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「返事は!? 一条さん!」

「ああ……」



なんだかんだあったけどあの場での返事は保留にした。



こいつの気持ちは未成年だとかそんな立前とかで俺は自分に言い聞かせてた部分もあって素直に嬉しかったけどすんなりと「俺もそうだよ」なんて言える状況かと言えばそうじゃないからだ。



そんなの関係ない、どうせ親も無関心なんだし付き合っちゃえよ。 そう心が呟く反面それでいいのか? と思うところもある。



こんな状態で姫乃は俺と付き合って心の底から幸せなんて思えるのか? 姫乃自身の今後は? そう考えると「どうにかなる、ドンと来い!」なんて簡単に思えるほど俺は自分に自信もないし。



「あのさ、返事云々よりもこの状況をどうにかしてからの方が良くないか?」

「それは…… あたしと居るのが嫌ってこと?」



なんでそう極端な捉え方なんだよ……



「そういうことじゃなくてさ、姫乃的には親とかのことで心に引っ掛かりとかないか?」

「ない」

「即答かよ」

「あったらこんな風に一条さんの家にずっと入り浸ってません。 あたしちゃんと自分で決めたんです、今までお母さんに言われるままだったのに自分でこうするって! なので快挙です、それで一条さんに負担を掛けてるのは申し訳ないですが絶対いつか返しますしあたしはもう一条さんが居てくれたら何も望まない」



サラッと姫乃は言った、それはもう何を言っても無駄みたいな顔をして。



そんな姫乃の顔を見ながら俺はふと考える。



ちょっと待てよ? いろんな理屈を今まで並べていたけど姫乃に付き合ってとハッキリいわれて……



こんなことこの先あるだろうか? 俺の人生でこれを流してしまったらもうこんな機会は2度とないかもしれない。 素直になれ自分、姫乃は俺を求めてる。 俺はどうなんだ?



「わかった」

「何が?」

「……」

「なんで黙るんですかー? それと返事は?」

「姫乃と付き合う」

「え…… ?」



言うと姫乃は信じられないという顔をする。 



嘘だろ!? 俺がいざその気になったらドン引きって盛大な釣りじゃねぇかよ……



「マジで言ってます?」

「あ、いや…… そのつもりだったんだけど」

「…… そっか」



姫乃が急に立ち上がったのでビビる。 



もしかして「こんなロリコンだったなんてキモすぎ、友達の家に引っ越す!」とか言い出すんじゃないだろうなと思っていると……



「やったぁ! 一条さん、あたし嬉しい!!」

「え? うわッ」



姫乃に息ができないほど頭をギュ〜ッと抱きしめられて苦しい。



「く、苦しいって」

「あ、ごめんごめん。 でも嬉しくて……」

「俺なんかでそんな嬉しいか?」

「うん! 見てわからない?」



姫乃が屈んで俺の目の前に顔を持ってくる。 



近いよ…… と思いながら姫乃の顔を見ると真顔になっていて嬉しいのか嬉しくないのかよくわからない表情。



「ちょっと緊張してきた」

「ならなんで顔近付けた?」

「それは流れで……」



よく見れば姫乃はちょっと汗ばんでいた、それは部屋がクソ暑いから仕方ないけど。



「あれ?」

「ちょッ! やっぱ見ないで、今はヤバい」



ハッとしたように俺が姫乃を見ると後退って姫乃は逃げる。



「もぉー! だから恥ずかしいんだってば」

「………」



本気なんだ姫乃は…… 姫乃のことを見ていて俺は何故か自分が高校生の時白城に告ってOKを貰って浮かれていた時の俺を思い出した、あの時は本気で喜んで打算とか変な理屈とかそういうこと頭になくて嬉しいとしか考えなかった。



姫乃は見た目は白城に似てるけど性格は当たり前だが全然違う、だから俺は姫乃となら上手くいけるんじゃないだろうか?



ってダメだな。 そんなの考えてるのは俺だけで上手くいくとかいかないとか、姫乃はそんなの考えてないでただ真っ直ぐな気持ちなんだろう。



「一条さん?」

「……」



もう面倒なことは考えるな俺、彼氏彼女の関係になったからって姫乃と俺はこれまで一緒に暮らしてたんだしそうなったからってすぐに何か変わるわけでもない。 いつものように振る舞えばいいだけだ。 



「一条さん!」

「は、え?」

「いきなりダンマリしないでよ、どうしたのかなって思っちゃう。 てかどうしたの?」

「ああ、姫乃って俺のこと好きだったんだなって。 ……… あッ」



ポツリとキモいことを言ってしまうと姫乃は真っ赤になって俺から一歩引いた。



「えっと今のはあれだ…… な、なんでもない」

「……… うん、好きだったよ。 もう結構前から」

「へ?」

「一条さんの昔の話聞いたらあたしじゃ微妙かもとかって思った時もあったけどやっぱり一条さんのこと好きで。 そりゃ同級生の人とかと付き合ったりでもいいんだろうけどあたしはもう一条さんしか考えられなくなってて。 ううん、一条さんがいい」



「何言ってんだろあたし」と俺に背を向けてへたりこんだ姫乃を見ていてこんな俺でも姫乃にとってはそういう存在なんだと聞くと不意に姫乃の頭を撫でてやりたくなって姫乃の頭に手を置いた。



「わッ…… な、何か?」

「なんとなく……」

「…… なら撫でて?」



良いか悪いかなんてもうよくわからない俺は今日姫乃と付き合うことになる。 それが姫乃と俺の……





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