第3幕
やぁ、久しぶりだね。僕にも色々あるんだ、許してほしいな。
それじゃあ今日も、現実と虚構が織り成す物語、第3幕の開幕だよ。
数分後、妖怪の山に到着した。
明「割と近かったんですね」
は「えぇ。ここと守矢神社はもっと近いですよ」
明「そうなんですか?」
明日葉は、知っていながらそう問うた。
は「なんと言っても、この山の上に守矢神社がありますからね」
明(守矢の二神、洩矢諏訪子と八坂神奈子…そして現人神の東風谷早苗…彼女達も実在するのかな…いやするんだろうけども)
明日葉の興味は今現在その一点にのみ費やされている。というのも…
明(実のところ…あんまり会いたくない人が多いんだよね、妖怪の山)
新聞のネタの為に被害を受けそうな射命丸文に、人間好きで悪戯好き(という認識)の河城にとり、厄を溜め込む鍵山雛と、あまり近付きたくない相手が多いのだ。
は「あ、そうだ。文には気をつけてくださいね。一応、椛さんにも護衛的なものを頼んでみますけど、いざとなれば私も守りますから」
明「文…射命丸文…はぁ…」
は「その反応、やっぱり知ってるんですね」
明「まぁ、一応は」
は「注意するにこしたことはありません。知っていても、警戒しておいてくださいね」
明(幻想郷の中でもトップクラスに速いんだっけ…?)
少しばかり怖くなった明日葉だった。
✳✳✳
その日の夜。
明「…はぁ…」
慣れない環境で寝付けずにいた明日葉は、1人物思いにふけっていた。
明「とりあえず、今日起きた事を振り返ろう。まず、家でぐでってたらスキマが現れて、そこに入り込んでしまったが故に幻想郷に来てしまった」
そこの認識は間違ってはいない。むしろここが間違っていたら全て間違えてしまうだろう。
明「スキマから出たら空中で、そこから落下しているところをはたて…に拾われた」
このとき明日葉は、名前に『さん』を付けようか否か悩んだが、既に呼び捨てにしていたため、そのまま呼び捨てにすることにした。
明「そんで、はたての発言から僕は本当に幻想郷に来た…幻想入りしたんだと確信した」
この時ばかりは、東方が好きで良かったと明日葉は思った。
明「さて、僕は帰れるのやら…」
その答えは誰も知らない。
✳✳✳
翌朝。
明「ふぁぁ…今何時かな…」
は「朝の8時ですよ。全く、遅いですね」
明「………………」
明日葉は、昨日の出来事が夢ではないと軽く絶望した。けれど、すぐに切り替えて話しかけた。
明「普段はもっと早いですよ。ただ、昨晩は単に眠れなかっただけです」
は「そうでしたか。そうだ、今日は人里に行きましょう!」
明「…人里…ですか」
人里。上白沢慧音や稗田阿礼達が住む場所だ。明日葉の推しは…いなかったように思う。
明「…まぁ、ここで暇を潰すよりはマシですね。良いですよ、行きましょう」
は「若干上から目線なのが気になりますけど…それじゃあ行きましょうか」
そうして2人は人里に降りることになった。
今日はここまで。2人は人里で誰と出会うのか、続きはまた今度だよ。それじゃあね。