戦争のシミュレーション 2
一章はほとんどカーラが遊ぶだけです。異世界楽しいですね。
ゴブリンジェネラルに多少傷を負わせるがスリップダメージは期待できなそう。オーラで傷が塞がる。ファンタジーだぜ。まあ治癒魔法より回復は遅い。オーラで戦うやつはなかなかにチートだがライフポイントを使う以上どんどん体力は擦り減っていく。無敵なわけない。血を流すなら殺せる。血液緑色なら罪悪感薄そうだが赤い。鉄分主体ですね! そんなとこが物理。地球の構成物質で一番多いのは鉄なのでわざわざ少ない銅とか集めて魔法生物を作る意味もないってことだろうか。ここは地球じゃないが生態系は地球基準だし分子バランスも大きく変わらないからな。空気に含まれやすいから炭素や酸素、水素なんかが生物の構成物質の基準になっているわけでその辺りはこの世界は地球基準だ。まあ血液青い生き物や黄色い生き物や緑の生き物は地球でもこの世界でもいることはいるんだけどね。
ダンジョン生物とかはリアルな必要がないからファンタジーな火の鳥みたいなのもいるようだけど実際にダンジョンから出たらマナで体を保つのが精一杯ですぐに燃え尽きるようだ。生命として活動するなら数カ月は生きないとダメだろうな。カロリー消費しすぎる生物なんて無駄にも程があるってことなのか。自然はリソースの奪い合いだからな。火山地帯なら生きられる気がするがそもそも炭素系生物の体はマッチの炎にも耐えられないから精霊みたいなものなのかな。最強の生物とか言われるクマムシもマッチの火で死ぬし人差し指で潰せるので生物はとても脆弱なのがわかる。まあ珪素系生物ってケイ素が循環しにくいから生まれないらしい。ケイ素含有生物はいるけど。人間とか。
寄生虫とかにいる呼吸できない生物やゴーレムに霊体や死体みたいなのもいる世界だから死の風、ナイトロジェンストリームも効かないヤツは多そうなんだよなあ。霊体に分類されてる動く鎧とかはゴーレムと変わらんらしいけど。まあ対処は簡単なんだけどな。中から爆発させるだけ。対ゴーレムが一番難しいんだよなあ。物理こそパワーだぜ。質量兵器バンザイ。風魔法はそこがなあ。まあミサイル並みのキャンディ食らわせまくれば潰せるけど。キャンディボムに鉄片混ぜるとか。風で巻き込める質量ならイケるから爆弾用の鉄片をたくさん用意しておこう。素材ストレージに入れるだけでいいのが楽だ。
さて、このゴブリンジェネラルも生物なので死の風で殺せるんだけどどうするかな〜。物理で殴る練習をしておきたい。とは言っても超質量の鉄塊とかを上空でストレージから取り出してキャンディで加速しまくりながら落とすとかしたらかなり凶悪なはずなんだけどどうするか。キャンディ、鉄の塊、キャンディ、鉄片と並べて叩きつけた瞬間に爆発させるとか。うーん、手間だ。加工とかしてみるかな。そのうち錬金術もやる気だし。
そもそもマナ以上の火力は出せないからからめ手でやるなら燃やすとかあるんだけど。魔女の煉獄はコンクリや岩石も燃やせるからな。三フッ化塩素と酸素の圧縮した混合気体で焼くだけなんだけど。三フッ化塩素っていうのは助燃性って性質のある気体で燃焼を助ける働きがある。燃焼ってのはそもそも酸化なので(この場合フッ化だが酸化反応とみなされる)高熱で気化させた燃料とか必要になるわけだが揮発したガソリンとかは風の精霊もコントロールできるっぽい。なにそれチートって思うかもしれんけど最初からそのつもりで星のんに通販スキル強請ったんだよね。通販スキルで買ったものを売るとか現地の発明発展に指標持たせるとかは現地の人がやればいいと思うからやらないけど。経済を混乱させるなら方法はいくらでもあるしそもそもリアルな経済問題とか起こしてもメリットがなぁ。どこかの国が貧しくなったらどこかの国が豊かになる、とはならないよな。不思議な話、でもないが、嫌いな国でも経済破綻したら困るんだよなぁ。借金とか返してもらえなくなったり。なので経済戦争ってのは自爆技だからやらん。
なので通販スキルは自分のためだけに使うのである。ふはは。チーズケーキ食お。コンビニスイーツって安いけど美味いよな。ケーキ屋のヤツより好きだ。ケーキ屋のはアイスケーキとか好き。うん、うーん、そうか、その手がある。
液体窒素購入してぶっかける。うん、身長三メートルくらい、表面積デカいから当て放題だな。マナ操作で缶ごと運んで叩きつけて缶の内部にキャンディ詰め込みまくって爆発させる。魔術は便利だな。魔法やスキルってのはすごい難解なことを精霊や天使に任せることで、マナ次第ではあるが、簡単にこなせるんだけど魔術は純粋な威力と自由度が高い。精霊に任せる部分は特に自由度が高いし減衰も起こりにくい。魔法と魔術は一長一短だな。
凍りついたジェネラルに燃やしたガソリンとかぶっかけて爆発させる。さすがに金属じゃないから死ぬか。しかしこの通販スキルと素材ストレージの組み合わせは反則だな。なんでもできそう。戦いながら塩コショウできる。しないが。
「とりま大物は倒したけど、遺跡までなにもナシってことはないよな」
私なら細道、焼き討ちをかけるか奇襲は少なくともやる。自陣が近いので焼き討ちはないだろうと思ったら自陣を捨てて焼き討ちとかあるんだよな。いわゆる空城の計ってヤツだ。戦争はそういう「これはやらんだろう」を仕掛けるものだ。例えばこんな森の中で水攻めはないだろう、とか、まさか雷がコントロールされて降ってきたりしないだろう、そう思うなら、そこが責めどころになるわけだ。自分がまさかこれはない、と思い込んでいることはないか、そしてどんな状況になってもリカバリーできるか、そこを考えるのが戦術だ。こうしたら勝てる、は無いし、逆もまた然り。だから戦は終わらせるのが難しい。大将を討って残党を仕留めるまでは戦争だ。戦いに身を置くならどこかで討たれる覚悟は必要だ。それがないなら戦争なんてするべきじゃない。恨まれずに勝つなら外交やからめ手で落とすとかやりようはある。
「まあゴブリンに外交を期待しても無駄だから狩るが」
次々奇襲をかけてくるゴブリン共を返り討ちにしていく。片手剣は単独で森とかを駆けるのはやりやすいな。目指せ千人斬り。長柄の敵はキャンディをぶつけて仰け反ったら首を刈っていく。首置いてけ!
「ふう、一休み。うさぎたちも張り切って狩ってるなぁ。うさぎとは」
うさぎとは闘争に生きる生命である。んなわけあるか。二匹は大剣で細い木ごとゴブリンを狩ったり細剣でことごとく首を刈っていく。まさにうさぎ。そんなわけあるか。凶暴だな。すげーデカいホブゴブリンを一太刀で屠るうさぎ。いやかっこいいけどうさぎは草食だろ。野生の取り戻し方が違うだろ。うさぎの野生ってどんなんだ。がるる、とか唸りだしそう。
「ぷいっ、ぷい〜」
「はいはいよくできました」
鳴き声はそのままだった。なんか擦り寄ってきたのでなでてやる。血まみれだが。まあ浄化されるみたいだからいいか。よくないな怖い。さてつぎつぎ。
雑魚を始末していると矢が降ってくる。森で狙いもつけずに矢を打つのか、と思ったが思いの外邪魔くさい。横に避けるにも木が邪魔だし隠れていれば後れを取る。この状態で魔法で火炙りは御免こうむる。まあ射線を横切って行けば矢は届かなくなるし後ろに回ると見せかけてキャンディを放り込む。余所見はよろしくないな? こっちは魔法使いなんだから遠距離戦苦手なわけないだろ。遠距離攻撃でも精霊を介すると威力の低下が起こりにくいのでどんどん弓持ちのゴブリンを潰していく。敵の射撃が止まったところで味方が雪崩れこむ。こういう時に油断するからダメなんだぞ。ほら、魔法が飛んできた。
戦術の基本は相手に勝勢だと思わせて不意打ちをかけることだ。まんまとハマった味方が吹き飛ぶがうさぎたちは魔法の起こりを見分けたのか隠れて躱している。流石だな。
普通にここまで押し込まれたら人間なら敗走するか降伏するんだがゴブリンにそれを求めてもダメらしい。向こうの親玉は一人でも戦局を覆せるつもりか堂々と一匹で出てきた。二、三手下はいるか。まあ潰すが。キャンディ。
味方が突っ込む前に魔法で目くらましも常套手段だろ。魔法の常套手段は知らんけど手榴弾投げ込んでから突っ込むようなもんだ。あっさりうさぎたちが雑魚を制圧していくので私は一人でキングの前に立つ。ゴブリンキング戦、物語なら序盤の大詰めとかだな。昔から適応力は高いが戦場に簡単に慣れてるのは我ながらどうかと思う。命のやり取りって感覚がないのはいろいろマズいと思うが、有利に働いてるうちはいいだろう。殺す。
「ぎゃぼっばあああああああああッ!!」
「うるせー。腹が減ったなら飴でも食らえ」
キャンディを口に放り込もうとしたら思いっきり顔を逸らして躱した。爆破。すっ転んだ。わはは、マヌケめ。ゆっくりと近づく。まあ反撃くるよな。ひょいひょい。起き上がりながらの縦の斬撃数発をフットワークで躱す。トロくせえ。……レベル上がったかな、体が軽い。ふと見ると五つくらい上がってる。どこで上がったんだ? ミネルバレベル上げ音声サボってない? まあずっとやられたらウザいけど。
「ぴっぴょろりっぽーん。レベルアップ」
「思い出したように適当な音声つけるんじゃねえ」
「おでん食べてた」
「大根で火傷してやがれ」
コンニャクでもいいぞ。まあ実際に邪魔くさいのでレベルアップのSEはいらん。もち巾着とかもよく舌を焼くよな。あとでおでん作ろ。
ゴブリンキングは散々に大剣を振り回してるが遠いんだよなあ。魔法使いなんだから踏み込んでくるわけないだろ。アホだな。しょせんはゴブリン。ゴブリンりん。皮が剥がれまくった傷だらけの顔に突き出た牙と伸びた二本の角がとっても可愛らしくない。ヨダレも垂れ流してる。汚っ。顔洗ってこいやキャンディ!
パァン、と顔面を弾く。仰け反ったとこで上からもう一発。堪らず後頭部からコケるキング。キィング。腰蓑に毛皮のベストを羽織ったキング。王冠も無いので無冠のキング。大の字で転がったので急所の玉の上で風の玉を爆破しまくる。キング玉。汚えよ。
「ぐぼっ、ぎょおおおお……」
「ぷ、ぷいぃ……」
「うさぎでもオスだな!」
大剣うさぎが内股になる。痛そうなの分かるらしい。女にはわからん痛みと言われるしな。ちなみにレイピアうさぎもわからんらしく首を傾げている。黒うさぎも男は大変ぽいな。よほど痛かったのかゴロゴロ転がって逃げるキング。ブレイキング。しゅるっと起き上がる。意外と身軽。しかしキングはキング玉を押さえてしゃがみそうになっている。これ首ハネてもいいか? つまんないからやめとくか? そもそもこのレベル上げごっこも楽しいからやってるんだしな。ちょっとガチで殴り合うか?
魔法使いの戦いはするべきか。まーなってやってやるぜ。とは言っても使える魔法は風だけだしストレージや魔術を使えば基本なんでもありだしな。それはつまらんな。石を魔術で浮かせて風魔法の爆破で飛ばしてみるか。礫の嵐。風をぶつけるだけよりダメージデカいか。破片手榴弾がデコボコになってるのは破片を飛ばすためだよな? ちなみに黄色いのをパイナップルと愛称で呼ぶらしい。知らんけど。
軍事関係勉強しとくんだったな。孫子くらいは読んだけど。基本的な情報はスキルを手に入れたらインストールされるんだが軍師系スキルも一応あるようだ。上級職だが地形看破とかが主なスキルらしい。罠感知とかシーフのスキルもあるようだ。軍師は盗賊系?
ちなみにシーフ職は無いらしい。トレジャーハンターとかレンジャーとか罠師、鍵師はある。まあ盗賊が仕事かって言うとな。強盗や山賊が天職だったら差別待ったなしだし。天職の上級とか下級もレベルの上がり方に差があってどっちがいいってこともないらしいしな。これもイルマタルが慈悲で与えてるようなものらしい。モンスターのいる世界ではあんまりに人間が弱いからな。元からいた魔術師やシャーマンは強かったんだがあんまり数がいなかったようだ。歴史とかはメニューの説明書に書いてある。たまに読んでる。国家情報とか面白い。
そのうち戦争に参加したりもするのかもなあ。イヤだなあ。なんで戦争なんかするんだよ、なあ。みんなマイルームに放り込んだら戦争は無くなるんだがそれは違うだろう。そいつらが改めないと意味がない。ちなみにこの説明書もギフト持ちだけがもらえたスキルっぽいな。みんなが持ってたら平和なんだがそこまでしたら人間の成長も無いし世界が存在する意味がないんだよなあ……。六道輪廻で天道は悟りが開けないみたいな話を聞いたことがあるな。だからこの世界は修羅道なんだろう。私は人道から転落してるじゃねえか。喧嘩っ早いからかな。弱い者いじめはダメだが喧嘩は好きなんだよなあ。そのうちストリートファイトしてみようかな。町くらいはのぞきにいこうか。いつか。あ、ぼやぼや考えてたらキングが復活してきた。ライフポイント回復系スキル持ってやがるな。鑑定してみるとライフポイント回復大がある。ライフポイントが回復しても傷は塞がらないがオーラを使って傷を塞ぐ技はあるようだ。オーラってのは人体が支配下に置いたマナなのでマナに干渉もできるがマナそのものではないので肉体以外の物質を作り上げたり精霊を作り上げたりはできないぽい。かわりに生命の精霊とは相性がいい。パンチに炎を乗せたりはできる。オーラもカッコいいな。人体内に物質を作り出せないようにオーラもマナを侵入させるのが難しい。めんどくさくなってきたな。ソラノツルギの子機をぶつけざまキャンディも爆破。お、躱したな? それはヤバいとみたか。
例えば両足で踏ん張ってるやつを転がすのは難しい。相手を転がしたければ片足、一点で体を支えさせるようにすれば例えば十トンの柱でも足が細い木の棒でしかなかったら軽く押しただけで転がる。この状況を作るのに一番いいのは相手を回転させてやることだ。合気道で相手を回転させるように回り込むように動くのは物理的な理合にかなっている。合気道の技術は円運動とか慣性とかテコの原理とかとにかく科学的で運動の法則に則っててすごいんだよな。あれで倒せない人間はたぶん存在しない。それを魔法でやってみる。相手の足下の物質の質量を魔術で上向きに向けてキングがコケないようにその足を上げたらその足の方の肩でキャンディを爆発させる。タイミングが命だな。グラついたところを顔面に追撃。コケろデカブツ。ずしーん、とまあ派手な音を立ててコケた。追撃。ボウリング玉大のキャンディでキングのピンをピンにしてボウリング。
「下品ねえ」
「勝ったほうが正義!」
ミネルバは上品なの? 口元に手を当ててオホホ、とかやるの? 容姿的には似合うけど中身は破綻してるしなあ。
「ワテクシはれでぃですわおほほ」
「ヤバいくらい棒読みだな」
「ぷい、ぷい」
執事も呆れてるぞ。まあ星のんとかはそのへん使い分けすげえけど。氷の女王とか言われてたことあるけど中身は中二なんだよなあ。
さて、キングはもう立ち直れないみたいだしサクッとやったら人間との戦争もシミュレーションしてみるか。
立ち上がったところで飛び蹴り! 躱したらそのまま首狩り!
「ギョボホオボボボボボ……!?」
「首が太えな! 三日月ボム!」
追撃で子機を叩きつけてキャンディで押し込む! なぜか子機の三日月型の真ん中に受け皿みたいな丸い部品が着いてて風を受けて押し込めるようになっている。スパン、と小気味よい音を立ててキングの頭は吹き飛んだ。
ひとまず終わりぃ! ニートしよ。
☆きいろメモ☆
この世界の設定は魔法を物理に落とし込むために無理していますのでどこかで破綻してるかもしれません。こっそり教えてください。
知識チートは現地民の発明のチャンスなどを奪うために極力やらないことにしています。そもそも戦争のための知識チート合戦などになったら主人公があっさりテロで死にそうですよね。そのため神々も知識チートには積極的ではないようです。もし知識チートを全開にしても魔王クラスだと核爆発も弾きます。星を砕いたりは難しいですが最大でこのくらいの力を考えています。
この世界のモンスターは基本はレベルを持っていませんがトレーニングルーム内はほぼゲームなのでレベル設定がされています。
外にもなにかしらあってレベルや天職を持ったモンスターは存在します。魔王にはステータスはありません。逆に言えば偽神レベル八百でも魔王は倒せません。ギフト全開でも余裕で負けます。魔王はモンスターです。ちなみに魔王ですが別にモンスターを統率してません。いくらか使役はしています。そのうち出てきますので! 三章くらい?