ご令嬢とお父様2
「失礼いたします、お父様。お呼びと聞き参りました。」
カーテシーをしながらお父様の返事を待ちます。
気づかれない程度に部屋の中を見回してみるとさすが公爵家当主の政務室と言いましょうか、品を損なわない豪華さですわね。記憶にある時よりお父様の机の上にある紙束の量が増えているように見えますけれど。
毎朝、朝食はご一緒させていただいていますが...
お父様の政務室に呼ばれるなんて何年ぶりかしら。
「ああ、ディアローゼ。長話になるだろう... まあ、座りなさい。」
お父様は苦虫を噛み潰したような複雑な表情をしながら私に長椅子に座るよう促した。珍しいこともあるのだと私は姿勢を戻しながら心の中で目を見張った。
あのお父様がわかりやすく表情に出すだなんて... 一体なにがあったのかしら。
「では、失礼しますわ。」
私が長椅子に座ると同時にお父様専属の従者兼執事のハンスが紅茶をいれ、
目の前のローテーブルにそっと置いた。
さすがお父様付の使用人ですわね..文句の付け所がありませんわ。
それにしても、メイドを呼ばずお父様付の使用人であるハンスが直々に紅茶を入れるなんて...
他言無用ということかしら?
そこまで大切な話...お父様の政務関係のお話の可能性が高いですわね...
はあ、これは一波乱ありそうですわ...
こうして私はひっそりと心の中でため息をついた。
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