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『岩の上』でしろって言うのか!?

--『岩の上』でしろって言うのか!?--


あらすじ:奴隷が売れた。

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オレに優しくしてくれた男は、その優しさを買われて文字通り村に奴隷として買われてしまった。村では新しい畑を開墾するために人手が足りなくなっていて、男の優しさを気に入ったヤツが買ってくれたらしい。


幸せになってくれると良いな。


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行商を終えた奴隷商の一行は村を出て、そしてまたオレは重い荷物を背負って日差しの強い荒野を歩く。


オレに優しくしてくれた男の荷物はデブが全部オレに押し付けやがった。チクショウ!売られるんなら荷物もいっしょに売られろよ!村での行商で他のヤツ等の荷物は減っているのに、何でオレの荷物だけ多くするんだよ!少しばかり優しくしてもらったからって割にあわねぇじゃないか。


きっとアイツは村に残って良い暮らしができるに違いねぇ。優しさを気に入られて買われたって事は、優しさを失わせないような暮らしをさせて貰えるに決まっている!オレみたいにひどい目に遭っている人間が他人に優しくできるワケがないだろう?


だが、オレはそれよりも、もっと重大な問題を抱えてしまっていたんだ。



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「だ、旦那様。」


オレは情けない声で奴隷商のデブを呼ぶ。


だって、仕方が無いだろう。緊急事態なんだ。


「なんだ?」


「便所に行きたいのですが。」


魔獣に襲われていた村を出てから久しぶりの食事だったし売れて行った男から食事を分けて貰って、たくさん食べ過ぎて腹がぐるぐると言いだしているんだ。今までは何とかガマンをしていたが、はるか遠くまで見渡せる荒野には街どころか、木の1本も生えていねぇ。


デブに懇願(こんがん)するのは(しゃく)だが、オレの額には脂汗が流れているんだ。


はっ!まさかこれも売られて行った男の策略だったのか!?


普段なら便所を使えなければ浄化の魔法でどうにかするが、今は魔法を封じられている。何もないただっぴろい荒野だが、せめて馬車の影で浄化の魔法を使わせてもらって処理をさせてもらいたい。


「ああ、オマエにはスライム処理をしていなかったな。」


「スライム処理ですか?」


初めて聞く言葉だが、イヤな予感しかしない。


「ん、魔法を使わなくても歩いたまま用が足せるように腹の中にスライムを入れるんだよ。奴隷が便所に行くなんておかしいだろう?そんな暇があったら1つでも多くの仕事がこなしてもらわなきゃならん。まぁ、街についたらオマエにも入れてやるよ。」


デブが言うには奴隷の腹にスライムを住まわせてクソを食わせるらしい。そうすればケツからは水しか出て来なくなって処理が簡単になるそうだ。デブはその後も、ゆっくりと丁寧にケツの穴からスライムを注入する方法を楽しそうに語ってくれた。


いやいやいや、ケツの穴にスライムを入れるってどうなんだよ!?


だが、そんな疑問も額の脂汗の前には無意味だ。


「だ、旦那様、講釈は大変ありがたいのですが、そろそろ私のお腹も限界でして…。」


デブに言い出す前までだって限界まで我慢していたんだ。デブが長々と講釈を垂れ流している間にもオレのケツは崩壊の道を1歩1歩近づいている。


「ああ、魔法を封じていたんだっけな。見ててやるから、そこでぶちまけな。」


「え?」


見ててやるって…。


「奴隷印が定着しきっていないから、魔法は使わせられんし逃げ出すかもしれんから目を離すわけにもいかん。まぁ、クサイのは我慢してやるからさっさと終わらせろ。」


「は?」


デブはニヤニヤと見下した目でオレを見やがる。オレに屈辱(くつじょく)を味合わせて(たの)しんでいるに違いない。オレがデブの前で恥ずかしい行為を無様にさらすのを愉しんでいるんだ。もしかすると魔女のように街でオレの痴態を吹聴(ふいちょう)するつもりなのかも知れない。


「みんながオマエを待っているんだ。時間がもったいないからさっさとやれ。」


言い終わってデブが口笛を吹くと焼き印に激痛が走る。焼き印は背中にあるから手で押さえて痛みを(なだめる)める事もできやしねぇ。


「い、いたたたたたた。解った、解った、やらせていただきます。ありがたく、クソをさせていただきます!」


あまりの痛さにオレは否応なしに感謝の言葉を述べさせられる。これだけでも屈辱だ。


「そこが良いな。」


デブはただっぴろい荒野にある低い岩を差して言った。まさか、岩をお立ち台に見立てて見世物にしようって事か?ここにいるのはオレとデブだけじゃねぇ、周りには何人もの奴隷が居る。デブの商品が居るんだ。


「は?え、い、いや、や、やらせてい、いただきます。」


オレが拒否をするよりも早く、デブは不機嫌そうに眼を細めて口を尖らせた。口笛を吹こうとしていたに違いない。


岩によじ登ってパンツを下ろすとデブはオレの真後ろに来て覗き込んできた。そして、デブの後ろには何人もの奴隷が羨ましそうな顔をしてオレのケツを見ている。なんなんだ?


「なに、気にするな。こいつらはスライム処理をしてあるからな。排泄をする気持ちよさを、長いこと味わっていないだけだ。」


クソをする自由も奪われているって事か。確かにクソを限界まで我慢して出した時は気持ちがいい。オレだってワザと限界まで我慢する時があるくらいだ。コイツ等は奴隷になってからクソをする気持ちよさまで奪われているって事だ。


オレもそうなるかもしれないので同情はするが、だからってオレの後ろに集まってオレがするところをじろじろ見てるんじゃねぇ!


羨ましそうな顔をしたってオマエがクソをするわけじゃねぇんだ!


チクショウ!オレの腹もそろそろ限界だ。


岩の上でしゃがみ込んでしまったら、すでに崩壊を止める事は出来なくなっていた。


オレは多くの目が見つめる中で大音量と共に無様にぶちまけた。



辺りにクソの臭いが漂っていった。



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次回:どう考えたって最後の『チャンス』だろ?



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