてるからな。ほぼ意味なくなってるし違う意味で年を取ってるし」
「違う意味ってなんだよこえーな」
「神に年はないからね」
「知っているのかミネルバァ」
「バァ言うな。神の場合年齢って無いからね。そもそも加齢するとしてなにを基準にするのかってことよ。まさか地球の公転なんて宇宙の基準にはならないし」
「そりゃそうだ」
「宇宙の一巡を一歳としたら五千歳くらいかねえ?」
「天文学的ってレベルじゃねーぞ!」
「千歳の私なんて受精卵ね!」
「だからそもそも年がねえんだっつーの」
年齢って人間だけの概念なのか。やべえな、悟り開いちゃうな。
「ぬぐぐ、インク切れた」
「神は死んだ!」
「陣取り〜」
「ミネルバは天使!」
まあゲームとかで奇跡使わないから星のんはいい神様だと思うけどな。そもそも遊びに来てるしな。神が。
「これを特別待遇と取るべきか疑問なんだが?」
「特別待遇でもないな。私はすべての存在だからな」
「存在のすべてが神の一部ってことだな。ただ自分が特別な一人だとか思ってると枝毛や逆剥けは切られるってことだな」
「自分の髪の毛の細胞一つとかが恨んできたらどう思う?」
「そりゃ気付いたらキメえけど普通になにを考えてるかわからんから無視だろうな」
神様が見てくれない、って当たり前なんだよな。例えば自分の背中の細胞ひとつを毎日観察してる人なんてそういう仕事の人くらいだろうし。趣味で見てる人もいるかも知れんけど少なくとも私は気にしないな。見てくれてるってか遊んでくれてるし。自分一人の世界ではないんだから思い通りにしたいと思ってたらそりゃ疲れるだけだわ。自分以外にもたくさん人も生物も自然も存在しているんだから。それが神だ。逆に言えば全員見られてる。
「神を集中攻撃〜」
「てめ、神を敬えや!」
「地獄に落ちろ〜」
「ミネルバが堕天使!」
「神と天使っていつも喧嘩してるんだな」
巻き込まれたら迷惑だぜ。あ、陣地もらっとこ。
「「横取りやめい!」」
「神や天使は敵だ。魔女だしな!」
そのあと二人チームで攻められた。うちの神様たちはやんちゃだぜ。うさぎヘルプ〜。ぷいぷい〜。
☆きいろメモ☆
神様についてはいつも考えています。きっと寂しんぼです。
次から第一章の最終局面です。果たしてカーラは引きこもりをやめれるのか!




