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「…… 大丈夫か?」

「はい大丈夫です」



敬語になってる辺りあまり大丈夫じゃなさそうだ。 



姫乃も高校3年生になった、そうしてこれから進路やらといろいろと大事な時期、いくら不干渉な親と言ってもそろそろ俺と姫乃のことを明かさなくてはいけない。 



別にだからどうなるんだとなるかもしれないし姫乃も二の足を踏んでなかなか決心は付かないみたいだがいつかは会わなきゃいけなくなる時もあるだろう。



そして俺と姫乃は今姫乃の母さんの家の前に居る。



姫乃の親が居ないとあれなので夜に訪れることにした。 家の電気はついているし居るんだろうな。



「じゃあ行くか」

「ま、待ってくだ…… 待って! やっぱりコンビニ寄ってからにしない!?」

「さっき来る前に行っただろ?」

「ええとそうだったけどトイレ行きたくなってきた」



こんな風に直前で踏み留まる姫乃。 よっぽど嫌なんだろうな。



「何してんの?」



そんなこんなしていると隣の家から角谷がいきなり出て来た。



「竜太こそ」

「俺はコンビニ行こうかなって。 それよりなんであんたも居るわけ?」



俺には相変わらず辛辣な態度になる。



「久し振りだな、今日は姫乃の親にちょっと挨拶しようかと思って」

「ふぅん。 やめとけば?」

「で、でしょ竜太!」



何故かこんな時だけ息が合ってる姫乃と角谷。 



やめとけばってなんだよ? せっかくここまできたのに引き返せってか?!



「原因はあんたにあるんだぜ」

「俺に?」



角谷は呆れたような顔で話し始めた。



「あんたのせいで姫乃が病院送りになって姫乃の母さんは恥かいたってなってさ、あんたは見てないからわかんないだろうけど病院に一度見舞いに来た時姫乃に掴みかかりそうになったんだ」



ああ、そういえば姫乃もそんなこと言ってたな……



「けどそんなこと言ったってズルズルと引き伸ばしても仕方ないだろ?」

「じゃあ姫乃はどうなんだよ、行きたくないんだろ?」



俺と角谷両方からの視線に姫乃は困ったようにして下を向いた。



「姫乃がこんなに嫌がってるのにあんたは自分がそう思うからってだけで行きたいのか? 姫乃の気持ちになって考えたことあるか?」



角谷が更にキツい口調で俺に言う。 



「待って竜太、あたしが嫌なことから逃げてるだけであゆ君はあたしの気持ちを考えないなんてことない」

「ちッ、仕方ねぇな。 あんただけじゃ心配だから俺もついてくわ」

「「え?」」



突然の竜太の切り返しに俺と姫乃は顔を見合わせる。



「いいのか?」

「こういうのはさ、お前の母さんの気が分散すればなんだかよくわからないうちに話が終わってるって感じでいいだろ?」



いやいや、よくわからないうちに話が終わっていいのか? けど角谷が行くとなったら姫乃の表情も少し明るくなったみたいだ。



「それいいかも! 竜太にしてはいいこと思い付くじゃん」

「俺にしてはってなんだよ? んじゃあ行くか」




そうして姫乃の家のインターホンを鳴らし少しすると姫乃の母親らしき声がする。



『はい』

「おばさーん、俺だけどちょっと用事あるんだけど」



姫乃が嫌がる母親になかなかフランクな感じに話すんだな角谷は。



『ちょっと待っててね』



姫乃の顔色がまたも悪くなってくる。 姫乃をここまで放置してるやつって一体…… そう思っていると玄関が開いた。



「待たせてごめんね竜太君…… ってあら?」

「ど、どうも、おばさん。 姫乃も一緒なんだけど。 それとこっちは姫乃を居候させてる人で一条さん」

「お、お母さん……」



姫乃の親はめちゃくちゃ美人だった。 姫乃に似てるけど目がキツくて怖そうでスパルタママという感じだが。



「それはそれはうちの娘がお世話になって」

「こちらこそ娘さんを預かってる身でありながらお伺いを立てるのがこんなに遅くなってしまい申し訳ありません」



頭を下げかなり下手に出る、出来るだけ穏便に話をしたいからな。



「いえいえ、悪いのは全てうちの娘なんですから。 頭を上げて下さい」



こいつ! 全部姫乃のせいにするつもりかと怒りをグッと抑えて頭を上げると姫乃の母さんは笑っているように見えるけど笑っていないように感じた。



というより俺めちゃくちゃ睨まれてないか?!



「ここじゃなんですから上がっていきます?」

「あ、はい」



俺と角谷はリビングに行きそこへ座らせられた。 姫乃は俺達にお茶を淹れようと親の元へ行くが……



「あたしも手伝います」

「何を?」

「あ、や…… その方がいいのかなって思ったので」

「そう、家を出たのもその方がいいのかなって出たんでしょう? それが今更何の用かしら? 来た方がいいのかなって思った?」

「あ、たしは……」



うわ、めちゃくちゃ辛辣だった、こんな環境なら姫乃が出て行きたくなったって仕方がない。



「あなたが自分から戻って来るはずないものね、竜太君に言われた? それとも一条さんかしら? どうせあなたはどこに行っても厄介者、人に迷惑だけ掛けてとんだ親不孝者よね」

「違います、違います……」



消え入りそうな声で姫乃は訴えているが姫乃の母さんは意に介さず……



「高校に入ってから頭とガラの悪い友達も作って何その頭は? あなたも髪を染めて頭の悪い連中と一緒になったつもり?」

「おばさんッ、姫乃なりに色々考えてるんだよ。 それに友達だって見た目は派手だけど悪い奴らじゃないし」

「竜太君、姫乃を甘やかさなくていいから」



お茶を出されて姫乃と姫乃の母さんも座る。



「一条さん、あなたはどういうつもりで姫乃を養ってるのかしら? この子を養ったところであなたには何の得もないのだけれど」

「得とかそういうのじゃありません。 それに姫乃は家を出てそれこそ道端でどうすればいいか迷ってたんですよ? そうなったら助けるのが普通なんじゃないですか?」



姫乃の母さんは俺と姫乃を見て「ああ……」と呟いた。



「これでも姫乃は女性ですし。 そういうことね、なんて汚らわしい」



姫乃の母さんの言わんとしていることはすぐにわかった。



「違います、俺はそんなこと望んでません」

「そ、そうだよお母さんッ! あゆ君はずっとあたしに手を出さなかったんだよ!?」

「あゆ君?」

「あ…… 一条さん」

「手は出さなかった? どうかしらね」



最早手を出してしまったのでなんとも言えない……






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