表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏学生の相手は大手企業!  作者: ネコクロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/70

45話「新たな火種」

 ――次の日、俺は学校を休んで紫之宮会長に会いに来ていた。

 どうやら、紫之宮会長は今日も会社にいるらしい。

 だから俺も、紫之宮会長がいるビルの前まで来たのだが――


「――なんでここにいるんだ?」


 俺の言葉に、目の前の少女は気まずそうに顔を背ける。

 ここに彼女が来るとは聞いていなかったのだが……。


「えっとね、昨日あの後家に帰ったら、お祖父ちゃんから電話が来て、私も一緒に来るように言われたんだ」

 そう言って、花宮は『ごめん』と、手を顔の前で合わせる。

「いや……それならそうと、連絡をくれればよかったのに」

 俺がそう言うと、花宮は苦笑いをしながら、頬を指で掻いた。

 何か言えないわけでもあったのだろうか?


「クロヤンに連絡しようと思ったら、急にスマホの画面が消えて動かなくなりました……」


 ……なんというタイミングの悪さ。

 まぁ、花宮が居るからと言って、困る事はないと思うが……。


「代機は借りたのか?」

「ううん、お店行ってたらこっちに遅れちゃうから、まだ借りれてないの」

「そうか……。まぁ、ここでの用事が終われば借りに行けばいい」

 別に数時間スマホがなくても、さほど困らないだろう。


 俺はスマホを見る。

 時間は9時55分だった。

「中に入ろう」

 俺はそう言ってビルの中に入り、花宮も俺の後に続いたのだった。


 建物内に入った俺達は、受付のお姉さんに案内されて、紫之宮会長の部屋の前まで来ていた。

 俺はドアを三回ノックする。

 すると、中から声が聞こえてきた。

「入りなさい」

 俺はその言葉に従い、ドアを開ける。

「失礼します」

 俺が中に入ると、紫之宮会長が笑顔で出迎えてくれた。


「よく来てくれたのう龍君。それに、佳織もいらっしゃい」

 紫之宮会長は、俺達にソファーに座るよう指示をした。

 俺と花宮はその指示に従い、ソファーへと腰掛ける。


「今回は大変じゃったみたいじゃのう」

 紫之宮会長は心配そうな表情で,俺の事を見てきた。

 俺が倒れたことを言っているのだろう。

「まぁ、今こうして動けているので問題はありません。それよりも、お願いがあってきたのですが、聞いて頂けますか?」

 俺がそう尋ねると、紫之宮会長は頷いてくれた。


 俺は、これから山中さんを交渉するために、了承してもらいたい事を紫之宮会長に説明する。

 紫之宮会長は、その事を真剣に頷きながら聞いてくれた。

 俺が説明を終えると――

「ふむ……確かにそれは問題ないが……」

 そう呟いて、紫之宮会長は俺の顔を見ながら、考え込み始めた。

「しかしそれが難しいから、政略結婚というのがあるのじゃからなー……。交渉を成立させる自信はあるのかのう?」

 俺は紫之宮会長の言葉に頷く。

「はい、許可さえいただけるのであれば、必ずや向こう側の了承を得てきます」

「そうか……。よし、わかった。これは紫之宮財閥にとってもメリットになる。その方向で話を進めて良いぞ」

「ありがとうございます」

 俺は紫之宮会長に頭を下げた。

 この許可を頂くこと自体は、それほど難しくないと思っていたから、これは予定通りだった。

 これで山中さんと交渉が出来る。


 俺が立ち去る準備を始めようとすると――


「ただし――」


 ――ん?

 俺は紫之宮会長の方を見る。

 なんだ?

 何かあるのか?


「君のこれからの活動に、佳織を同行させてほしい」


「「え?」」

 

 俺と花宮の声が重なった。

 俺にとって、これは予想外の展開だった。

 今日花宮が一緒に居るのは、紫之宮会長が花宮に会いたかったのだろうと思ったのだが、これからの活動に紫之宮会長が居るわけではない。 

 だから、花宮が俺に付き添っていても、紫之宮会長が会えるわけでないのだが……。

 何か目的があるという事か……?


「どういうことお祖父ちゃん?」

 そう言って、花宮が紫之宮会長に問いかける。

「佳織よ、先程の龍君の会話の組み立てや、交渉の仕方についてどう思った?」

「そりゃあ、やっぱり凄いなーって思ったけど……」

「お主に同じことが出来るかな?」

 紫之宮会長の言葉に、花宮はブンブンっと顔を横に振った。

「むりむりむりむり、私に出来るわけがないよ」

「じゃろう? だから、傍で見て勉強するのじゃ。お主はこれから紫之宮財閥の一員として、やっていかなければならないのじゃからのう」

 花宮は俺の方を見てきた。

 俺の判断に従うと言う事か。

 しかし、これは困ったな……。

 これからの俺の行動は、当初の予定通り、学校を休み続けて活動するつもりだ。

 なんせこれから会わないといけない相手は、山中さんだけではない。

 それに花宮が同行するとなると、必然的に彼女も学校を休むことになる。

 俺と花宮が最近良く一緒に居る事は、他の生徒達も気づいているだろう。

 そんな俺と花宮が一緒に学校を休み続ければ、折角噂を無くそうとしていても、新たな火種となりかねない。

 そうなれば、夕美達の負担になってしまうだろう。

 その事は花宮も気づいている。

 彼女は申し訳なさそうな顔で、俺の方を見ていた。

 

 俺はチラッと、紫之宮会長の顔を見る。

 出来ればこの話は断りたいが、紫之宮会長にはまだやってもらわなければいけない事がある。

 ここで変に気を損ねる事はしたくない。

 ……仕方ないか。

「わかりました。花宮には一緒に行動してもらいます」

「おお、それは良かった。くれぐれも宜しく頼むぞ」

「はい」

 俺は紫之宮会長の言葉に頷いた。

「良かったの……?」

 花宮が心配そうに、俺の方を見てきた。

「ああ、学校の方は夕美達に任せよう」

 夕美達には申し訳ないが、彼女達を信じて任せるしかない。

 罵声は、全てが終わってから聞くことにしよう。

 俺は夕美からの電話を取らない事を、心に決めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ