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「言って言って!」

「しつこいな、つーかここアパートなんだぞ? そんなデカい声で喋ると両隣に会話筒抜けになりそう」

「なってもいいし。 あたし達付き合ってて同棲してるんだから」

「はぁ〜」



この歳の頃って後先何も考えてないからなぁ、ちょっと大人になって振り返ると恥ずかしくなる黒歴史を量産するんだ。



「ねえ〜、言ってくれないとあたしが大声で言っちゃう」

「わかったわかった! ええと…… 好きだよ」



大人になってもこれはなかなか恥ずかしい、しかも言って言ってと駄々をこねられてやっと言うってなると恥ずかしさ倍増だ。



「なんか言わされてる感がある」

「実際言わされてるんだけど?」

「ふ、ふふッ、近いよあゆ君。 好きって通り越してキスされるかもって思った」

「え!?」

「あ、ううん。 別にイヤじゃないよ? 寧ろして欲しいんだけどいつキスとかしてくれるの?」

「い、いつって……」



付き合うのはいいけどそういうことは姫乃と考えてない…… わけではないけど。



「ほーら、生のJKとチューだよ?」



俺の膝に手を乗せて唇を尖らせて俺を挑発するかのように顔を近付けるから俺は背中を倒して姫乃の顔を避ける。



「えー! なんでここまでしてるのに避けるのー?」

「心の準備が出来てない」

「あはッ、どっちがお子ちゃまなのかなぁ?」

「うっさいな…… あ!」



携帯から音が鳴る、まぁ会社の連絡用にしてるLINEなんだけど。



「ふぅん、明日は面倒だなぁ」

「ふんふん」



気付けば姫乃も俺の携帯を覗き見ていた。



「何?」

「誰かなぁって思って」

「会社だよ」

「それ以外何かいかがわしいものとかないかなぁ?」



そう言って姫乃は俺から携帯を取り上げた。



「おい、返せって」

「やだやだッ!」



意外と姫乃は激しく抵抗する。 そして俺が携帯に手が届く瞬間。



「あ!! お前卑怯だぞ!」

「へへーん、取れるもんなら取ってみたら?」



姫乃は自分の服の中に俺の携帯を落とした。



「取れないとでも?」

「うん、取れないなぁ〜、あゆ君は」



そう言うと姫乃は服に手を入れて携帯を俺に返した。



「あれ? いいの?」

「ああ、うん…… なんていうか。 あたし凄く嫉妬深かったみたいで彼女になったって思ったらあゆ君の行動気になっちゃって。 自分でもドン引きしてる」

「まぁそんな時期もあるしそういう年頃だし」

「あゆ君はそんな時あった? 例えばその前の彼女さんとかと」



そりゃもう白城のことなら当時は俺もかなり気になってたぞ。 



「それなりにな、姫乃と似たようなもんだ。 まぁ俺が嫉妬してもただ単にキモいおっさんだろ?」

「そんなことないって。 あー、でももしあゆ君が同じ高校とか同じくらいの歳だったらあたし猛アタックしてたかも」

「もしも何もそうだったら俺と姫乃接点なさそうじゃないか?」

「うーん、あ! でもあたしがタイプってことは前の彼女さんみたくあたしがあゆ君に告白されたりして!? あはあはッ」



なんか落ち込んだり浮かれたりひとりでやってるよ……



「はいはい、そうかもしんないな」

「なんだよあゆ君〜、照れちゃって」

「お前最近の絡みあの2人と同じになってきたぞ、今まで相当猫被ってたのか?」

「ああ、それはあゆ君のこと好きだったけどまだ遠慮があったからだね。 本当はこんな風に接したかったんだぁ」



遠慮していた割には随分と図々しかったけど。



「でもね、まだ我慢してる」

「は?」



俺の胸にピタッと顔をくっ付けて姫乃は言った。



「あたしいいんだ、このままあゆ君と付き合ってもし子供が出来たって」

「いや学校は?」

「うん、学校は辞めなきゃだけど定時とかあるでしょ?」



そもそもその定時制に入るお金はどうするんだよ? 



「だからってお前……」

「バイトとかしてお金少し貯まったら定時制だって行けるよ、だからずっとあゆ君と居たい」



そこまで俺と一緒に居たいなんて。 



ああすればとかこうなったらとか姫乃はガキ特有の思考回路だと思うけどこんなに俺のことが好きと聞かされて俺も理性なんて捨てて姫乃をどうにでもしたくなってくる。



「あゆ君あたしね、ひゃッ! 冷たッ」



テーブルに置いてあった氷入りのジュースを姫乃の脚に当てた。



「頭冷えたか?」

「へ、それを言うなら脚だけど?? って雰囲気ぶち壊し!! なんでいきなりそんな冷たい物くっ付けるのかなぁー!?」

「いやぁ〜、なんか聞いていて恥ずかしい」

「はあ!?」



姫乃はギロッとマジ顔になって俺を睨み付ける。



「あ、いやいや、そういうことじゃなくて」

「どいうことよ!!」

「俺が言いたいのは急がなくてもいいじゃんってこと」

「べ、別に急いでるわけじゃ……」

「今通ってる高校辞めて定時に行って無駄にお金使うよりはちゃんと高校卒業したらその分のお金だっていろいろまともな使い道あるだろ? それに何より俺がお前に掛けたお金が全然返ってこなくなりそうなんだが??」

「う…… あー、そうでした」

「な? 姫乃なりに真剣に考えてるんだろうけどそんなに思い詰めなくても俺はちゃんと姫乃のこと見てるから」

「うん……」



姫乃はちょっと恥ずかしそうに俺に顔を埋めた。



「ところであゆ君お仕事は?」

「あ……」



姫乃のせいで遅刻した。




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