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「ぁあああ〜」



学校から帰って夕飯を食べ終えた姫乃は唸っていた、何回も。



「どうかしたのか?」

「一条さん、ひとつ聞きますが一条さんは学生時代成績は宜しい方でしたか?」

「うーん、真ん中くらいかな。 姫乃は?」

「1番でした」

「へぇ、1番…… え!?」



こいつそんなに頭が良かったのか? 全然そうは見えないぞ。



「言っときますけど1番だったのは中学生の時までです」

「それでも凄いだろ。 ちなみに今は?」

「10位から20位辺りをウロウロしてます」



学校を暫くサボっててそれくらいなら充分凄い。



「どんどんおバカな子になっていきます、あたしはダメな子だ」

「お前の友達はどれくらいなんだ?」

「一条さんと同じく真ん中くらいです。 でも2人と遊んでるからとかそういうのは関係ありません、単にあたしがダメなだけです」



予想外に落ち込んでる。 俺なんてテストの成績とか全然気にしてなかったな、そういえば。



「あたしは期待されちゃいけない子なの、たまたま周りがあたしよりレベルが低くてその時だけ1番になったからって勝手に期待されて、期待通りじゃなかったら冷たくされて。 勉強が出来るからって頭が良いなんて限らないのに」



なんか見えてきた、こいつの背景。 



多分姫乃は幼い時から勉強が出来て親もその気になって姫乃に期待して1番取れてる間は優しかったけど急にそうでなくなってしまって冷たくなった。



姫乃はそんな親に戸惑って家出して…… みたいな感じだろう。 それで姫乃以外に気になる男も現れて今はそっちに夢中で姫乃は邪魔になったとか。 



当たらずとも遠からずだろう、それにしても姫乃をまったく探してる気配もない、学校にはお金やらは払ってはいるようだけどそれだけだもんな。 姫乃が今どうしてるとか考えないのか?



こいつは未成年なんだぞ? とは言っても探されたらそれはそれで俺の存在が露見して困るけど。



「姫乃、お前は充分勉強は出来る。 だからそんなに気にしなくていい」

「…… それを一条さんみたいな成績だった人に言われても説得力皆無」

「人がせっかく慰めてやろうと思ったのにお前は」

「嘘だよ、そう言われるとちょっとホッとする。 でもあたしは出来ないからイヤになって投げ出したって思われたくないからもう少し頑張る」



姫乃が言ったことで引っかかったのが親と居るのはイヤになって投げ出してるじゃんと思ったけどそれとこれとは別なんだろうなと思ったから冗談でも言うべきじゃないな。



こうして悩んでいる姫乃を見ていると思う、俺が昔告白した女の子とは見た目は似ているけど中身は全く違うんだなと。



そもそも俺は彼女と付き合っていても俺に対しての彼女の不満も見抜けなかったのだから中身がどうとか言われる筋合いはないと思うけど。



そんな俺が姫乃のことをどう励まそうとかしてもなんにも力になれないんじゃないかな? いやいやよせよ、そこまで入れ込む必要ない。



第一俺は少しは成長したのかそんな彼女に似ている姫乃を見たってドギマギしないで話せるし。 連れ帰ってしまったのはこの際不可抗力だということにしよう。



「ひとつアドバイスしてやろう」

「なんです?」

「ドン詰まったら一端それはやめて何か違うことをしろ」

「違うこと…… 学校行ってるのに勉強以外の何をするんです?」

「お前は真面目か? あの2人が居ても根が真面目だった姫乃はやっぱり真面目なんだな」

「真面目真面目うるさいです、あたしはどうせ半端者ですよ! 勉強も微妙で料理も微妙だし」

「ん〜、だったら今週末パーッと遊ぶか? また車でも借りて」



そう言ったら姫乃がテーブルに頭が付いてたのだがパッと起き上がった。



「いいんですか? やったぁ!」

「立ち直りは早いんだな」

「だって気分転換になりますもん。 一条さんもそうしろって言ったじゃないですか」



すると姫乃は座っていた俺の後ろに来て肩を掴んだ。



「何のつもり?」

「あたしはお金持ってませんし一条さんは特にあたしを要求しないのでとりあえずわかりやすい形で恩返しと思いまして」



姫乃の指に力が入った、これは肩を揉んでいるつもりなのだろうか?



「肩揉みって。 小学生みたいな発想だな」

「あたしだってそう思いました、けど口でありがとうと伝えるよりこうした方がいいかなと思ったので」

「まぁいっか。 俺も仕事で肩凝ってたし」

「んふふッ、どれどれ〜」



なんか心地良いな、こうしてなんの柵もない状態で考えると俺は姫乃と付き合ってるみたいだ…… って! 俺は何を絆されてるんだよ、こいつはその気になれば俺よりもっとお金があってチヤホヤされるような奴なんだ、たまたま俺についてきたからこんな状況になってるに過ぎない。



仮に全部纏めて解決出来るような立派な奴に縋った方が人生上手くいったかもしれないが俺のとこに来てる時点で運がないのかもしれない。



「ふふふ」

「いきなりどうしました?」

「お前も運がないなって思ってさ」

「運? まぁある方とは言えませんが今は運が良かったなって思ってます」

「なんで?」

「だってあたし今はそれなりに楽しいですもん」



ポジティブな奴だ。




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