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 シャワーを浴びて髪を乾かして、先生にもらった制服に着替えた。男子の制服だった。タイツは用意してくれなかったから、スカートじゃなくてよかった。

 この制服の上に、どうせなら男性もののコートを着たいなあと、クローゼットの全身鏡の前で考えていると、ちょうどさくらさんが帰ってきた。


「おかえりなさい」


「あっ。ああ、ただいま。どうしたんだ? それ、男子の制服? 誰か……来たみたいだな」


「着替えを持ってきてもらったんです。あ、ゴミは引き取ってもらったけど問題なかったよね」


「ゴミって、制服? せっかくだからもらっておこうかと思ってたのに、あ、いや」


 私が冷ややかな目を向けていることがわかったようで、さくらさんは言いかけた言葉を冗談であるというように誤魔化した。


「それはともかく、さくらさん、コート貸してください」


「いいよ。入るか?」


「そうじゃなくて」


「待って、もう少し」


 コートで包むように横から抱き締められて、仕方がないのでおとなしくする。外から帰ってきたわりには、冷たくなかった。


「外に出てないの?」


「上司から、階下(した)のカフェに呼び出されたんだ」


「ふーん」


 お説教でもされたのだろうか。もしかして、さくらさんの上司の人と梅影先生は、一緒にこのホテルに来たのかもしれない。


「もういい?」


「ひとまずは」


「コート貸して」


 さくらさんは私から離れ、今度こそコートを脱いで差し出した。受け取って袖を通す。当然そうだろうとは思ったが大きい。さくらさんにポーズを決めて見せる。


「どう? 格好いい?」


「かわいいよ」


「……男装は向いてないか」


 特に予定はないが、出来ないよりは出来たほうがいい。知らないよりは知っているほうが。


「男装なら、サイズの合ったコートにしたほうがいいな。髪も短くするか、簡単に纏めるか。胸も潰さないと。かわいいけど、少年に見えなくはないかもしれない」


 真面目な助言をありがとうございます。私は真面目に言っているのに、冗談だとでも思われるらしく、助言をくれるのは梅影先生くらいだったから、新鮮だ。


「ありがとう」


「どういたしまして」


「さくらさんも女装する?」


「しない」


 それは残念。

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