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俺は流されるままに俺の上に覆い被さる白城の身体に触れる。 一瞬白城はビクッとしたが白城は俺の首筋に唇を当てた。



それが擽ったくて白城の腰辺りに触れるとまた白城の身体がビクッと跳ねる。 



え?? なんか白城おかしくないか?



腰に手を当てたままにしていたのだが白城の身体はブルブルと震えているようで物凄い違和感があって白城の顔をよく見てみた。



すると真っ青な顔をして鳥肌も立っている。



「やッ、ごめん。 なんでもないから…… そ、そのままッ」

「なんでもないように全然見えない」



高校の頃から白城は結構勝ち気で明るいイメージだった、それから数年経った今でも大人っぽくはなったけど普段もそうだ。 けど今はまるで小さな小動物のように怯えていた。



「大丈夫」

「大丈夫じゃないだろ」



俺に尚もくっつこうとする白城から離れると白城は両手を肩に当ててしばらく震えていた。



「は…… ははッ、自分からしようとしたのに情けなッ」

「白城どうしたんだよ?」

「どうしたんだろ……」



そんな白城にジュースを目の前に置くとコップを取ろうとした白城は上手く掴めずにジュースを溢した。



「ごめん」

「いや、いい。 けどそれは……」

「ふふッ、おかしいよね? 別にちょっとしたスキンシップは平気なんだけどいざするって時に限ってこれだもん」



溢したジュースを拭き終えると白城は少し落ち着いたのか俺に高校を卒業した後のことを話し始めた。



「あたしね、好奇心旺盛で来るもの拒まずって言ってたじゃん」

「うん」

「まぁそれは大学に行っても相変わらずで男遊びしてた、けどその時に付き合った男が最悪でね」



俺も最低とか言われてるから耳が痛いけど。



「そいつレイプ紛いにあたしとヤルのが好きで真っ赤になるまでお尻叩かれたり濡れてもないのにいきなり挿れてきたりされて髪の毛もハゲるんじゃないかってくらい引っ張られて首も絞められて何度も死ぬんじゃないかって思いしたの」

「ええと…… そいつとは?」

「半年くらい付き合って別れたよ。 でもね、あたしそれから誰と付き合ってもエッチするって空気になるとそれ思い出して…… 普通ならそんなことしないってわかってても涙と涎が止まらなくなるくらい首を絞められてあたしもう死ぬんだって痛くて怖い思いをほぼ毎日されたこと思い出しちゃうんだ、それでこの有り様」



苦笑いで白城は俺に言った。 



そんな…… あの白城が。 いつも男と噂が絶えなくて別れたり付き合ったりを繰り返してても飄々としていた白城がそんな目に遭ってたなんて。



「あたしのこの性格が祟って火傷したってだけなんだけどさ、それでこんなの自分じゃないって思ってその後もこんな感じで上手くいかなくて。 笑えるよね」



自分が大切に想っていたものが踏み躙られたような気になっていつの間にか俺の頬に涙が伝った。



「一条君?」

「あ、いや、これは違くて」

「泣いてるよ、あたしにガッカリした?」

「ち、違う、俺は白城が…… 白城がそんなことになるなんて思ってなくて。 だって俺の中の白城はいつも明るくて凄くモテて誰が相手でも上手く付き合ってって思ってたから」



俺は白城を好きだったけど憧れてたところもあったんだ。 俺にはそんなこと出来ないしそんな白城が眩しくて……



「まぁあたしも自分がこんなになるなんて思わなかったよ。 ホント調子にのってたよねあたしって、あはは」



白城は俺の頬を流れる涙を手の甲で拭った。



「一条君はあたしにがっつくこともなかったし姫乃ちゃんとのことはあったけど好きな人を大切に想うとことか変わらずであたし安心出来たんだ、君と居ると。 だからあたし一条君となら出来るかもって思った、けどこれだもん」

「白城のせいじゃないよ」

「あたしの遊び癖のせいなのに?」

「だからってそこまでやる男の方が悪い」

「…… ねぇ、その気にさせて出来なくて本当にごめんなんだけどギュッてしていい?」



俺はコクンと頷くと白城は俺の膝の上に跨って腕を背中に回して抱き締めた。



「ありがとう。 あたしって言った通りろくな男と付き合ってなかったからさ、今は優しくされるの好き。 こうして聞いてくれて慰めてくれて」

「俺もろくでもないのに?」

「もともと優柔不断で二股なんかしてハッキリ出来ないくせにあたし似の女の子とあたしだもん、一条君にはキツ過ぎたってのはわかるよ、まだ情状酌量の余地ありかなって」



白城はポンポンと俺の頭に手を当てた。 



「でも白城も優しくなったよな、昔の白城だったら俺とキッパリ別れたと思う」

「ああ、うん。 だからあたし優しさに飢えてるんだろうね」 



それから白城は俺の家に夜遅くまで居た。 お喋りしたりたまにくっついたりするくらいだが。



俺は白城のそんな過去は忘れさせてやりたいと思ってしまった、それは白城を選ぶということで姫乃とのことは断ち切ってしまうということ。



どうしてこうも状況に流されやすいんだと今にしては思う。 でも結果がわかる今にして思えばこの時は何をどうすればなんてわかるはずもない。



俺の思いとは裏腹に何もかもまだ宙ぶらりんな俺にそのまま平穏が訪れるなんてありはしなかった。





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