ハクスラなので
ハクスラっぽくはないですね。
ちなみに科学的なことはすべて推測に基づいていますので実際にやったらどうなるかはわかりません。当たり前か。ミスもあったら教えてください。
さて、ハクスラなのでひたすらモンスターを倒すわけだが能力値が低いので底上げするアビリティが欲しい。なのでお金になりそうなモンスターをミネルバに出してもらいトレーニングして勝てるとなったら狩りにいくことにした。トレーニングルーム最高だな。
それで最初のモンスターはマンティコアらしいんだが、マンティコアってずっと疑問だったんだよな。哺乳類のライオンとコウモリはわかるけどサソリは虫じゃん。血液から違うのに一つの体にならないだろって。
で、出現したマンティコアを見てわかったが尻尾は尾骨の延長でしかないな。サソリっぽくは見える。先にある毒針は毒腺が尻の辺りにあるらしい。コウモリの翼はデカい。あれを羽ばたいても飛べないだろうな。動きづらそう。こんなの地上戦なら楽勝だろ。
「魔女の煉獄」
「ギャビエエエエエエエエッ!!」
簡単に化学物質で燃やしてやったぜ。……素材どうしよう。
「君は実にバカだな」
「弁解の余地がねえよ!」
バカで辛い。経験値は美味しい。レベルは上がってないけど。ちなみにこの島はザウト島というらしい。大型のモンスターがたくさん住んでるので怪物狩人ごっこができる。私あのゲーム苦手なんだよね。運動神経ねーもんよ。小さい頃はそうでもなかったんだがインドアになってからサッパリだ。アウトドア派オタクにならないとね。酒を止めてから体の調子良くなってたんだよなあ。
まあ生まれ変わったしそれはいいや。さて、もう一回やってみるか。どう倒したら素材が痛まないかな。やっぱりアレだろうな。
「はい、出すわよー」
「あいよ、ナイトロジェンストリーム」
コートのシームポケットから窒素の瓶を取り出し精霊に認識させ、風で窒素を集めて辺りを包む。現れたマンティコアを威嚇する。飛ばれたらかなわんからな。ちなみに自分の呼吸は常に精霊に確保してもらっている。
窒素の風が辺りを包む。窒素なんてたくさんあるって? そうだな、酸素が二割ほど含まれた窒素ならその辺りにあるな。窒素十割ならどうなると思う?
「ぐぼおお! …………」
「おやおや、マンティコアも普通の生物らしい。呼吸が必要かい。最強の猛毒の一つ、窒素だよ。酸素含有量ゼロの」
突然に動きが止まり、ズドン、と、巨体が倒れた。窒素はどこにでもある。だから誰も気づかない。本来血液中のヘモグロビンは体内に酸素を送り込むものだがそれは酸素分圧の高い所で酸素を吸着し酸素分圧の低い所で放出するという単なる化学的性質による。酸素分圧が低い空気を吸うと逆にヘモグロビンは体内から酸素を体外に運び出す。結果、普通に窒息するよりも遥かに速く息の根が止まる。酸素を多く要求する脳から止まるので普通に呼吸したらいっさい気づかずに反応もなく倒れる。
「なんでそんなこと知ってるの?」
「理科で習うだろ」
「習うかな?」
「じゃあ、魔女だからさ!」
「似合うな」
「毒殺とか魔女っぽいよね」
なので毒の勉強ばっかりしてたんだよね。生物界の毒はやべぇのが多い。トリカブトとかもそうだろう。天然由来成分だから安心して星のんのとこへ行けるぞ。少量で即死する毒はいくらかある。ちなみに青酸カリは料理一口で殺そうとしたらまあまあ量を入れないとダメだしかなり臭いし不味いのでバレるし吐き出すらしい。普通に食べるのをやめる可能性もあるわな。救急車で病院に行ったら助かったりすることもある。その点窒素ガスは臭いもないわ色もないわその辺にいくらでもあるわ。これが猛毒とか誰も思わない。ちなみに液体窒素はかなりお安く買える。容器がバカ高いだけだ。危険極まりないと思うんだが買える。バナナで釘が打てるんだぞ。危険すぎるな! 実際は冷やしすぎると結合が弱まって水分が膨張して割れたりするけど。マイナス四十度くらいが打ちやすいらしい。試したのかよ。液体窒素に浸けたら水分高いやつはたいてい割れる。人間も割れるだろうな。やらないよ? そこに燃えてるものとか放り込むと爆発するかもね。やらないよ? 液体窒素は気体になると七百倍の体積になるからとても危ないぞ。気をつけろ。
さて、ひと呼吸で気絶した後も数分は吸わせとかないと死なないかもしれないので吸わせとく。待つ必要もないくらい一瞬だな。マンティコアはそのまま消えた。
「これ、生物相手だと無敵ねえ」
「そうだな。風魔法は最強だろ?」
「これどうやって打破するの?」
「ひと呼吸でも死ぬからな。気づいたら終わってる。無理だな。あらかじめ私みたいに呼吸をすべて精霊任せにしておくしかない」
「凶悪ねえ……」
なので問題はゴーレムとか呼吸しないタイプのヤツなんだよな。ハクスラは楽しいからやるけど。……実は地球にも呼吸しない(できない)多細胞生物はいるんだよなー。
「これでお金の心配は無くなった?」
「緊急性が無いなら地道に稼ぐわ。とりあえずアビリティは揃えとこうかな」
とりま一般にも買えるとこでマナ十倍を買うことにした。私のステだと三十倍くらい欲しいとこだけどな。チートすぎてもつまらないだろう。まあお金稼いでからだけどな。ちなみに十倍はオークションだとひとつ十億グリン超えるらしい。払えるのか? ここなら三億で買えるけど転売はできないし自分もそんなつまらんことはしない。地球産の物を転売もしないつもりだ。せっかく異世界なんだから冒険者して稼ぎたいじゃないか。しばらく引きこもるけどな!
とりあえず外に出てマンティコアだけ狩ってみるか。一体百万グリン? マジで?!
「完品だったらね? 卸値で買ってあげる」
「モンスター小売業とかあるの?」
「冒険者から冒険者ギルドへ、冒険者ギルドから客、もしくは商業ギルドや錬金術師ギルドへ、オークションにならない場合はそこから小売へ、小売からお客へ」
「めちゃくちゃ間入ってるな!」
「だから冒険者は儲からないのよねえ」
Cランクくらいから直接販売することもあって仕事になるらしい。Dランクまではカツカツだな。まあそこで引退するやつが多いらしいが、その後どう生活するんだろうな? 薬剤師について薬草取りならできそうだが。年取ってから雑務は辛いぞ〜……。マンティコア狩るか。
マイルームカメラオン! マンティコアは〜、うーん、グリフォンはいた。……おー、巨人はすぐわかるな。マンティコアだよマンティコア。うーん、空を飛んでるのがいた。ペガサスか。そういえばマンティコアとかドラゴンって魔術で飛んでるらしい。マンティコアみたいな生物って翼を含めると六本足だから生物としては奇妙だよな。生物は卵が二つに別れる所から始まるんで手足とかは二の倍数になりやすい。手の指とか例外的なものはたくさんあるんだけど基本はそうなる。なのでドラゴンとかもマナ生物の可能性は高い。マナ生物学者になろうかな。特殊生物学と一般生物学に分かれるんだろうか。相対性理論みたいだな。
マンティコアの巣を発見。百匹くらいいるわ。そんなにいらん。どこかにボッチはいないのか? ここにいる? やかましいわ。ミネルバもうさぎもいるわ。スライムもいるわ。あとでクロノに慰めてもらおう……。
クロノにも魔法のスフィアとか与えて強くしちゃおうかな。分裂しないようにさせないとな〜。
あ、ぼっちコア発見。外出しま〜す。ぼっちコアから離れてストリーム。バレないようにマナを込めた空気を遠巻きに送り込む。精霊たちはよく言うことを聞くな。助かるわ。ぼっちコアは何が起こったのかわからんだろうな。倒れた。しばらく待ってから回収。楽な仕事だぜ。
「本当に傷一つないわねえ」
「文句なかろう? もう少し狩っておくかな」
その後も数匹狩っておいた。派手なアクション無し。お金には困らないのであとはミネルバポイントだな。ハクスラしよう!
さて、その前にスライムを見に行くか。あんまり時間が経ってないんだが。釣りでもしてようかな? ゴロゴロするお金もできたしな。しばらくはハクスラしたりゴロゴロするか。漫画とかゲームとか飲み物とお菓子も買っておこう。
スライムちゃんたちは変化なしだな。ジューススライムもウィッチスライムも元気だ。どうしたの?って感じに寄ってくるのが可愛い。数十分くらいしか経ってないんだよな。マンティコア狩っただけだし。他はトレーニングルームにいたからほぼ時間経過なし。そのうちドラゴンとかも狩れるかな? そのうち狩って捌いて食おう。たまに外に狩りに出たり錬金術用に薬草や鉱石を集めてもいいな。どうせ先は長いんだし錬金術はゆっくりやろう。スライムの改良や観察がすでに楽しいしハクスラしたりゴロゴロしたりしてたら満足だしね。海も見たいなあ。まあ牧場の壁から見れるんだけどね。そこにいる生き物と触れ合いたいし魚も釣りたい。銛で突いたりしたい。磯巡りや潮干狩りもいいな。
さあハクスラ。なるべく軍隊みたいなのと戦うことにする。相手を殺すのは簡単だけど生かしたまま倒すのは難しいからな。笑気ガスくらいはあるけどアレも使いづらい。麻痺毒とか神経毒は程度を間違えたら心臓が止まる。殺す手段はたくさんあるな。
オークが群れで現れた。何匹いるんだこれ。ハクスラっぽく無限湧き? 視界に十匹はいる。幸いなことに森ステージだ。隠れる場所は多い。手前からやるのは下策だな。円を描くように走る。跳ぶ、木を蹴りまた跳ぶ。撹乱しつつ後ろに回り、逃げる。
「ブギッ?!」
「ブゴオオオッ!!」
追いかけてきた所ではい、ボカン。キャンディボム。罠でしたー。五匹か六匹、次々と透明キャンディに当たった。このキャンディボムの凶悪な所は圧縮熱で発熱する所だろう。火が着くくらいの膨大な熱で、これで場所がわかるかもしれないな。ちなみに圧縮後に常温に戻ってから炸裂すると超低温の風を浴びることになる。たしか水素やヘリウムだと逆に高熱になるんだよな。周辺の空気は圧縮熱を発するから熱っ、冷たってなるはず。気体なので熱伝導率は低め。なのでファイアピストンも冷たいキャンディもある程度圧縮したまま押しつけないとだめだ。
キャンディボムは早く当たるも地獄、遅く当たるも地獄。色つきのキャンディも投げまくる。これを躱しては無色のキャンディに当たる。当たるも地獄、躱すも地獄。オークはどんどん減っていった。よわーい。ハクスラなのでどんどん湧く。忙しいわ〜。たまにオークファイターとかオークメイジとかいうのが出てくるな。どんどん狩れ〜。危な、魔法飛んできた!
威力自体はどれもヤバいよな。マナが高いとダメージが減るんだろうか? 火の魔法を食らってみよぐほあっ?!
痛いけどそれだけだな。怪我はない。火に巻かれたら流石に息ができないが風の精霊が空気を送ってくれてる。やはり風が最強よな!
次々と湧いてくる豚をどんどん仕留めていく。消えるからいいけど消えなかったら山積みになりそうだな。ハクスラあ!
試しに子機も飛ばしてみる。スパッと後ろから首を飛ばされるオーク。すでに雑魚だよね。アーマー着込んでるやつとかもいるがキャンディを当ててやると勝手に消える。空中で待機させてるキャンディの温度が常温まで下がってきたので投げる! ばしい、っと一回発火したが森が冷えたのか消えた。まあ熱衝撃もあるしなかなかのえげつなさである。走ってきたオークは足元がいきなり燃えたあと消えたのでコケた。後ろ頭を刺しておく。アイスキャンディは要改良だな。ソラノツルギの材質を鉄に変えよう。
「変わったよー」
「戦いながらオプション変えれるって完全にハクスラだな!」
「星野はこれを狙ってた」
「さすが星のんだぜ」
どんどん倒していけばいいな。レベルも少しは上がりそうだ。
「てってけてーん。レベルいっこアップ〜」
「つぎつぎい!」
ゴブリンのデカいやつ、ホブゴブリンが出てきた。ハイコボルトというコボルトの上位種も混じってる。しょせんは子鬼と犬面だ。顔面にキャンディを投げながら剣で首筋を狙っていく。見てから回避なんてそうそうできやしないからな。こっちだって躱させてからトドメ!
片手剣なので空いてる左手でキャンディや子機を飛ばす。キャンディはあんがい射程が短いので子機を飛ばす。どうもマナのコントロールできる距離がマナ最大値依存みたいだな。敵の真ん中にデカめの空気弾を放って大爆発させる。音だけでも怯むだろ。これで平気なやつはいない。鼓膜裂けるし。爆風もすごいから破片だけでも銃弾並だ。これ常温になるまで空気爆弾を置いといて液体窒素入れたら氷結爆弾になるんじゃね? 空気ってヤバいな! ちなみに四十気圧も一気に圧縮すると物が燃えるぞ。ファイアピストンって道具があってこの熱で火を着ける。十気圧くらいでもだいたいの発火剤は燃えるらしい。
キャンディボムに砂埃を巻き込んで炸裂させたら完全に手榴弾である。吹っ飛ぶだろうな。爆弾は熱エネルギーもヤバいんだがこれは炸裂弾だな。
「どんどん湧いてくるな!」
今度はコボルトの群れにトロールが二体混じってる。トロールはコボルトを投げてきた! 扱いが雑う!
「黒うさぎを投げ返します」
「扱いが雑う!」
ミネルバまで戦うな。いいけど。たしかハクスラでモンスター召喚できるやつあったし。ミネルバはモンスターだぜ。
「夜な夜な枕元でせんべいをかじります」
「なんて嫌な妖怪だ!」
妖怪せんべいかじり。いそう。枕返しの亜種かな? トロールにキャンディを投げつける。あ、思いついた。ファイアピストンアタック! 顔に圧縮空気を押しつけて火傷させてから更に爆発させる!
「バホおっ!?」
「効いたな!」
「トロールは火に弱いものねえ」
定番だよな。たしかゲームだと森の巨人みたいな扱いだけど本場だと変身する妖精みたいな存在なんだよな。地域によって扱いが違うの。この世界のトロールは木属性の巨人らしい。三メートルくらいの身長で細身、表皮は木の幹みたいだな。目は虚ろで赤い。一応腰みのみたいなのを着けてるぞ。色は緑っぽい灰色だな。日本産ゲーム仕様だなぁ。その割にマンティコアが哺乳類とかこだわりが見える。生物好きなのか実現させようとしたらそうなったのかはわからんな。トロールの生態ってどんな感じだろ? あ、モンスター図鑑に書いてるみたいだな。あとで読んでみよ。おらあっ!
飛んでくるコボルトを斬り飛ばしつつ接近、左手を密着させてハアッ!と気合を込めて高圧の空気を叩きつける。格闘技っぽくしたかっただけで意味はなかったが吹き飛んだ。ミンチになって。
「当然魔法もゼロ距離からなら威力が上がる」
「半端ねぇな」
巨人が腹から半分に折れたぞ。こんなの食らったらひとたまりもないだろ。反作用はマナで抑えられるわけだな。ということは更に威力を上げるには叩きつけるより少し離して打ったほうがいいんだろう。核ミサイルとかは着弾させるんじゃなくて空中爆発させた方が威力が上がるので上空で爆発させるんだよな。核ミサイルを殴り返したりはできないってことだ。
トロールたちも片付いたが休みなくオーガが数体も出てきた。鬼らしく二本の短い角がありガタイは筋肉の鎧。そして腰みの。ブッとい棍棒を振り回してるが森ステージだぞ。生木は折れねえっての。
生木が風で折れるのは木の自重に加えて葉っぱや枝全体で風を受け止めるからだ。幹の中心を殴った所で横向きの力なら自重が支えくらいでしか関係なくなるのでその木の重さだけ力を加えるなんてなかなか無理だし折れるはずがない。しかも木というのは繊維に沿って縦に裂くと割れやすいが横向きは強度が高くなる。木を鉈で割ったことがあるとよくわかると思うが本当に木は横向きには切れない。斧やノコギリのように何度も切りつけたり叩きつけないとダメだ。キャンディボムで折るなら細い管状にして中に砂を詰めて先から順番に放出してヤスリみたいにして切るかな。ある程度切ったら爆破してもいいか? ウォータージェットみたいに二千から四千気圧とかは今は無理だけど、今はな。まあ本当に倒す必要が出たらチェーンソー出すわ。神も真っ二つだぜ。
んで、予想通りオーガは棍棒を振れなくて困って素手で殴りかかってきた。棍棒の意味ぃ! 縦に振れよ縦に!
「ミネルバ、一万グリンで手頃な槍をくれ」
「はいよ」
槍を買って取り出す。面白そうだと思ったらすぐに反応するなミネルバ。キサラギ流には片手剣で槍に対応するために槍の技もある。盾や弓に対抗する技術まである。インストールしてあるキサラギ流の基礎知識で、槍で突く、斬る、叩く! ほら、森でも槍は強い! オーガたちも棍棒で突き刺してくるけど横に避ける。オーガはデカいので木が邪魔で横に動けない。……ファンタジー物でコイツに苦戦する理由がわからん。動きが速いとかならわかるけどデカいと言うことは小回りが利きにくいってことだ。例えば自動車が減速せずに直角に曲がったらタイヤが外れると思う。人間ならいきなり反復横跳びもある。正面から歩いてきた人が眼前で突然反復横跳びを始めた経験は誰にでもあるはずだ。ねーよ。あったら怖いよ。なのでオーガは円の動きで翻弄しつつ表面積がデカいのでお湯でもかけてやるといい。避けれないだろうし。怯んだら毒針でも打ち込んでやれ。なんでこんなのとまともにガチで殴り合おうとするんだ? 戦車と喧嘩したら勝てないけど操縦はできるだろ。戦車は四十トンもあるんだからオーガなんて一トンも無いのに勝てるはずない。でも人間は戦車に勝つだろ。戦いと狩りは違うんだ。賢く立ち回ったら「こんなもん」だわ。準備はいるけどな。皮膚が硬いかもわからんけど歯や亀の甲羅ほど硬いわけもないしキャンディを耳にぶつけてやったら倒せた。皮膚の強度もまあタンパク質の繊維だから魔法で強化しないと限界はあるな。さすがに耳の中で爆発が起こったら死ぬか。キャンディの気圧は二百気圧くらいにしてやろう。二百気圧って言ってもそんなに大量に空気がいらないんだよな。例えば百ミリリットルにするなら二十リットルあればいいわけで、実際はそんなにいらないのでもっと少ない。一〜ニリットルくらいあればいいかな。耳の中の空気が二百倍に膨れ上がるとか想像したくねえな。その量ならその辺りの空気だけで済む。いずれ十万気圧とかできないかなあ。核爆弾並みの威力だけどな。ちなみにストレージには摂氏二十度一気圧でないと入らないらしい。液体窒素とかは缶ごとなら入れられるんだけど。他の化学薬品なんてステンレスのボンベじゃないとダメだったしな。
ファイアピストン式に空気を叩き込んでやったら脳が沸騰したりしないかな? 脳なら部分的に沸騰しても倒せるけど接触時間が短いと熱が伝わりきらないからな。気圧を抑え続けるのも大変だろう。まあキャンディを空中で維持できるんだから無理じゃないが。マナ防御もあるし難しいところだな。熱が奪われたら広げてから接触させたら凍る。それで倒せるかも? 熱衝撃は起こるのか? セラミックとか熱衝撃に弱いんだよな。硬いほうが割れやすい。ちなみにマナで物理エネルギーを跳ね返す場合も物理量による限界はある。十のマナと百のマナで跳ね返せる強さは違うし千のマナでも星が降ってきたら死ぬ。それ以下なら跳ね返した分のマナを消費するだけで済む。巨漢が大剣を打ち込んできても数十ポイントのマナで跳ね返せるので上位の魔法系天職で高レベルだとほとんどの物理攻撃は跳ね返せる。まあダメージが跳ね返るわけではない。そういう魔法はあるらしい。消費がバカでかいのであまり使われないがかなりヤバいな。だけど物理系にはオーラもあるので簡単にはいかないか。
ハクスラ楽しいな〜。もっと、もっとだ! やっぱり経験は力だしな!
次はゴリラが群れをなして襲ってきた。ゴリラとオーガだとゴリラの方が強いぞ! 猿の方が人型より森じゃ有利だな! オーガより小型の牙が鋭い狼とかの方がやべえな!
☆きいろメモ☆
無酸素空気を吸い込むと最初に脳が止まるので呼吸が行われません。ヘリウムなどの場合は手品用のものなどは酸素が入っています。色々な事故が実際に起こっています。詳しくは作品中で何度か語ります。これが風魔法を選ぶ理由の一つです。
嫌気性細菌など通用しない相手はまあまあいますが……ネタバレになるのでやめておきます。