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第三話 再会?

 18:42


「 間に合ってよかったわ 」

 助手席の女性が、そう言いながら笑顔で振り向いた。その瞬間、目の前にま

た選択肢が書かれ始める。



   【 どちらを選びますか? 】


          【 1,戦う 】


          【 2,逃げる 】


                        10・・・9・・・


 (( また、カウントか!説明くらいしてくれっての! ))


                         8・・・7・・・


 (( 追手か?戦うっていっても、たぶん斉しか無理だよな!? ))


                         6・・・5・・・


 (( 戦ったら全員は助からない。今現状も逃げてるわけだし。。。 ))


                         4・・・3・・・


 (( あーもう!逃げる!2だ! ))


 そう思い” 2 ”を見つめる


                         2・・・1・・・


 ” 2 ”が一瞬光ると文字はゆっくりと消えていった。


 すると、斉のスマホの着信がなる。手に取り通話を押した瞬間、画面いっぱい

の俺の母親の顔。そして、けたたましい声が車内に響く。


「 さっきの大きい音と、銃声はなに! 」


「 えっと・・・ 」


 斉がどう説明しようか悩んでいると。


「 いいわ、それは後で!とにかく、もうすぐうちの人間が着くわ!今、どこ! 」


 その時俺は、助手席の女性の手元に鈍く光るものが見えた。斉も気づいたん

だろう。刹那、車内は光に包まれる。銃声が2発、ほぼ同時に弾く金属音が2

つ、弾かれた銃弾は、後部ガラスに当たり無数のひびが入った。

 

     ”  ド カ ン  ”


 助手席側の後部ドアが、一瞬にしてなくなると、光が外へと飛び出した。


(( 偽物か!先回りされていた? ))


 光が消えると、俺と鈴女を両脇に抱えた竜人化した斉が現れる。同時に十

数m先に急停車したバンから数発の銃声が聞こえ、斉たちを掠めた。

 二人を抱えた斉は、目の前にある公園へと走り出した。

 と、同時に俺の視界が急に暗くなり始める。


(( お・おい!ちょっと・・・ ))



 17:30


 気がつくと、またあの暗闇の空間にいた。多くのことが起きすぎて、まったく頭の

整理ができていない。


(( 一つずつ整理しよう。まず、竜人化だ。どうしてああなれるかは今考えても

  解決しないだろう。斉、店長、風間は竜人化できる。鈴女はしなかったが

  片鱗はあった。そして、あの襲ってきた敵。偽物の研究員。間違いなく計

  画されていたと思われる。しかし、銃撃は竜人化した者にきかない。知ら

  なかったのか?いや、狙いが普通の人間だったら・・・俺か?・・・

  史歴書、とんでもないこと、俺に伝える気になった、渋っていた?たしか、

  ゴルディア王国って、ずいぶん離れた西の国、そこでなにがあった。俺に関

  連する?あ~~~わからん!!!! ))


(( そして今のこの状況、この空間、何故俺はここにいる?狙われる原因と関

  係があるのか?そして、謎の選択、もし選択を間違ったら、いや俺の選択

  が合っていたのかすらわからない・・・ ))


 結局考えがまとまらず、悶々としていると、暗闇に文字が書かれ始めた。


   【 誰を選択しますか? 】


          【 桐蔵 斉隠 】


          【 半部 覆蔵 】


(( 親父!?親父のところに行けば、今のこの状況の説明がつくのか? ))


 これまでの選択に正解・不正解は明確ではない今、親父を選択するのが先

だと判断した俺は、親父の名を見続け、光に包まれていった。



 9:30(17:30)


 体に感じる感触が、親父のもとに移動してきたことを物語っていた。目を開け

ると、足元に頭を抱えてしゃがみ込む親父とそれを介抱するおふくろ【 美雪

( みゆき ) 】が見える。


「 あんた、大丈夫?どうしたのよいきなり? 」


「 わからん、なんか知らんが急に頭に痛みが・・・ もう、大丈夫だ行くぞ 」


(( 俺とリンクする時に頭痛が発生するのか? ))


 親父は頭を振りながら立ち上がる。そして二人は、森の奥へと続く一本の山

道を登って行った。10分程度歩くと周りの木々はほとんどなくなり、山肌が露

出した道に変わる。山側も谷側も急こう配で二人の見るからにの装備では、

昇り降りは不可能そうだった。さらに少し進むと道が少し開ける。山側に大き

なくぼみがあり、そこには3m四方はあろう巨大な岩が見えた。


「 ここだな 」


 親父は、岩の前でぶ厚い手帳を見ながらそう呟いた。手帳をおふくろに預け

ると、岩に両手をつける。すると親父が光の包み込まれた。


(( 光?まさか・・・? ))


 光が、消えるとそこには斉たちと同様、竜人化した親父がいた。フンという掛

け声がしたかと思うと、みるみる膨張する筋肉、そして、ズズズという音とともに

岩は動き出し1m程ずれると、岩の奥に続く道が見えた。


(( 親父が竜人化・・・店長もそして鈴女、親子で遺伝?つまり、俺も・・・? ))


 洞窟というには、狭く人一人通れるくらい、高さは入口の巨大な岩ほどと、

まるで山に亀裂が入ったような通路だった。20mほど奥に進んだところで一気

に開ける。そこには、古めかしく見えはするが、装置のようなものがあり、その上

には大きな水槽がある。そしてその中に管に繋がった人間がいた。膝を抱え丸

まってはいたが、明らかに少女。


(( あ~~~~~~~~~~~!!あの土砂降りの中にいた娘だ! ))


 親父の竜人化の驚きが吹き飛ぶ、なぜ彼女がここに?その思いと同時に斉

の言葉を思い出す。


「「 不久良が急に飛び出して・・・ 」」


 そう、斉には彼女が見えていなかった様子。彼女がここにいるといことが、それ

に関連しているのだろうか。

 少しの間、驚きで呆然としていた二人、しかし、おふくろが一歩踏み出し、水

槽の少女の前まで行くとつぶやいた。


「 これが、私の・・・ 」


(( 私の?なんなんだ? ))


 動いてはいるようだが、機械音もほとんどなかった装置、おふくろが近づくと変

化が現れた。いくつもある突起物の中の一つが光りだす。わかっていたかのよう

に手を伸ばすおふくろ。手が近づくにつれます光。そして触った瞬間。


 10:03(18:03)


     ”  バ チ ッ  ”


 音というよりもこの洞窟、いや島全体に静電気が起きたという感覚だった。そ

の時、水槽の中にいた少女の目が徐々に開き始める。生気に満ちた目が二

人を見つめる。すると洞窟全体に幼い少女の声が響いた。


「「 初めまして。私は、イルシオ・クロロック。信じがたい話しかもしれませんが、

  今から約千年ほど前、ゴルディア王国が魔法大国として栄えていたころの

  魔術師の生き残りです。この装置はそのための生命維持装置であり、また

  時空転移装置でもあります。とはいえ、タイムマシンのように時空を行き来

  できるような大掛かりなものではありません。あくまで、私の意識とこの装置

  でできるのは、個人の意識を別の人物の過去に飛ばすことです。 」」


(( 個人の意識を別の人物に飛ばす?つまり今の俺の状態ってことか? ))


「「 そしてこの島は・・・ 」」


 彼女の声が響く中、目の前が暗くなり始める。


(( ちょっと待ってくれ、これからが大事なとこなんだよ! ))


 その思いもかなわず、無情にも目の前が真っ暗になった。


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