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 チェックアウトしてからさくらさんはまたどこかへ消えた。お昼ごはんを食べてそのままカフェでだらだら時間を潰していると、さくらさんが戻ってきた。


「あ、上着」


「ああ、コート取りに帰ってた。マフラーとそれはあげるよ」


「いただきます」


 サイズは合わないが、とりあえずもらっておくことにした。男装がそれらしくなる。あと言うと身長がもうすこしあれば。


 タクシーで学校へ。単位だったか出席日数だったかが足りなくなったので、五者面談だそうだ。五者って誰がいるのか。私は含まれるのだろうが、だったら先生かお母さんかもっと早くに教えてくれたってよかったのに。

 さくらさんに面倒くさいなあと言ってみたが、そのあたり真面目らしく、行ったほうがいいと言われてしまった。とくに両親との関係や家庭に問題があるわけでもなく、行きたくない理由はない。


「じゃあ、行ってきます」


「ああ。がんばって」


 タクシーから降りる。さくらさんに手を振る。何をがんばれと。ぶかぶかのコートとマフラーに埋もれて、校舎に入った。


「あれ、今来たの?」


「うん」


「あ、椿ちゃん男子の制服じゃん!」


「マジだ。えイイかも」


「惚れるわ」


「あーありがと」


 昇降口でクラスメートの女子グループに絡まれた。靴を履き替えてお見送りに手を振っていると、タクシーが出ていくのが見えた。またねって言えばよかった。また会う約束でもすればよかった。


 今さら遅いので教室へ向かう。なぜだか寒い。昇降口は人の出入りがあるから仕方がないが、教室や廊下は暖房が効いているはずなのに。ああ、そういえば、さくらさんの連絡先も聞いていないのだった。

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