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「一条君ってさぁ〜、普段何してるの?」
「何って…… ああ、ゲームとか友達と遊んだりとか。ええっと、あとは」
「ふーん、そうなんだ」
「白城は普段は何してる?」
「あたしもそんな感じ」
「…… そうなんだ」
◇◇◇
「って夢かよ……」
夢を見ていた、高校生の頃の白城と俺の。 当時の俺は白城と付き合えただけで嬉しかったんだけど当時の白城は夢で見たように俺が話しかけてもどこか冷めてたな。
まぁそれは俺が白城のタイプでもないし気分で付き合ってた相手だったからだが。
それが今になって俺のことが好きだなんて生きてると何が起こるかわかんないもんだな。
…… って何満足げになってんだ俺は。 今のこの状況は何も誇らしげに語れるもんじゃないぞ?
姫乃は昨日から3泊4日の修学旅行中だし行った途端にすぐに白城に会うなんてこれじゃどっちが彼女なのかわからない。
「ん〜…… こっちかなぁ? それともこっち?」
「どれでも似合うよ」
「そういう割にはスマホ弄って見てないような気がするけど〜?」
ギクッ…… 今は姫乃からきたメッセージに返信していたところだ。 あんまり遅いと姫乃から電話が掛かってきそうだからな。
「そんなに慌てて隠すなんて何か秘密事?」
白城が俺が後ろに回したスマホを覗き見ようとしたので俺は咄嗟に画面を消して白城の持っている服に話題を振る。
「そ、それなんか似合うよ」
「え? こっち?」
白城は持ってた下着を見た。 ……… 下着!?
「えー、一条君なんだかんだでエッチな下着好きなんだねぇ、ふぅ〜ん」
「そ、それは……」
ニヤニヤと意地悪い顔をして白城は俺に上目遣いで擦り寄る。
こ、これはスマホを弄りながらだったからここが下着売り場だと気付かないでただ白城の後をついて行っただけなんだ! とは言えない。
「いや白城、俺言ったのはその後ろの」
「え?」
後ろにぶら下がってた地味な下着を苦し紛れに指差した。
「うわぁ地味……」
「だ、だよな?」
「なーんてね! 地味でも一条君のチョイスだし買ってみようかな」
「あ、じゃあ俺が払うよ」
「ん、そうして貰おうかなぁ。 その代わり一条君の服も何か買ってあげるよー!」
そうして白城と一緒に服を買った。
この服どうしよう? こんなジャケット普段着ないし…… 白城は絶対いいよと言ってくれたけど姫乃にこんなのあるなんてバレたら。 いやでも昔買ってみたとか言って誤魔化せるか?
誤魔化せたとしてどうするよ俺? こんなのずっと続けられるのか?
「そんなに気に入らなかった? 違うのにする??」
「あ、ううん。 凄くいいと思う多分。 俺こういうのあんまり来たことなくて。 てかそれよりいいの? 俺が買った下着とこのジャケット釣り合いが取れてないけど」
「あはは、そんなのいいって! あたしが昔一条君のこと傷付けたのならまだまだこっちが釣り合い取れてないから」
サラッと言った白城のその言葉。
違う、白城が俺を傷付けたのは確かだけど今の俺の行いにはお釣りがくるほど俺のやってることは最低だ。
第一白城は俺を捨てたは捨てたが俺と付き合ってる時は他に男なんていなくて俺とけじめをつけてから他の奴と付き合っていた。
だとしたら俺は白城のことを傷付ける立場にあって当初はそれが目的だったのに白城がこんなに俺への待遇がいいせいで俺が悪者になってしまった。
そして今は姫乃と白城に対してのいい着地点を探してしまっている。
いい着地点なんてあるのか? それに姫乃と白城、どっちがいいんだ俺は?
どっちがいいなんて考えがもう間違ってるのはわかってるけど俺はただ自分にとって都合のいいことだけを考えていた。
白城は仕事もちゃんとしていて安定してる、それに対して姫乃は親との折り合いが悪い、それに今は無干渉だが今後どうなるかなんてわからない。
…… 白城か? 俺はもともと白城が好きだった、姫乃を気になったのもそもそも白城の面影を持っていたから。
俺の心は白城に傾いていた。
そうして姫乃の学校の修学旅行も終わり俺の家へと帰ってきた。
「ぶわッ! いきなりなんだ!?」
「会いたかったよぉー! あゆ君!」
俺より遅くに帰ってきた姫乃は家に既に居た俺を見掛けると飛び付いてきた。
「おかえり。 楽しかったか?」
「楽しかったけどあゆ君が居なくて寂しかった! あたしあゆ君から離れるとダメだ、凄く会いたかった」
…… そんなこと言うなよ。 俺はどうしたらいいかわからなくなるじゃないか。




