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今日も雨。弱くなってから家を出ようと思っていたら、全然そんなことにはならず。今以上単位を逃すとまずい倫理のため、昼には学校に向かった。放課後は遅刻ペナルティで掃除だ。
「おい、元気か?」
「見えるように見てください」
「土日に何かあったのか?」
「やりたいと思うことはあったけど、誰もやってません」
遅刻届けを出しに向かった生徒指導室で梅影先生と軽い問答。殺人鬼は真面目に休業中ですのでご心配なさらず。
本当は、土日ではなくて金曜日になら、特別なことは起こった。土日だってさくらさんのことばかり思い出していた。だが、そんな個人的なこと、梅影先生に報告しなければならない義務はない。
「おとなしくしてるならいい。二ヶ月もったか……好き勝手に気分で事件を起こすなよ」
「ゆーえすびー」
「は?」
うっさいんじゃボケ。
昼休みは保健室で時間を潰した。鏡先生に味噌汁をもらった。今日の口の中はぶどうグミではないので。お茶ももらった。
「鏡先生、金曜日に言ってたのって、何だったの?」
「金曜日? ああ、あれね。梅影先生が頼まれてくれたから、片付いちゃったの。早いうちに伝えられなくてごめんなさいね」
「別に」
梅影先生へのヘイトが募るだけだから別に。嫌いポイントがんがん貯まっていくだけだから別に。殺せないことがこんなに腹立たしいなんて。とはいえ私はカッとなってやった系の感情的な殺人鬼ではないのだ。ひとりで死ね。