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BAD END SS集 4章~終章



第四章:孤独の海より。①

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オレの胸まで海の水が押し寄せる。首輪から聞こえた女の声がオレの体を動け無くしてからずいぶんと時間が経った。すでに陽が海に落ちようとしている。


チクショウ!このまま溺れ死んでしまうのか?


だが、海の水が体を覆っているなら、トイレを気にする必要も無いよな。女の畑では苦労したが、海の中なら漏らしてしまっても水に紛れて誤魔化せるって事だ。


そう考えてオレは体から力を抜いた。


体から余計な重みが抜けていくのが解るとオレの気は幾分か楽になった。もしかしたら、大きい方も出してしまっても問題ないんじゃないだろうか?パンツはオトコのタマシイでできているって話だが、この際気にしたら負けだ。


パンツが脱げない時点で、パンツを穿いたままトイレに行かねばならない。オトコのタマシイにはどうせ見られる現象なんだ。すでに森で小さい方は漏らしてしまっているしな。


海の水で腹が冷えきってしまったからな。仕方ない。そう、仕方ないんだ。今、オレが体の力を抜いたことによって大きい方を(もよお)してしまったのも仕方のない事だ。


さらに体の力を抜くと、先ほどより重たいモノが体から落ちていく。


気持ちがいい。


体から抜けていく熱に身震いする。魔法で体の中で処理をしてしまうより、出す物を出すという自然な行為が気持ちいい。後は浄化の魔法をかけてやればバレる事は無いだろう。


つんつん。


体を何かがつつく感触がする。何とか動かせる頭を無理やり動かすと、オレの体を小さな魚がつついている。オレの出したモノの臭いを辿ってオレにたどり着いたのかもしれない。これは使える。小さな魚で食い応えは無いが、食料には違いない。覚えておいて損は無いだろう。


「お姉様~!助けてください~!許してください~!!」


小さな魚が体の周りを泳ぎまわってくすぐったいのを我慢しながらオレは女に許しを乞う。無様だろうが何だろうが生き残らなければ何もかもおしまいだ。


つんつん。


小さな魚がオレの股間に集まっている。オレの股間から出した臭いで集まったんだから、そこに集中するのは仕方ないが、刺激されるとオレのJrが大きくなってしまう。


小魚がつつくのに我慢できずにいると、オレの真横の海が割れた。


大きな魚が波しぶきを上げてオレの真横で口を開けるのが見えると、そのまま大きな口の中に呑まれてしまった。



小魚といっしょに。餌。END

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第四章:孤独の海より。②

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食えるものがないかと砂浜を出て高い木の間を歩いていると、足首にチクッと刺された痛みが走った。何かと目をやると、そこには小さな背中の赤い虫がいた。


「なんだ。クリョウか脅かしやがって。」


クリョウはどこにでもいるが、畑を食い荒らす害虫を退治してくれる有益な虫だ。オレの畑にいるのは背中は赤くはないが、きっと似たような虫なのだろう。


そう安堵した瞬間。体に力が入らなくなってオレはその場に崩れ落ちた。



即死の毒END

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第四章:孤独の海より。①

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8本の触手がオレの足を(から)めとる。


抵抗しようとオレが脚に力を入れた瞬間、触手は上へと持ち上がり、オレは岩の上でバランスを崩してしまった。


ゴチン。


体が宙へと浮かぶとオレは荒波に揉まれた鋭利な岩に頭をぶつけて、脳漿(のうしょう)をぶちまける事になってしまった。



岩磯は滑りやすいから気を付けよう。END

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第五章:何もない荒野からより。①

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オレは背中に焼き印を入れられた。砂が混じった乾燥した風が、治癒の魔法がかけられない背中の火傷に吹き付けてくる。


しばらくすると他の奴隷達の荷物をざわざわ集めてオレが背負う羽目になった。荷物で背中が守られるかとも思ったが、(こす)れてしまってれて余計に火傷の跡が痛い。


「なぁ、背中が痛くてたまらないんだ。せめて治癒の魔法をかけてくれ。」


「何を贅沢な。他のヤツ等だって同じ苦しみを味わって来たんだぜ。オマエも我慢しろ。」


奴隷商のデブは無慈悲な返答しか返してこなかった。他のヤツがいつ奴隷になったのか知らないが、オレのように道中じゃないだろう。傷がじくじくと痛む。


焼き印の火傷がうずき、燃えるように熱くなる。陽に晒された乾いた風のせいか、火傷の痛みか、体が火照り頭がぼうっとしてくる。目がかすれ、喉が渇く。


「なぁ、水を飲ませてくれないか?」


「何を贅沢な。他のヤツだって我慢しているんだぞ。オマエも我慢しろ。」


奴隷商のデブは判を押したかのように同じだった。体の芯を焦がすような熱に足元がふらつく…。だが、荷物を落としたら、きっと奴隷商のデブに更なる苦痛を貰う事になる。踏ん張らなくては。


気力を振り絞るが、体が言う事を聞かない。もつれた足がたたらを踏むとオレは大地に倒れ込んだ。


「ふん。薪1本の仕事もできないとは。おい、荷物を回収しろ。」


オレの背中の荷物を元の奴隷たちが回収していく。


「余計な手間を取らせやがって。」


そりゃ、そうだよな。オレが現れなかったら、オレに奴隷印を押す事も無く、荷物を分けたり、回収したりと言った手間が省けていたんだものな。だが、少し手伝ってやったんだ感謝くらいしろよ。


オレの背中から荷物を取って行く奴隷たちは、声が出せない代わりにオレの脇腹を蹴とばしていく。奴隷商の言うように、オレに感謝どころか面倒をかけられたと言わんばかりに。


「ダメだな。弱り切っている。捨てていくぞ。」


奴隷商のデブはオレを置いて立ち去って行った。



なまじ治癒の魔法が発達しているから感染症が暴走しちゃった。END

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第五章:何もない荒野からより。②

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奴隷商のキャラバンが街へ入る門にたどり着いた。ここを逃せばオレは売られてしまって、その先で本当の奴隷として扱われてしまうだろう。何とかして逃げ出さねば。


街を護る門番なら奴隷商のデブがオレにどんな仕打ちをしたのか分かってくれるはずだ。背中の焼き印に、動かない腕。声まで封じられているんだから、それは動かぬ証拠となるだろう。


オレは門番の正義を信じて、最後に自由になている足で駆けだした。


「あ、おい!待て!!」


奴隷商のデブが慌てふためく。ふん。あれだけ慌てるって事はやはり門番に助けを求めるのが正解だったんだ。オレは門番の足元に(すが)りつく。口が()けないのだから体を使って助けを求めるしかないのだ。


ゴスッ。


「奴隷の管理くらいちゃんとしておけよ。」


「あい済みません。コイツは途中で拾ったんで教育がまだなんですよ。」


奴隷商のデブが門番と親し気に話を始めた。


そうか、門番に正義なんて無かったんだ。オレが間違っていた。門番なんて袖の下を通せばいくらでも誤魔化せるものな。門番だって小遣いが欲しいんだ。当たり前だよなぁ。



その後、オレは売られて炭鉱で働く事になった。


最近、新しい炭鉱が発見されて、街で不足しがちな薪に変わる燃料として注目されているらしい。


ここは平等だ。周りの連中、もちろん奴隷だが、全員が『ギフト』も魔法も使えない。脱走しないように封印されているんだ。だから、オレだけが使えないと差別されることがない。黙々と作業だけすれば、後は平等に扱われる。オレだけが奴隷扱いされる事なんて無いんだ。


村に居た時よりも平等だ。


最近嫌な咳が出るが、それだってみんな同じだ。炭鉱の悪い空気を吸いすぎているだけだろう。だからもうしばらく、他の奴らと同じように倒れるまでオレは平等を満喫しよう。


平等に倒れるまで。



(カゴ)の中の自由END

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第五章:何もない荒野からより③

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「おい、アイツだぜ。」


兵士たちの小さな声が静かな廊下に響く。ヒソヒソと声を殺して喋っているが丸聞こえだ。


「隊長がアイツの股間に話しかけていたって。しかも街中で。」


「とうとう、隊長も男色の道をカミングアウトする気になったのか。」


いやいやいや、待て!あの門番の男は男の事が好きだったのか?いやに熱心にオレの股間に話しかけて来るとは思っていたが、本当はオレのJrを凝視したかっただけだったのか?


隣を歩く門番の男を振り向くとウインクをしてくる。


その夜、大勢の男に囲まれる中、体の自由を奪われて声も出せないオレは涙ながらに処女を失い男娼になる道を進むことになった。なに、天井のシミを数えている内に終わるんだ。大した仕事じゃねぇ。



領主への報告?オレは街を出たとたん死んだ事になっているらしいぜ。



新しい道 END

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終章:栄光の丘より①

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「なんでオレがオマエの手先にならなきゃならないんだよ!?」


奴隷商のデブに封印を解いてもらった瞬間に、オレは領主に噛みついた。


「じゃあ、死ね。」


領主が指を鳴らすと、オレのクビが宙に舞った。


首が無くなったオレの体を空中から見下ろす不思議な光景に呆気に取られている内にオレのタマシイの火は消えて行った。



貴族様は短気だったEND

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終章:栄光の丘より②

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昨日も1日馬車に揺られていた。どうせ、馬が勝手に道なりに進んでくれるんだ。酔っぱらっていようが、居眠りをしていようが関係ない。


男ばかりで退屈な旅の唯一の楽しみは酒だ。


酒を飲んで愚痴を言い合って、お互いの不幸を慰めあう。結婚を控えているのに、いきなり辺境の森の氾濫を治める事になったノブイ。違法な奴隷商なんてやっていたのだから自業自得だと思えるデブ。村に捨てられたオレ。


昨日の晩も酒が進んだ。同じ話を繰り返しながらゲロを吐いて寝落ちするまでしこたま飲んだ。


どうせ、いけ好かない領主の金だ構うものか。


馬車は勝手に道なりに進む。


二日酔いで酒が抜けずに酩酊(めいてい)しているオレ達は、馬車がいつの間にか目的地から外れていたことに気が付かなかった。分岐(ぶんき)が有った事に気づかなかったのだ。



馬車は進む道なりに進む。


魔獣が氾濫している森へと続く道を。



酔っ払い運転は危険なので止めましょう。END

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終章:栄光の丘より③

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森へ入る前に、ジィちゃんがオレとノブイの体に魔獣のクソを塗りたくった。


「コレで魔獣の鼻を誤魔化せるハズだ。後は森の声を聴きながら魔獣が少ない道を選んでいけば行けるじゃろう。」


クソを体中に塗りたくられてしまったら臭くてかなわないが、これで命を長らえる事ができるんだったら文句も言えない。オレは優しかったジィちゃんを信じる事にした。


森の中には魔獣がうじゃうじゃ居やがる。難しい顔をしたジィちゃんの後ろをただ黙って着いて行く。草むらに隠れながら魔獣の鼻先を通って行くんだ。クソの臭いてバレないかとヒヤヒヤするぜ。


「むぅ。やられた。森に完全にしてやられた。」


小さな声でジィちゃんが呟くと、魔獣たちが一斉に吠えだした。オレ達はジィちゃんの案内で魔獣の群れの真っただ中に追い詰められていたのだ。ジィちゃんの聴いた森の声が嘘を言っていたのだ。


森の氾濫って言うくらいなのだから、森は魔獣の味方をしていたらしい。魔獣のクソを塗りたくったって意味は無いんだ。森そのものが敵だったんだ。森こそが魔獣を操っていたのだ!


オレは『爆宴の彷徨者』を使う事に躊躇(ちゅうちょ)した。


だって、隣には仲良くなったノブイや優しいジィちゃんが居るんだぜ。『爆宴の彷徨者』を使えばオレだけ助かることができるが、ノブイとジィちゃんを見捨てる…いや、オレの爆発に巻き込まれてノブイとジィちゃんは死んでしまうだろう。


オレがノブイとジィちゃんを殺すことになる。その一瞬の躊躇(ためら)いが命取りになった。



本当の敵 END

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いや~。調整するの面倒くさかったから、そのまま垂れ流しておいた。そして、バッドエンドなだけあって少し暗めだね。ごめんなさい。


「自分の力量不足で文字数が安定していないんだろ?」


そうとも言う。最初は数行ずつで終わらせるつもりが、だんだん長い文章になってしまって、分割する羽目に…。


「前半にも書き足してしまえば良かったんじゃ?」


オマエがJrをぶらぶらさせている描写をもっと細かく書けと?


「いや、それは恥ずかしいから勘弁して。」


嬉しいくせに…。とりあえず、残すところ終章のAnother ENDだけだね。


「まだ死ぬのか?」


いや、いちおう生還ルートだけど。


「死んだ方がマシかも知れない。」




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