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「あゆ君おはよう! 今日休みだね!!」
「あー……」
「朝ご飯何食べたい?」
「あー……」
「あたしって今日綺麗?」
「あー……」
「あー…… あ?」
「えッ!?」
あッ! ボーッとして適当に答えてたら姫乃がめちゃくちゃ怒っている。
「何そのあー……って?」
「寝呆けてた、ごめん」
「最近そんなの多いよあゆ君大丈夫?」
「そ、そうかな?」
「じゃああたしの美味しい朝ごはんで目を覚ましてもらおうかな!」
「失敗するフラグかそれ?」
寝呆けているというよりはここに白城と似てる姫乃が居るからだ。 白城に再開する前までは似てるなとしか思わなかったが会ってしまった余韻というかなんというか変な感じがずっとしている。
「あゆ君、今日はデート出来るねデート!」
「そうだなぁ」
「ちょっと! なんでそんなにテンション低いの!?」
「寝呆けてるって言ったろ」
大体俺は今の白城からしてみてどういうポジションなんだ? 話がしたいってことはそれなりに気になってるってことだよな多分。
でも貯金もないしこの前のバーでも奢られたしそこら辺はガッカリしてる? うーん、でもそれでも尚まだ話がしたいってことは……
沸々と白城に対して黒い感情が渦巻く、あの時はもういいかと思っていたがぶり返してきた。
白城にその気にさせて白城と同じことしてやってザマァしてやるか? でも俺って自身の外見のポテンシャルは高くないし返り討ちに遭ったりして?? いや、ミイラ取りがミイラになっちまったら洒落にならない。
浮気はダメって姫乃も言うし。
ん? これってそういえば浮気に入るのか??
姫乃に嘘ついて白城に会った、そして白黒つけるつもりが有耶無耶になってまた会うという口実も出来ている……
けど今更白城とどうにかなりたいなんて俺の中ではない、ないつもりだけど。 ないつもりでも万が一白城に迫られたりでもしたらもしかしたら俺は。
「ちょっとあゆ君!」
「あ、ああ! 気を取り直して車でも借りてどっか出掛けるか」
「あたしは気を取り直すこともないけどあゆ君なんか変!」
「変とは?」
「あたしを見てない!」
「見てるけど?」
姫乃にズイッと詰め寄られると思わず視線をそらした。
「ほら目が泳いでる」
「あ、いや…… 姫乃って可愛いしそんなにジッと見られると誰でもそうなるって」
「へ?」
姫乃が目を丸くさせると途端にニマッと笑った。
「アハッ、そうかなぁ〜!? あたしはあゆ君だけにそう思われてるだけでいいんだけどさぁ」
乗り切った。 それにしても不思議だ、これを姫乃を白城として脳内変換している俺の頭の中が。
だとしたら姫乃は……
いやいや、やめろよ、そんなんじゃ俺はド外道だ。 姫乃は姫乃だ、白城の代わりなんかじゃない。
そう思うだけは簡単なのだが心の奥の根っこは中々そうはいかない、どこかでやっぱり俺は白城の跡みたいなのを姫乃に感じてたんだ。 そんな半端な気持ちで姫乃と付き合ってていいのか?
「なあ姫乃」
「なぁに?」
「あ…… や、楽しそうだなって」
「だってあゆ君とデートだもん!」
車に乗ってルンルン気分の笑顔でこちらを向かれると付き合うの考え直さないかなんて言えない。
ってこれじゃあ白城がダメだった時の保険扱いじゃねぇか! なんて勝手なんだ俺は。
「う〜ん、あゆ君にはこれが似合うんじゃないかなぁ?」
「なんかそれ安っぽく見えないか? それに地味じゃない?」
「えー? 安い中からいいの選んだつもりなんだけど。 それにそれならこんな量販店じゃなくてショップに行かなきゃ」
「なるほど」
「それより服なんて安いので適当でいいって言ってたあゆ君がなんでそんなに真剣に選んでるの?」
な、なんでだ? まさか白城と会うのにそこらの服じゃ恥ずかしいとか思ってんのか俺は。
「ええと、俺が持ってる服ってダサくない?」
「そんなことないと思うけど?」
「大人の目で見ても?」
「大人の目? うーん、そんなのどうでもいいよ、あゆ君かっこいいよ!」
そう思うのは姫乃だけだろ。 俺がそんな視線をやってると……
「私がそう思うのに何か問題でも?」
「いや、光栄です」
「やっぱり変だなぁあゆ君、あたしに隠し事してない?」
「してないしてない」
そうしてその日のデートは終わり姫乃は車の中で寝ていた時トイレに行きたくなってコンビニでトイレに寄った時携帯が鳴った。
メッセージだった、白城からの。 来週飲みに行かないか? という。
俺は即座にいいよと送っていた。




