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「白城頼む! 明日も会ってくれ」



帰る間際白城にお願いしてみた。



「え〜!? なんだかんだ一条君あたしに夢中かぁ〜? でもなぁ、明日は仕事忙しいんだよなぁ」



白城は口に人差し指を当てて考えていた、なら明後日でもいいと言おうとしたが……



「でも一条君の方が大事だな。 うん、いいよ!」



またしても話がし難い言葉を言われてしまう。



「あ…… いや、ええと……… 明後日でもいいよ?」

「ううん、なんか一条君がそこまで言うのって珍しいなって思ったからやっぱり明日がいいね、うん」



必死にお願いしたのが仇になってしまった……



そして次の日俺は仕事を休んでいた、姫乃のお見舞いに行くためだ。



まだなんも解決してないのに姫乃に会うのはちょっと気が引けるけど姫乃が来てくれって言うからには行かないとなぁ。



病室の扉をガラッと開けるとカーテンの隙間から姫乃がそっとこっちを見ていた。



「あゆ君だった、良かったぁ」

「何してんだ?」

「いやぁ〜、お母さんだったらイヤだなって思って。 多分もう来ないと思うけどなんとなく怖くて」

「なんで怖いんだ?」

「竜太から聞いたんだけど…… ほら、あたしこんなことしちゃったでしょ? お母さんにも迷惑掛かったんだと思う。 それでお母さんがお見舞いに来た時あたし寝てたんだけど掴み掛かって殴ろうとしたみたいで」



なんでお見舞いに来たのにどこぞのお礼参りみたいなことしてんだよ姫乃の親は……



「こんな時くらい姫乃のこと心配してくれても良いだろうにな」

「もう期待してないから。 とどめ刺されなかっただけでもありがたいって思わなきゃ」

「そんなんでいいのかよ?」

「だってあゆ君が居るし。 ねぇ、それよりもっとこっち来て」



首に手を回され姫乃が寝ているベッドに寝かされた、そして姫乃に力いっぱいに抱きしめられた。



「苦しい」

「だってあゆ君とこんなに近いの最近までずーっとなかったんだから。 竜太の家じゃ遠慮して肩身狭かったし」

「俺の家じゃ最初から遠慮してないみたいな言い方だな」

「まぁそれはあゆ君だったし。 良い意味でね」



姫乃は胸から俺を離すと俺の顔をじ〜ッと見つめられる。



なんか昨日白城ともこんなことしたな……



「あゆ君」



そんなことを思っていると姫乃おでこが俺のおでこにコツンと当たって少しビックリした。



「キスするのかと思った」

「してもいいよ」

「いやこんなとこで普通するか?」

「じゃあ違う場所ならキスしてくれるの?」



…… 例えば家とか? でも姫乃はまだ高校生だし。 いや、もう姫乃と一緒に居たいって思ったじゃないか俺。 



「そう…… だなぁ」

「えッ? ええ〜ッ!!?」



俺の言ったことに予想以上の反応を示す姫乃。 



「耳元で大きな声出すなよ」

「ごめッ…… いいの? あゆ君どうしたの?? ついに目覚めたの?」

「何にだよ?」

「うししッ、なんでもない。 でも帰ったらキスしてくれるんだ? ええ〜ッ」



姫乃はニヤニヤが収まらずベッドのシーツに顔を擦り付けたりグシャグシャと握る。



「こんなことした甲斐があったかも」

「いやお前それはダメだろ」

「わかってるよ、もう2度としません! だから帰ったらキスしてよ? あたしあゆ君の1番になりたい」

「もうなってるよ」

「ふへへ、なんかいろいろ酷いことばっかりだったけど嬉しいなぁ。 ん? ところで白城さんとのことは?」



ギクリ……



「って顔してるよあゆ君」

「はぁ、まだなんだよな。 ごめん姫乃」

「好きだった…… ううん、好きなんだよねその人のことずっと前から」

「ああ、酷いやつだと思ってたんだけど今は俺の方が酷いやつだよな、それに比べて白城は前と違って…… そんなこと言ったって仕方ないな」

「あゆ君、あたしはあゆ君のことが好き」

「?? ああ」

「あゆ君がその人のこと好きでもあたしはあゆ君のことが好き、でもあゆ君がその人よりあたしを好きになって欲しい。 もし神様が居てあたしの願いを叶えてくれるならあゆ君の気持ちなんて無視してそうしてもらう」



姫乃がいきなりとんでもないことを真顔で言い出して俺は困惑する。 すると姫乃はニコッと笑った。



「とまぁ、あたしだってそういう風に思うことあるもん。 別にあゆ君だけが酷いってわけじゃないよ」

「今のって俺を慰めたつもりだったのか?」

「あはは、下手くそだったね」



なんか結構本気っぽかったのは姫乃の本音も多少は入ってるんだろう。



「じゃあまたな」

「うん。 あゆ君!」

「何?」

「大好き!」



扉を開けたとこなのに外にも聴こえるような大きい声で言われたので俺は辺りを見回す。



良かった、誰もいない。



それから夜になった。 今日こそ白城に言わなくちゃいけない、けれどいまだに白城を悲しませたくないと思っている自分に喝を入れた。



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