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ぎゃんぶるのせかい

連続更新です

 瀧口龍平はギャンブル狂である。


「サイコロが転がっている様子を見るだけで脳内がスパークするような気持ちになる」


 とは中学時代のテニス部の部室でチンチロ大会をしている所が見つかって職員室に呼び出された時の龍平の台詞だ。


 そんな龍平は高校生でパチンコを覚え、スロットの本を読み耽り、新装開店やイベント日の度に授業をサボり朝から並ぶ、どこに出しても恥ずかしく無い立派なジャンキーとしてすくすく成長していった。


 幸い、と言うべきか龍平の学力はそれなりにあり(確率の問題は大得意)都内の大学に進学する事は出来たが、いかんせん自由な大学生生活である。転落は必然であった。


 大学の先輩達から競馬を習い

 バイト先の店長に競艇を習い

 三歳上の彼女から麻雀を教わった辺りで奨学金と仕送りだけではやっていけなくなった。


 インターネットにホームページの無い怪しげな闇スロ専門店へとサークルOBを名乗る胡散臭い男に連れて行かれた辺りから大学生活の記憶も曖昧である。


 卒論に目処が立ちどうやらなんとか卒業は出来るらしいぞ、と判明した時には既に周りの人間は皆内定を貰い、新社会人として輝かしい未来へ歩んでいこうとしており、あの退廃的で甘美な大学生活の事など一切忘れ去ってしまっている様子であった。


 そんな周りに猛烈に焦りを感じ、慌てて就職活動に身を入れ出す龍平であったが、好況ならまだしもこの様な不況の時代に付け焼き刃の就活など通用せず、結局は競馬仲間の先輩のコネで何とか五流規模の商社に入ることができたのであった。


 そして、暖かな大学(ゆりかご)から社会に追い出された龍平の手元にあるのは、必要以上に借りて医学部並みに膨れ上がった第二種奨学金の返済額と、限度額のこれ以上増えない消費者金融のカード達であった。


 無論、五流商社で真面目に働いた所で、完済するであろう年齢は…45...50..もはや人生も大半が大詰めだ。


 そんな中一人やっと貯金を始められるのだ。未来を語る権利を得るのだ。龍平はクラクラしてきた。

 しかもそんな風にギリギリ追い詰められ、現状を冷静に理解したとて、ギャンブルは未だやめられないのだ!!





 初任給を行きつけの40スロに三時間で溶かしてしまい深夜の12時半に誰もいない渋谷駅でうずくまった龍平は


 そうして、初めて


 どうやら自分の世界は失敗したみたいだなぁ、



 と、他人事のように感じたのであった。


書いてて泣きそうになる

朝からごめんなさい


でも、今日の仕事終わり打ちに行くよね?みんな。

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