50
「あ、脚がガクガクする……」
「やめろそれ、なんか変な意味にしか聞こえない」
「実際そうじゃん、あゆ君こそなってるよ」
無理し過ぎた、やはりこれまで我慢(以下略)
「おは〜! …… ってあんたなんか疲れてない? 化粧も超雑だし目の下クマ凄ッ」
「あははッ、ほんとだ! 隠しきれてないし」
「え? そ、そう?! あれれ〜」
あー、ただでさえ疲れてるのに面倒な奴らが来てしまった。
「よく見ればイッチーも寝不足感が凄い。 これは…… やりましたなッ」
「マミちん声!」
姫乃は慌てて東谷の口を塞ぐと尚も親指を人差し指と薬指の間に捩じ込む。 なんつー下品な仕草だ……
「ウソウソッ!? マジでのんのんとやっちゃったんですか?」
「だからなんで寝不足気味だからってそうなるんだよ?! お前らそれしかないのか?」
実際吾峠と東谷は的確に的を得ているので間違いではないけど。
「のんのん! ついに? ついに?!」
「えへへ〜、どうだろ?」
「うッわ、その雑な化粧で変な含み笑いマジでムカつくんですけど」
「それで? どうだった?? まぁその様子見ると聞くまでもないかもだけど」
「どうって…… 」
こんなとこで訊くか!? いや訊くなぁこいつらなら!
「なんかあゆ君ともっと親密になれたっていうか」
「「ふんふん、それで?」」
なんで姫乃も赤裸々な顔して語り出すんだよ? 下ネタ言いそうな東谷の口塞いでた癖に電車の中ってわかってるのか?
「やっとあゆ君があたしを求めてくれたってのが凄い実感で……」
「真面目か!!」
「へ?」
「いや根が真面目なのはわかってたけどうちらが知りたいのは……」
東谷がまた余計なことを口走ったので姫乃は慌てて口を塞いだ。
「もうそんなの学校で聞けばいいじゃんマミちん。 イッチーバカなのんのんならチョロっと言っちゃうから」
「おい……」
「こわッ! 雑な化粧と目の下のクマのせいで尚更こわッ!」
こいつらのテンション疲れてるとマジでキツいわ、頼むから早く降りてってくれ……
そんな感じで疲れていたので仕事で更に疲れてクタクタになって帰ってきた。
「ただいま〜」
「……」
いつもならこっちに来て甘えて来るはずの姫乃が反応なしなのでまさかと思って急いで部屋を覗いてみると……
隅っこで制服着たまま寝てやがった。
なんだ安心した。 またどこかへ居なくなったと思ったし。
寝ている姫乃の側に行って座り、姫乃の頭を軽く撫でると姫乃は目を開けた。
「ふあ…… あれ? あゆ君??」
「ただいま姫乃」
「おかえり。 ってヤバッ!! 何もしてなかった、ごめん! すぐ夕飯の準備するから、ああ、お風呂もまだ洗ってなかった、洗濯物も、うわあーッ」
姫乃は急にドタバタと慌ただしくなるが。
「いいよ姫乃、今日は何もやりたくないんだろ? 俺もなんだ。 だからたまにはだらしなくてもいいからゴロゴロしてようぜ」
「あゆ君…… うん! うん、そうだね! あたしも今日はゴロゴロしたい。 じゃあとりあえず夕飯はカップ麺でいいよね!?」
「片付けも面倒だしそれでいいよ、それと風呂は俺が洗っておくから。 洗濯物もいつも姫乃がやってくれてるからたまには俺がするよ、だから姫乃はゆっくりしてろよ」
「あゆ君〜!」
テンパる姫乃が俺に駆け寄ってきた。
「あたし達夫婦になっても仲良し生活出来そうだね!」
「めちゃくちゃ気が早くない?」
「だってあゆ君のことずっと見てきたし〜」
「ああ…… もう姫乃のトイレの直後に入っても何も言わなくなったしな」
「それ直接言うの凄く失礼なんだからねッ! でも彼氏だしいいかなぁー」
そして俺が風呂掃除から戻ると姫乃はテレビを見てたみたいだがテーブルに頭を乗っけて寝息をたてている。
多分寝たばかりなので起こさないように洗濯物を干して点けっぱなしのテレビをそのまま見てると俺も眠気が襲ってきたので風呂に入ることにした。
湯に浸かると今日は一日中頭の中がボーッとしていたがだんだんと冴えてきた。
俺って童貞じゃなくなったのか。 ついに……
けど昨日なんてそんな行為するとは思わなかったし自制できると思ってたんだが。 やってしまったら今までなんで自制できてたのか今は不思議だ。
バシャッとお湯を顔にかけて頭を切り替える。
ダメだダメだ、夜通しでイチャコラしてお互い寝不足なんてハメを外し過ぎだろ。 もうしばらくはしなくていい、1週間半に1回。
いや流石に長過ぎか? じゃあ1週間に1回とか? でも逆に姫乃から迫ってきたら? そしたらまた変な勢いでしてしまいそうだ、ここは3日に1回がベストなんじゃ?!
冴えた頭でそんなしょうもないことを考えていると……
「あゆ君一緒にお風呂入ろッ!」
「え!? 姫乃寝てたはずじゃ」
「何度も寝ちゃってごめんね、寝てたらあゆ君との時間ないじゃんと思って起きたら居なくてお風呂かなって思ったらやっぱり!」
姫乃は既に服を脱いでいた、明るい場所だから目のやり場に困る。
マジかよ姫乃、確かにもう全部見ちゃったけど……
「……」
「……」
姫乃も何か思うところがあるのかタオルを身体に巻いた。
「そ、そんなにガン見されると平気なつもりだったけど流石に恥ずかしい……」
「え?! 俺ガン見してた??」
まるでエロオヤジじゃないか俺…… でも姫乃がなんだかこの前よりも何割増しかくらいに可愛く見えてしまう。
姫乃が身体を洗ってる間俺は出来るだけ姫乃に視線が行かないようにお湯の中で手遊びしていた。 それはそれでキモいが……
「お邪魔します」
「お、おお、どうぞ」
姫乃はタオルを取って湯船に入った。 髪を纏めて上げている姫乃の首筋が細くて姫乃そんな横顔を見ると思わず抱きしめたくなってしまった。
「ちょっぴり狭い」
「ひとりでも狭いくらいだからな」
「あッ!」
「あッ……」
狭いから俺が脚を広げてその間に姫乃が入ってる状態だから俺の当たっちゃいけないものが当たってしまう……
そしてその後変なムードになってまた同じことを繰り返してしまい寝不足はまた続いた。




