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追いかける探偵  作者: 猫柳店長
1/1

オイタン

冷たい空気、夜が終わり

朝が来る、重い一日が始まる


新宿は眠らないが人々には往々にして一日の始まりと終わりがあり、いつかこの街も眠りにつくときが来るだろう、さりとて人があり街が生きるこの土地は陰と陽が代わり番こに様変わりしつづける


そんな街を見下ろしネオンが消え静寂のビルを双眼鏡を覗く一人の男。


「ふわぁ…早く出ろ…俺の活動限界が見えてきた…」

ボサボサの頭によれた襟、無精髭を生やした男が目標を逃さんと欠伸をしながら独り言。


彼の名は真宮 響 この街の探偵


響は浮気調査のためラブホテルの入り口を凝視していた。彼は主に浮気調査をする探偵である。


今回の依頼人

針谷いちか 女性 35歳 カフェでアルバイトをしているそうだがその見た目は美人でモデルなどしていてもおかしくないほどである。


彼女は夫である。針谷龍一 42歳 会社員 の浮気調査及び

彼の行動を調べてほしいと響に以来をする、


「美人な奥さんいといてよく浮気できるよなあの阿呆」

「おまけに高校生と円光とは質が悪いはわなw」


ラブホテルの反対にたつ四階建てビルの屋上で眠気と苛立ち混じりの混濁した頭が自動的に言葉を出した。


ガチャ……


静寂を切り裂くドアノブを回す音


「え!!?」

鼓動が鼓膜を揺さぶるがごとく緊張が全身を包んだ

完全に油断したその音へ視線を送ると


ぎぃぃ…


「お早うございます」


日差しが角膜を反射させ一瞬判断が鈍った。


「響にぃ、またこんなことしてるんだね♪」


「んだよ、てめぇかよ」


「なんだよってなにさ!久々にあったんだしそんな言い方ないだろう」


「あのな、俺は今仕事中だから、てめぇと朝のご挨拶してる暇ぁねぇんだよ」


「ひどいな、でも相変わらず元気そうで安心したよ」


内心安心したのは響の方であった。


「つか、今日が初出勤じゃねぇのかよ、エリート警察官様」


「ま、まぁエリートっていうかね、なんていうか今まで頑張ってきたからその功績が認められたっていうかね」


「ただ、いいところの学校でただけだろうが、何が功績だよ、どんなエリートなやつでも足元はすくわれる」


「え!嫉妬!?嫉妬なの!響にぃ!もう30にもなるのに!」


「30じゃねぇよ!29だ!」


気がつけば朝焼けが二人を包んでいた

隣に腰を掛ける黒いコートに下ろし立てのスーツを着こなす色白の男、


「んなことより阿須加、お前なにしに来たんだよ、つかどうしてここにいるって分かったんだ?」


「質問は一つまでだよ!」

そういうと双眼鏡を手に取り辺りを見回す阿須加


胸ポケットから馴れた手つきで箱からタバコを取り出し口に加え、冷たくなった鉄製のジッポライターの歯車を回しゆらぐ炎にタバコを近づけた


「ッフー 」


「響にぃってさなんでこんなこと始めたんだっけ?」


「あ?質問したのはおれだぞ?」


「 いや…これを聞きたかったんだよ、なんだかんだエリートでも初めて仕事をするこが怖いんだよw

だから響にぃがなんで始めたのか聞きたくてね、初出勤の前にさ」


「なるほどな…」煙が街に消えていく…そのなかに昔の自分を重ねて覗いた。


「俺はかっこいいと思ったから始めた」


「へぇ、意外だね、響にぃって昔は正義感強くてどっちかっていうと警察官になるのは響にぃかと思ってたくらいなのにそんな単純な理由なんだ」


「でもな違かった…」


「たしかにあんな歳のはなれたカップルを追いかけることがかっこいいとは思わないよね」


「あぁ…そうだな、現実ってのは自分を裏切ってくることがある、理想を信じることも立派だが大切なのは現実をいかに自分の中で理解できてるか、だな」


「なんかさ…」


「ん?(いいこと言い過ぎたか?)」


「さっきのカップルこっち見たとたん走ってっちゃったけど大丈夫?」


「あぁ!!!!!!?」


双眼鏡を覗くと若い女の子の手を引き全力で駆けていく男が見えた


「おいおいおいおい!なんで早く言わねぇんだよ!」


「なんでってカッコつけてるの邪魔しちゃ悪いじゃない?」


「バカかおめぇは!今週パンの耳しかかじってねぇんだよ!」


そういうと駆け出す、響。


「てか、ごめんなにいってたか覚えてなかったからまたあとでラインで教えて響にぃ!」


先程のカッコつけていた恥ずかしさが胸に込み上げてきた、


「(なんでラインでんなこと言わなきゃ行けねぇんだよ)

でもな!忘れるな最初が肝心だ!」


「うん」


「ズボンのチャックはしっかり閉めとけ!」


視線を下ろすと朝の冷たい風がまたの下をすぅっと駆け抜けていった。

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