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「あーあ、修学旅行はいいけどあゆ君とはちょっとの間離れちゃうのかぁ」

「なんだよ? 修学旅行って結構大事なイベントだろ」

「それはそうなんだけどさ〜」

「まぁ俺がビックリしてるのは修学旅行代払ってる姫乃の親なんだけどさ。 こんなに放置してるくせにその他のことはしっかりやってるんだもんな」

「そりゃそうだよ。 そういう世間体だけは気にするからね。 あたしがどこにいようがちゃんと学校に行ってるなら払うものは払うけどあたし自身のことなんて…… ってもういいや、そんなことは。 あたしはあゆ君が居ればいいし」



俺からしてみれば払うものだけ払ってくれたら口うるさい親なんていなくてもいいやと当時は思ってたけど実際そんなことされたら相当ショックなんだろうな。



姫乃を見てるとなんとなくそう思う、俺が居ればいいと言ってはいるけどな。



それにしても修学旅行と聞いて白城と会いやすくなるなと思っている俺はなんなんだ? クソ外道みたいな思考じゃないのか? 



白城みたいな奴にハマっちゃダメだ、あいつはいくら反省してるとか言って人の性根はそう変わるもんじゃない。 いつかまた同じことになるさ。



けどそうならなかったら? 



いやいや、今度は俺の番だ。 あいつをフッてやるんだ。 俺みたいなそこらに転がってそうな奴にフラれるんだ、さぞやプライドが傷つくだろう。



だから俺は今は浮気してるんだと思うけど姫乃が大事だ、めちゃくちゃ矛盾してるけど。



「お土産何がいい?」

「なんかそれっぽいの」

「えー? それっぽいのってなんか適当!」

「姫乃からだったらなんでも嬉しいって」

「えへへ、あゆ君あたしも嬉しい〜!」



それから姫乃は修学旅行へ行ってしまう。 その日の帰り玄関を開けるといつも出迎えてくれる姫乃の姿もなくいつも一緒に居たので束の間のひとりの時間なんだが少し物足りなさもあつた。



姫乃に白城のことバレたらこんな感じで俺はひとりぼっちに逆戻りかな? と姫乃が夕飯だけは用意していたので冷蔵庫から出して温める。



温め終わり食べようとしたら携帯が鳴った、見ると姫乃。 『ご飯ちゃんと食べてる?』そうメッセージが届いた。



返そうと操作をしているともう一件新しいメッセージが届く。



『一条君、今晩空いてる?』



白城からだった、そのメッセージを見た途端『空いてる』と返し俺は急いで夕飯を食べて支度した。



頭では何やってんだ? と思いつつも食べ終わった食器を片付けて準備をする。





◇◇◇





「ごめんねいきなり。 大丈夫?」

「ああ、別に何も予定ないし」

「そっかそっか、なんか嬉しそうだね一条君」

「へ?」



俺を迎えに来た白城に不意に言われたその言葉。 



嬉しそう…… ? 俺が?? 白城とこうして会えて嬉しい?! 



心の中で白城の言葉が反復していて自分にそうじゃないと言い聞かせていてもこの時の俺は既に白城に復讐したいという口実で、そうだから仕方なくと誤魔化しているだけの正にミイラ取りがミイラになる泥沼に嵌ろうとしていた。



「でもあたしも嬉しいからおあいこだね」



ニコッと笑う白城の顔に俺はなんだか少し照れてしまう。



まるで高校生の頃に戻ったみたいだ。 とは言っても白城は高校の時よりも色気を増して料理も美味しかったし顔は似てるけど姫乃の上位互換みたいに思ってしまった。



そう思ってしまっている俺は自己嫌悪に陥るが……



「ほら、突っ立ってないでさっさと入って」

「ああ、うん」



楽しい、白城と居て楽しい。 



姫乃と居てもなんだかんだで楽しかったがいつの間にか俺にとってはトラウマ的な存在の白城だったのにこうして付き合えているというのが楽しくてたまらなかった。



「あー、久しぶりにカラオケ行ったぁ」

「俺も」

「うわっとと」



カラオケを出た時窪みに足が引っ掛かり転びそうになったがすかさず白城の体を受け止める。



「はぁ〜、危なかった。 ありがとう一条君」



白城は上目遣いであざとく笑ってみせた。




「気を付けろよな」

「うん。 いやでもこれはこれで悪くないかも」

「何言ってんだよ」



俺に寄り掛かってる白城を離すと白城は?という顔になった。



「一条君」

「ん?」

「君って大人になったねぇ」

「は?」

「今みたいになったらそのまま勢いでお持ち帰りされてあんなことしたりこんなことしたりってパターンだと思ったから」



あんなことこんなこと……



「なんでそうなるんだよ? それは白城が今まで遊んでた男のことだろ」

「まぁそうだね」



そうだ、白城は俺とは違って経験豊富。 ぶっちゃけこの歳になっても童貞な俺を天然記念物でも見ているかのように嘲笑ってるのかもしれない。



「だからさ、そういうとこも含めていいかもって思ったのかも」

「え?」

「前より…… ううん君が好きだよ一条君、とっても。 あたし男見る目なかったね」



そう言って俺の腕に自分の腕を絡ませた。



何が? 童貞なとこが?? って俺って本当にあの白城から好かれてるみたいだ。 といけない余韻に浸っていると……



「一条君の住んでるとこにも遊びに行きたいな」



なッ!!? それはマズい、比較的姫乃が毎日掃除しているとはいえ一緒に住んでいるのだから姫乃の痕跡がありまくりだ。



「そ、そのうちな」

「引っ張るなぁー。 もしかしてボロ過ぎて恥ずかしいとか?」

「そんなとこ」

「気にしないんだけどなぁ」



今は姫乃も白城もお互い何も知らないからいいけどこんなのがバレたら両方に迷惑が掛かる。 いや、俺はそうやって逃げていただけなのかもしれない。





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