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「やっぱり快適〜、エアコン直って良かったね」

「そうだな」



姫乃と付き合いだして2日目、別に至って今までと大して変わらない。 結構一緒に住んでるもんな俺達。



唯一変わったと言えば……



「はい、あゆ君」



そう言ってコーヒーを渡す姫乃。 あの日から姫乃は俺に対して取って付けたような敬語も使わなくなり名前を君付けで呼ばれるようになった。 



だからと言って高校生にあゆ君なんて呼ばれるとは。



「どうかした?」

「なんか慣れないんだよなぁ、あゆ君とかって」

「だからいろいろ提案してあげたじゃん?」

「だってその中ではあゆ君が1番マシだっただけで。 別に呼び方なんて今まで通りで良かったのに」

「ダメダメ! 一条さんってままだとせっかく彼女になったのになんか壁を一枚感じるっていうか。 だからあゆ君で慣れてね、あゆ君。 ぷぷッ」



と言いつつ姫乃は笑う、ということはこいつもその呼び方にまだしっくりきてないんだろう。



「お前なぁ……」

「あ、違う違う! これただの浮かれ笑いだから」

「ふぅん」



そういえば俺も初めて付き合うってことになってあんな感じだったかもしれない、俺も意味もなくニヤついたりちょっとのこと大目に見てやるくらい付き合えたってだけでそんな風に浮かれてたな。



「ていうか…… こんな浮かれてバカじゃないのとか思ってませんよね?」

「なんでだよ?」

「だってあゆ君落ち着いてるしあたしだけバカみたいにはしゃいでるんだもん」

「まぁそれが俺とお前の歳の差だ」

「また子供扱いしてる!」

「こう見えても俺だって嬉しいよ姫乃」



年甲斐もなしに姫乃のようにあからさまに喜ぶんじゃなくて心の中ではガッツポーズを取ってるよ。 いや、そんなんでいいのか?



すると姫乃が俺の横からガバッと抱き付いた。



「良かった、嬉しいんだあゆ君?」

「そう言ったんだから改めて訊かなくていいだろ?」

「イヤ! ちゃんと言われたいもん」

「……… 嬉しい」

「それでそれで? こうしてる状況のあたしをどうしたい?」

「ええとそれは…… ってそんなの知るか!」

「ちぇ〜ッ!」



危ない、誘導尋問されるとこだった、まったく朝っぱらから何やってんだ俺。



「俺はもう仕事だから行くわ」

「ええ〜、今日はお互い休んでイチャイチャしたいなぁと思ったのに」

「だから社会人はそんな理由で休めないんだって」

「はぁー、わかった。 …… 浮気するなよ?」



刺すような言い方で姫乃は言った。



浮気って俺が浮気出来そうな見た目してると思うか? と訊きたいが。



「そっちこそ」

「ないない! でも心配?」



これは…… ただ単にもっとお喋りしてたかっただけか? 朝から元気だな姫乃は。



「心配は心配だけど仕事に行かないと。 姫乃も学校だろ?」

「あ、そうだ!」



姫乃は思い出したかのように流し台の方へ行って戻ってきた。



「今日はねぇ、いつもより頑張ってお弁当作っちゃいましたぁー! 楽しみにしてね、でも頑張って作ったらその分眠いから遅れて学校行く〜」



頑張って作ったくせに休ませようとするとは意味がわからん奴。 というのも今に始まったことじゃないが。



それから会社に行っての昼休み、弁当を開けてみる。 そして速やかに閉じた。



「あれ、一条君今日はお昼出掛けるの?」

「あ、ああ…… ちょっと用があったので」



そして弁当を持って会社の外の日陰に入って誰も来ないところへ行ってまた弁当を開けた。



「こんな恥ずかしいのみんなの前で食べれるわけないじゃん」



ボソッと呟く。



白いハートマークを模ったご飯とピンクのハートマークのご飯…… 何考えてんだよあいつ! と思ったけどそれはそれで可愛く思えてきたから怒りようがない。 姫乃が朝早くにウキウキ顔で作っている光景が目に浮かぶから。



そんなこんなで仕事帰りに電車に乗ろうとすると姫乃と例の友達2人が見えたので慌てて隠れる。



何故かと言えば俺が彼氏になったとか姫乃が言ってたりするかもしれないからだ、そうなるとあの2人の絡みが非常にウザそうだし。



昨日はなんともなかったがそろそろ言われてるかもしれない、朝は姫乃が遅刻して行くとあの2人にも言ったみたいで居なかった。 



俺は姫乃達に見つからないように離れて乗る、揶揄われるのがウザいからといって姫乃が居るから3人を目で追いかけてしまう、いつもとは違う車両で学生達が多い方へ行っている。



すると姫乃の友達の吾峠が知り合いらしき男子に声を掛けられると姫乃もそっちをチラッと見た。 



何を話してるかは聴こえないが姫乃も男子が言うことに笑っていると今度はその男子が姫乃に向かって話すとクスッと笑顔を見せる姫乃。



まぁ大した話でないのはぱっと見わかる、それであいつも普通に学校の奴らとそれなりに楽しめてるんだろうな。 こんな風に今は思うがこれが学生時代だったなら嫉妬を感じてたかもしれない。



電車から降りるとコンビニに寄って少し遅れて帰った。



「あ、おかえりあゆ君!」



玄関を閉めると姫乃に抱きしめられる、そんでもってしばらく離れない。 



「そろそろ離れてくれない?」

「ダーメッ、あとちょっと」



俺がそんなに姫乃に対して嫉妬しない理由がまだひとつあった、他の人に見せる笑顔と自分に向けられる笑顔は違うってハッキリわかる。 それは姫乃が自分の気持ちを素直に俺に見せるからだ。



「ねえ、今日のお弁当ビックリした?!」

「お前なぁ、あんなの見られたらどうすんだ?」

「えへへ、見られたら困る?」

「まぁそれなりに」

「でもああいうの一回やってみたかったの」

「まったく」





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